習慣とインテリアで工夫する、在宅ワーカーのオン・オフ切り替え術

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家にいてもなぜか疲れる…
「テレワーク疲れ」が起こるワケ

 出勤が不要の在宅勤務は、心身ともに負担が軽く、移動時間を節約できるなど様々なメリットがあります。一方で、知らず知らずのうちに疲労感が蓄積したり、プライベートとのメリハリがつけられなかったりと、「テレワーク疲れ」を感じている方も多いそうです。

「在宅勤務だと休憩をとるタイミングがわからない」「移動がないから、仕事を切り上げづらい」など、オン・オフの切り替えや休憩の取り方に関するお悩みも、よく耳にします。その理由について、菅原さんはこのように解説します。

「切り替えが難しいという状態は、言い換えれば“脳の中で使われるネットワークの切り替え”がうまくできていないということです。脳で働くネットワークには大きく2種類あります。1つは、集中している時に働くセントラル・エグゼクティブ・ネットワーク。情報を食べている状態、つまり“仕事モード”の状態で働きます。もう1つは、デフォルトモード・ネットワークで、情報を消化している、“休憩モード”の状態に働きます。例えば、休憩中に何気なくスマホの画面を見ていると、自分では“休憩モード”のつもりでも、脳は情報を食べ続けてしまい“仕事モード”の状態が続くのです。
 脳には、新しい情報を入れられるように、不要な情報は消去するという仕組みがありますが、ずっと情報を入れ続けていると、空き容量をつくるために強制的に休憩モードに切り替わってしまいます。そうすると、仕事に集中できずに別のことを考えてしまう……なんてことに陥ります。
 仕事の作業効率を上げるためには、“仕事モード”と“休憩モード”の上手な切り替えが不可欠です」

在宅勤務で上手にオン・オフを切り替える3カ条

1.朝イチがポイント! 仕事を「ちょっとだけ」始める

 通勤する・制服に着替えるといった「仕事モード」への切り替えタイミングがない在宅勤務で、オン・オフをうまく切り替えるにはどうすればよいのでしょうか。菅原さんは、「着替えや歯を磨くなど、身だしなみを整える前に、あえて朝イチで“今日やろうと思っていた作業”に少しだけ手をつけること」が、スムーズに仕事モードに切り替えるコツだといいます。

「脳には、行動を記憶するという性質があります。朝イチで、具体的な作業にほんの少しでも手をつければ、脳はそれを記憶します。いざ本格的に仕事に取組むとき、やる気を出すのに時間がかかりません。
 逆におすすめしないのは、朝イチでメールやSNSを見てしまうこと。相手からの依頼事への返信や、他人の感情が行き交うSNSに振り回されると、脳は疲れてしまい、自分の仕事を始めようというときにスイッチが入りづらくなってしまいます」

2.家事を利用して、脳を休ませる

 在宅勤務だと、ついつい家の中のことが気になって、家事をしてしまうので仕事がはかどらない……という方もいるかもしれません。菅原先生によれば、家事は、脳を休憩モードに切り替えるのにとても有効なのだそう。

「家事をして手を動かしている間は、脳は新たな情報収集をしなくても済みます。お皿を洗う、洗濯物を洗濯機の中に入れる……いつもしていることならば無意識にできますし、そういった無心の時にこそ、いいアイデアがふっと湧いて出るものです。
 ポイントは、完璧に最後までやろうとしないこと。全部のお皿を洗わなくても1,2枚だけでOK。休憩時間で疲れない程度に行う家事は、効率よく休憩するためのものであり、仕事のパフォーマンスを上げる手段だと捉えましょう。仕事をさぼっている、と罪悪感を抱く必要はありません」

 また、家事を行うために立ち上がったり動いたりすることで、股関節が動いて血流がアップし、体の疲労回復もしやすくなるそうです。

3.仕事をするテーブルで休憩するときは、隣の席に座る

 仕事部屋がない場合、普段食事をとるテーブルで仕事をする、という方も少なくないはずです。
 これについて菅原さんは、「同じテーブルで仕事・休憩をする場合は、席を変えてみる」ことを提案します。

