ありがちな落とし穴が「追加工事」
戸建て住宅のリフォームでありがちなのが、シロアリや予想外の木の腐食などによる追加請求。定価制のリフォームなどで、こうした追加請求を防ぐことができます。
リフォームをするとき、できるだけ費用を安く抑えたいと思う人は多いはず。「ただ、安さに飛びついた結果、思わぬ損をするケースもあるので要注意です」というのは、ファイナンシャルプランナーの資格を持つ“暮らしのジャーナリスト”の高橋洋子さんです。
例としてまず挙がったのは、「追加工事」という落とし穴です。
「リフォームでは建物の状態を調査しますが、解体して初めてわかることも少なくありません。ある人の場合、当初の予定通り工事が進まず、追加工事が発生。工期が10日ほど延び、それに付随して、建築部材の追加や職人さんの人件費などが上乗せされ、600万円の見積もりが一気に900万円に跳ね上がってしまったのです。
工期が延びればその分、仮住まいの日割家賃もかさみますし、引っ越しの段取りも組み直さないとなりませんよね。『安かったから依頼したのに、むしろ高くついてしまった』と頭を抱えていました」
高橋さんによれば、リフォームで追加工事が発生するのは珍しい話ではないそうです。対策としては、追加工事が発生する可能性と、発生した場合の費用はどちらが負担するのかを事前に確認しておくこと。自己負担になる場合には、金額のおおよその目安を訊ねておくと、腹づもりができます。
「より安心感を求めるなら、パッケージ料金の会社を選ぶのも手です。料金は改修部分の坪数に応じて算出されて、追加工事がどれだけ必要になっても定価で処理してもらえます。実は、うちも浴室の木の腐食がひどく追加工事になったのですが、パッケージ料金だったおかげで、自己負担はゼロで済みました。特に古い一戸建ては、多少割高になってもパッケージ料金の会社をお薦めします」
素人のDIYで耐震壁を壊した例も……
珪藻土の塗り壁では下地づくりも肝心。素人のDIYでは失敗例も多い
リフォーム費用に関しては「提示されるままに支払ったけれど、後から調べると相場よりかなり高いことがわかった」という声もよく聞きます。リフォーム初心者にとっては建材の価格も工賃の相場もわからないのも仕方のない話。ただし、初心者でも回避策はあると高橋さんは言います。
「手がかりは明細が記入された見積もりです。複数の会社で比較してみると建材の相場がわかってきますし、高いのか安いのかも目星がつくようになります。それでも不安なら、住宅展示場などで開催されるリフォームセミナーに参加して、専門家に相談するのもいいでしょう。価格の妥当性や工事費を安くするための工夫などをフラットな目線でアドバイスをしてもらえるはずですよ」
一方、工事費を安くあげる秘策として、リフォームの一部をDIYにする人も増えています。ただし、これもまた失敗のタネになりやすいと、高橋さんは指摘します。
「解体費を削減しようと、友人たちの手を借りて一戸建ての取り壊しを敢行した例がありますが、危険な上に埃がものすごくて大変です。おまけに、間違えて耐震壁を壊してしまい、解体後のゴミの処分でかなりの出費に。『こんなことならリフォーム会社に一括して頼むべきだった』と後悔していました。
また、施工費節約と思い出づくりにと、壁に珪藻土を塗る作業をDIYにする方もいました。リビングなど面積が広いところは業者に任せたそうですが、素人とプロの仕上がりの差は歴然。節約効果も今ひとつで、『良くも悪くも思い出だけはできた』と言っていましたね」
知らないと損をする公的制度
こうした例からもわかるように、リフォーム代を安くするのは、なかなかハードでリスキー。そこに精力を傾けるよりは、リフォーム費用に関わる減税や助成金などを調べたほうがお得かもしれません。というのも、リフォームの場合、お金の公的制度は盲点になりやすく、見過ごしている人が多いのだとか。
「リフォーム会社が教えてくれればいいのですが、意外にそのあたりは無頓着。あまり知られていません」
たとえば、中古住宅の場合、住宅ローン減税が受けられるのは築20年(マンションは築25年)の物件まで。それよりも古い物件は住宅ローン減税の対象になりせん。ただし、リフォームで耐震補強をしたり、窓・床・壁・天井の断熱工事を行ったりした場合、一定の要件を満たすと所得税や固定資産税が減税される制度がちゃんと用意されているのです。
一方、自分か同居する親族が要介護・要支援の認定を受けている場合に、バリアフリー改修を行うとやはり所得税と固定資産税が減税され、なおかつ介護保険による補助もうけられます。ほかにも、自治体によって独自のリフォーム助成制度を設けているケースもあって、まさしく知らなきゃ損することばかりなのです。「利用しようと思っていたのに、申し込みの期限が過ぎていた!」なんてことがないよう。くれぐれもご注意を。
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