鈴木:もちろん。30坪以下の狭小住宅限定の話。神奈川県でももう少し郊外のほうに行けば、6畳でも8畳でも12畳でも、いくらでも広い子供部屋をつくれる。でも、どうなんだろう。横浜あたりで売られている建売住宅のチラシを見ると、いまだに子供部屋にきっちり6畳を割いて、そのほかの部屋も細かくパズルのように区切っている家が多い。そういうのを見るたびに、最近の子供部屋のニーズが分かっていないのかなぁと思ってしまう。
藤山:でもそれは、不動産会社の人に言わせれば、「売れる間取りの鉄則」でしょ?○LDKの○の部分に入れる数字が販売上のポイントだから。3LDKと4LDKでは、お客さんの反応が全然違うっていいますよ。
鈴木:理屈は分かるんだけど、本当にそうなのかなとも思うわけ。いまどきの消費者は賢いから、物事をもう少し冷静に見ていると思うんですよ。見た目にだまされないというか、本質を見抜く力をつけているというか。
藤山:コスパですよね。最近はなんでもコスパで計測する世の中。
鈴木:そうそう。コスパで考えれば、子供部屋のつくり方も含めて、建売住宅の間取りにももう少し変化があっていいのかなと思う。
藤山:たしかに。
鈴木:そういえば、全然関係ない話を思い出したんだけど。
藤山:最近、よく関係ない話を思い出しますね(笑)。
鈴木:小学生の女の子がいるお母さんから聞いた話なんだけど。
藤山:ええ。
鈴木:いまは、子供が友達の家に遊びに行くときは、事前にお母さんどうしで連絡を取り合ってから行くんだってね。
藤山:どういうことですか?
鈴木:「うちの子が○○ちゃんの家に遊びに行きたいと言ってるんだけど、これから行ってもいいかしら」って、まず母親が向こうの母親に確認するわけ。
藤山:ほう。
鈴木:で、「いいわよ」となれば行ってよし、ダメなら遊びに行ってはダメ。
藤山:子供どうしで勝手に遊んじゃダメなんですか。
鈴木:ダメなんだって。「今日はちょっと疲れているから今度にしてね」って、けっこうスパッと断られるらしい(笑)。
藤山:へえー。
鈴木:良い悪いはともかく、いまはそういう時代なんだよ。それが子供部屋の設計にどう影響してくるかは分からないけど。
(おわり)
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