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失敗に学ぶ 賢いリフォーム術3【プランニング編】

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ここまでの連載で、「会社選び」と「お金」についてご理解いただけたでしょうか。連載最終回となる今回は、いよいよ「プランニング編」。後悔をしないリフォーム・プランニングとは、どういったものなのでしょうか。

タイルの選択ミスで残念な家に……

高橋洋子さん宅のLDK。奥のリビングと手間のダイニングは壁と引き戸で間仕切りとしました。向かって左側が耐震壁。引き戸は取り外して、とりあえず冷蔵庫の横へ

「リフォームは大掛かりになるほどハードルが上がり、その分失敗も起こりやすくなります」こう話すのは、“暮らしのジャーナリスト”の高橋洋子さんです。最難関はスケルトンの状態からつくっていくリノベーション。ゼロからプランを組んでいく過程には落とし穴がいくつもあると言います。

「間取りを変えたら動線が悪くなって、家事の負担が増えてしまったという失敗談はよく耳にします。加えて多いのは外壁タイルの選択ミス。見本では『これがベスト』と思ってブルーのタイルを選んだものの、家全体に貼ってみたら、妙に派手になってしまって恥ずかしいという人がいました」

小さな面と大きな面では見え方が変わるのは仕方ないこと。失敗を防ぐには、同じタイルを使った施工事例を見せてもらうのが一番です。もし、それがないならイメージが近い建物をリフォーム担当者に教えてもらうといいでしょう。

聞けば、高橋さん自身、自邸のプランニングについては後悔していることがいくつかあると言います。  その1つは、リビングの窓の位置。西側に窓を確保できなかったために、夕方になると光が入らず暗くなってしまい、冬は室内干しの洗濯物が乾きにくいのだとか。リフォーム前には昼夜と時間を替えて念入りにチェックしたにも関わらず、夕方の日照を見落としてしまったのだそうです。

さらに、リビングとダイニングの間仕切りにも不満が。「当初は壁を取り払って可動間仕切りに替え、広々使いたいと考えていたのですが、その壁が耐震壁だったんです。別のところで耐震補強をすれば取れないことはなかったけれど、そうすると工事費が数十万円かかってしまう。予算との兼ね合いで諦めました」

そんな開放感溢れるリビングへの思いが、最近になって再燃。理由はお子さんの誕生にありました。 「家族3人でゆったり過ごすには、やはり大きな空間が欲しい。いまでは引き戸を外して開放感を出しています。1階の居室についても2室に分けたものの、大きな部屋を1室つくって可動間仕切りでフレキシブルに使えるようにすればよかったと思っています」

収納もしかりで、子どもの誕生以来、物の増え方は凄まじく、夫婦2人用にプランした収納量ではまったく足りないそうです。

成長の早い乳幼児期は、衣類、おもちゃ、絵本など物が増える一方。収納が足りないため、使わなくなったおもちゃもリビングに仮置きしていますこうした実体験を踏まえて、「プランニングは将来的なライフスタイルの変化も考慮すべし」と力説する高橋さん。先輩たちの失敗から得たさまざまな教訓を生かせば、その先には大きな満足と深い納得感が待っているはずです。

お話を伺った方

高橋洋子さん

暮らしのジャーナリスト・ファイナンシャルプランナー 価値0円と査定された空き家をリノベーションし、安くマイホームを購入した経験から、住まいやマネーに関する講演や執筆活動を行っている。著書に『家を買う前に考えたい! リノベーション』(すばる舎)など 

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