「脳は、『この場所ではこれをする』というように、空間情報と行動情報をセットで記憶しています。いつも食事をしているスペースと全く同じ場所で仕事をすると、脳は、同じ場所で違う作業をしていることに余計なエネルギーを使ってしまうため、疲れにつながります。1つのスペースで異なる作業を行うのではなく、“1スペース1作業”のルールを守ることで、脳のモードを切り替えましょう。
 リビングのテーブルで仕事・休憩をする場合は、例えば、休憩するときに隣の席に座ってみる。少しずれるだけで視界やスペースが変わり、モードを切り替えることができますよ」

休み上手は、切り替え上手。
気分転換を叶えるインテリアの工夫

 上手に気分転換をしてモードを切り替えれば、仕事の効率向上につながります。続いて、在宅勤務ならではの、インテリアで工夫できる気分転換の方法を、LIXILのおすすめ商品とともにご紹介します!

お気に入りのインテリアで、目線を外す

「いちばん簡単にできる気分転換は、目線を外すことです。パソコン画面や資料から目を離して、遠くの景色、あるいは壁に掛けたお気に入りの絵や写真をぼんやり眺めてみましょう。見つめるのではなく、眺めることがポイントです。このとき脳は、休憩モードに切り替わります」

 LIXILで販売している「エコカラット セルフ」は、壁に飾れるデザインパネル。デザインが豊富なため、家具やインテリアにぴったりなものを選ぶことができます。お部屋の雰囲気を気軽に彩ってくれますし、仕事中にふと息抜きをしたいとき、目線を外す目印として、癒やしを与えてくれます。

部屋の採光量を調整する

 部屋の明るさを適切に調整することも、質の良い睡眠による疲労感の軽減、日中の作業効率向上につながるそう。

「質の良い睡眠を摂るためには寝室をしっかり暗くする、ということは知られていますが、寝室を暗くするだけでなく、夕食後から寝るまでの時間帯は、生活空間全体を暗めにすることが、より良い睡眠・日中のパフォーマンス向上のために有効だと言われています。目安は、天井の四隅がぼんやり見える程度。入浴時は、脱衣所の照明だけにしてもいいでしょう。
 暗くなってしまえば、やれることの選択肢も自然と減りますので、余計なエネルギーを消耗しません」

 例えばブラインドを使い、日中は明るい中で仕事をして、仕事を終えるタイミングになったら採光量を調整するようにすると、自然と「朝は明るく、夕方以降は暗く」のリズムを整えることができます。
 LIXILの木製ブラインドは、調光の機能性のみならず、天然木の素材感や高級感が、落ち着きのある空間を演出してくれます。どんな空間にも合わせやすいナチュラルなデザインで、取り入れやすいのが魅力です。
 日中の休憩中は採光量を減らすなどの工夫をすれば、より穏やかに、リラックスして過ごせそうですね。

関係ないものは視界から外す

 生活空間の中で仕事をする在宅勤務は、業務には関係のない日用品や小物が視界に入り、落ち着かない気持ちになることも。

「集中するためには、脳に余分なものを見せないことです。“いまの仕事”に必要ないものには布をかぶせて見えなくしたり、スクリーンで区切ったりすると、気が散らなくなります」

 LIXILでは、目隠しや間仕切りとしても使えるロールスクリーンを販売しています。窓に取り付ければ、採光も自由に調節できますし、本棚や食器棚の目隠しにも使えます。

 行動や環境を変えることで、在宅勤務であっても、オン・オフのメリハリをつけやすくなります。
 上手な気分転換やインテリアの工夫で、より効率のよい在宅勤務を目指していきましょう!

≪お話を伺った方≫

菅原洋平さん

作業療法士、ユークロニア株式会社 代表。東京都千代田区のベスリクリニックで外来を担当しながら、ビジネスパーソンのメンタルケアを専門に、生体リズムや脳の仕組みを活用した企業研修を全国で行う。著書に『「疲れない」が毎日続く! 休み方マネジメント』(河出書房新社)、『「めんどくさい」が消える脳の使い方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など。

文◎江頭紀子
画像◎Shutterstock

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