ひとの家見て、わが家を直せ。

会員限定

【第15回】ある日、子供がペットを飼いたいと言い出したら(3)

空間
その他
関心
悩みリフォーム子育てレビュー

鈴木:猫って犬よりも順応力が高いんだよ。犬はトイレを用意してもあまり使ってくれないけど、猫は必ず使ってくれるからね。たまに、「こんなヘンな場所に猫用の階段をつくったけど、喜んでいるのは人間だけかもな」なんて心配するようなときもあるけど、後日訪ねてみたら、どの家の猫もちゃんとそういう場所をフル活用してくれている。

藤山:猫っていいやつですね(笑)。自由気ままに生きているようでいて、実は義理人情に厚い。

鈴木:そうなの。建築家のがんばりに応えてくれる。

藤山:ただ、猫は猫で問題がないわけではないでしょ?いま話に出たトイレとか。

鈴木:猫は、トイレをどこに置くか、におい対策をどうするかが大テーマ。犬と猫の違いって、室内環境的な影響としてはおしっこが臭いか臭くないかだから。

藤山:それ以外だと、「猫砂飛び散り問題」もあります。

鈴木:うちも長いこと猫を飼っているけど、そりゃもうハンパなく飛び散るよね、猫砂って。トイレの周りに撒き散らすだけじゃなくて、指の又についた砂も歩いているうちに少しずつ落ちていくから、「被害」が広範囲に及ぶ。人間がなにげなく歩いていて、「痛ッ」となったら、たいてい猫砂を踏んでいる。

藤山:それは痛そう。

鈴木:でもまあ、猫の問題はいま挙げたくらいで、犬に比べれば飼うのは圧倒的にラクだよ。

藤山:そんな感じがしますね。

鈴木:猫は家の中でカラダを動かせるというのもいいところじゃない? キャットウォークみたいな歩き回れる場所をつくってあげれば、ちゃんとそこを使って運動してくれる。その点、犬は上下運動ができないから、どうしても外に連れ出して平行移動をさせないといけない。

藤山:いわゆる散歩というやつですね。夜中の12時過ぎくらいに犬の散歩をしている人たちを見ると、なんだか大変そうだなあって、いつも思います。

鈴木:うちも昔、犬を飼っていた時期があるけど、それこそ、雨が降ろうが嵐が来ようが、朝早起きして散歩に行き、夜、帰りが遅くなっても散歩に行き、という1日2回の散歩をずっと続けていた。猫の場合、それがないというだけでどれだけラクになることか。

 

藤山:猫砂を踏むくらい全然許せる(笑)。

鈴木:いくらでも踏むよ(笑)。

藤山:ということは、もし自分の娘か息子が動物の赤ちゃんらしきものを拾ってきたら、「それ、犬? 猫?」って真っ先に確認したほうがよさそうですね。

鈴木:猫なら許してあげよう(笑)。というか、野良犬って最近見なくなったよね。実際、捨て猫、捨て犬というのが今どれくらいあるのか知らないけど、もしかしたら子供が仔猫を拾ってくるというのは、一戸建てならではの「事件」かもしれないよ。

藤山:マンション住まいの子供は拾って来ませんか?

鈴木:そこは子供も心得たもので、マンションなら、おいそれとは拾ってこないよ。どうせ飼えないに決まっているんだから。でも、一軒家だとついつい油断する。もしかして、お母さんは許してくれるんじゃないかなぁって。

藤山:それはあるかも。まあ、いずれにしろ、ある日突然子供が「ペットを飼いたい」と言い出すのは、いつの時代もあることなんでしょうね。

鈴木:だろうね。

藤山:で、おきまりのひと悶着がありながら。

鈴木:「おまえが責任もって育てられるのかっ」と親父に叱られ。

藤山:その場では「うん」って言うけど、そのうちお母さんまかせになって(笑)。

(つづく)

ひとの家見て、わが家を直せ。

鈴木信弘 藤山和久さん

(鈴木 信弘)一級建築士。神奈川大学工学部建築学科非常勤講師。1990年、横浜市に一級建築士事務所「鈴木アトリエ」を開設。収納・片づけに関するノウハウと生活者の視点に立ったきめ細やかな設計提案で世代を問わず人気を集める。2013年刊行の著書『片づけの解剖図鑑』(エクスナレッジ)は、散らかりにくい家のしくみを建築設計の視点で分析した“異色の片づけ本”として一躍ベストセラーに。いま注目の建築家の一人。

(藤山 和久)編集者。建築専門誌「建築知識」元編集長。2004~2015年、株式会社エクスナレッジに在籍。これまで延べ1,000人以上の建築士、業界関係者を取材。その豊富な経験をもとに、一般向け書籍でも数多くのヒット作を世に送りだす。2009年刊行の『住まいの解剖図鑑』(増田奏・エクスナレッジ)は、家づくりの入門書として絶大な人気を誇るロングセラー。著書に『建設業者』(エクスナレッジ・2012年)など。

リクシルオーナーズクラブ(年会費無料)