リフォーム会社選び完全マニュアル

【第3回】「一式」見積書に要注意!

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悩みリフォームレビュー

「良心業者」と「悪質業者」を瞬時に見分けるコツ

リフォーム業者の選定を進める上で、たくさんの情報を提供してくれるものに見積書があります。見積書は1社だけから取るのではなく、複数の業者から取るのが一般的。これを「相見積」といいます。工費は住まいの状況や採用する設備・建材によって大きく変動しますが、目安も参考になります。

公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターの平井裕一朗さんは、「複数の業者から見積もりを取るといっても、契約しない業者には断りを入れなくてはなりませんから、3社程度にとどめた方がいいと思います。前提になるのが、きちんと現場を見に来る業者であること。現場を見ないで見積書を出してくるような業者は、最初から避けた方が無難です」と指摘。

施主と一緒に現場の状況をしっかりと把握し記録していく業者ならば、ひとまず安心です。見積もりは業者が無料でやってくれるものですが、それを快く引き受けてくれるかどうかも業者を見極める上で重要なポイントになります。

見積書の提出を受けたら、最初にやるべきことは「明細」が書かれているかどうかのチェックです。明細とは、工事する箇所、使う建材の仕様や規格、材料の単位、数量、単価、合計金額などのことをいいます。これらがはっきり書かれていることが見積書の必要条件になります。

反対に、信用できない見積書とはどのようなものかといえば、「クロス張替一式」というように、詳細を記さずに「一式」とまとめてしまっている見積書です。こうした“一式見積書”しか提示してくれない業者は要注意です。

「契約書を取り交わす前に、きちんとした見積書を業者との間で共有することはとても大切です。こうしたステップを踏まずに、一式見積書や口約束で工事を依頼してしまうと、後になって多額の追加費用を請求されることになりかねません」(平井さん)

 

部位別リフォーム工費の目安

▼戸建

屋根葺き材をカバー工法により改修: 156~223万円

外壁の塗替え: 67~95万円

システムキッチンの取替え: 82~112万円

▼マンション

床材の変更:  13~18万円

ユニットバスの取替え: 62~85万円

便器の取替え: 22~29万円

戸建住宅は建築面積61.90㎡、延床面積107.86㎡、マンションは延床面積75.51㎡をモデルとして計算。

出典:公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター 

見積書はここをチェック!!

では、実際の見積書を見てみるとどうでしょうか(【表】参照)。まず気になるのが、材料の「単価」です。壁紙やフローリングの床材などは日常的に購入するものではないため、高いのか安いのかわかりません。また、「手間賃」や「調整費」、「諸経費」なども、果たして妥当な金額なのか判断がつきません。

「自分で価格の適否を判断したい場合は『積算資料 ポケット版 リフォーム編』(一般財団法人経済調査会刊)が役に立ちます。工事費や材料の価格などの実例、見積もりの計算方法などが詳しく書かれています。また、当センターのホームページには無料の『見積チェックシステム』(※)があるので、お気軽にご利用いただきたいと思います」(平井さん)

見積もりは業者を選ぶ際に提出してもらうだけでなく、正式に契約を結ぶ前にも、工事の細部まで詰めた最終見積をもらうようにします。そうすることで、後々のトラブルを未然に防ぐことができるのです。


※見積書・図面などを送付すると、相談員がチェックのうえ助言してくれるシステムです。 詳しくhttps://www.chord.or.jp/reform/ 

見積書の例

  1. 仕様(材料の名称や品番)、単価、数量、金額などの詳細を示せるはずなのに、「内装工事一式」「外装工事一式」などと「一式」表示になっている場合は、明細の記入を求めましょう。
  2. 諸経費、調整費、管理費、雑費などという名称で多額の費用が計上されている場合があります。内容がよくわからないときは、どのような費用が含まれているのか説明してもらいましょう。
  3. 支払い条件には「前払い」「中間払い」「竣工払い」の3つがありますが、「全額前払い」を求められた後に業者が倒産してしまうと、費用の回収ができない場合があります。不自然な支払い条件が書かれていたら必ず理由をたずねましょう。
  4. 見積書の有効期限は1カ月が一般的です。極端に短い有効期限が書かれている場合は、要注意。有効期限切れを理由に、高額な見積書を別途作られてしまう危険性があります。
  5. 見積書イコール契約書ではないので、一般的に承諾欄や署名欄はありません。見積書にサインや捺印をしてしまうと、それをもって契約したことと見なされてしまう危険性がありますから、署名・捺印を求められたら必ず目的を確認しましょう。
  6. 諸経費、調整費、管理費、雑費、産廃処理費などが二重計上されていたり、取りやめたはずの工事費用が削除されないまま計上されているケースがよくあります。また、単純な計算ミスもよくありますから、面倒でも合計金額を自分自身で検算するようにしましょう。

お話をうかがった方

平井裕一朗さん

公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター リフォーム情報部長 兼 消費者支援部担当部長。一級建築士。

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