「季節」を呼び込む演出テク

【第1回】手軽で簡単!梅雨どきのインテリアの工夫あれこれ

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インテリア事例レビュー

ジメジメ感やべたつき感が気になる梅雨どき。恵みの雨とはいえ、ちょっと憂うつな気分になりがちです。そんなときこそ、気分がアガる「あか抜けた部屋」で過ごしたいもの。大がかりなリフォームやお金をかけずに、リビングに季節を呼び込む演出テクニックを、メディアなどでご活躍中のインテリアコーディネーター、荒井詩万さんにうかがいました。

さわやかなグリーンは床置きでも吊るしてもOK

梅雨どきは、ジメっとしていて、洗濯物も乾かないし、湿気がこもってイヤなにおいもするし……。1年の中でも苦手だという人は多いのではないでしょうか。だからこそ、家の中ではスッキリ快適に暮らしたいもの。ジメジメ感を吹き飛ばす、さわやかな部屋にするには、どうしたらいいのでしょうか。

インテリアコーディネーターの荒井詩万さんは「カーテンを涼しげなものに変えるというのもいいのですが、ちょっと大がかりになってしまいますよね。小物を使えば手軽に部屋の印象を変えられます」と言います。具体的にどんな小物をどう使えば、涼しげな部屋が演出できるのでしょうか?

荒井さんがまず、勧めてくれたのが観葉植物です。「観葉植物のグリーンは見た目がさわやかで、どんなテイストの部屋にも合います。床に置く場合は、部屋の入り口から対角線上の場所に置くと、部屋に入ったときにそこに視点が行くので、“さわやかな部屋”という印象になります」

床に置場がない場合は、天井からつるすことを提案してくれました。「かご素材のハンギングバスケットもありますが、ガラス製の器のほうがより涼しげです。さらに、ガラスの器の中にビー玉を入れ、グリーンをあしらえば、清涼感が増します。グリーンは、フェイク(偽物)でも十分。フェイクだと手入れもラクです。ただし、ホコリがたまらないように気をつけてくださいね。

あしらうグリーンは、アイビーなど蔓状のものにして、葉を下に垂らすようにすれば、葉が風にそよいで一層涼しげな雰囲気に。天井からつるす場合、フックをとりつける必要がありますが、ホームセンターなどで相談すればOK。

賃貸の場合、大きい穴は原状回復を求められる場合があるので、穴の目立たないフックがいいでしょう。ただ、天井の材質や耐荷重を確認することは忘れずに。ちなみに、天井や壁によく使われている材質は石こうボード。画びょうを刺してみて、先端に白い粉がつけば石こうボードです。石こうボードに使えるフックは、100円ショップでも販売されています。

ほかにも、吸盤タイプや粘着テープタイプなどのフックもあるので、ホームセンターで相談してみると確実かもしれません。

涼しさを演出する小物たちセンスよく見せるコツは「どう置くか」

透明のガラス素材は初夏の部屋に涼しさを演出する定番小物ですが、荒井さんはさらに、そこにひと工夫。「ガラス瓶の口元や取っ手部分に麻ひもを巻き付けてみてください。涼しげな感じが増しますよ。ナチュラルな雰囲気がお好みの方にお勧めです」。そうやってちょっと手を加えたガラス瓶に、ブルーや紫など寒色系の花を生ければ、さわやさが数段アップ。 このとき、瓶と花の長さを1対1にすると、バランスよく整うそうです。また、花を生けなくても、瓶の中に100円ショップなどで売っている白い砂を入れるだけでも、十分涼しげな演出ができるといいます。

もう1つ、荒井さんが紹介してくれた涼しげ小物の工夫は、写真立てのアレンジです。「写真立てのフレーム部分に貝殻をあしらうと、グッと雰囲気が変わります。貝殻は接着剤で簡単にとめられます」お子さんがいるご家庭では、「去年、子どもが海で拾ってきた貝殻」が、所在なさげにあったりしませんか。それを活かせるチャンスです。雨で外で遊べない日に、お子さんと一緒につくれば、いい思い出になりそうです。

ここで紹介した小物類は、ほとんどが100円ショップで手軽に買えるもの。ただし荒井さんは、「フェークグリーンは、できればもう少し投資して」と言います。そのほうが、本物に近いグリーンが楽しめるのだそうです。さて、涼しげな小物が揃ったところで、大切なのは、それをどう置くかということ。置き方によっては、ごちゃごちゃしてしまい、涼しげな雰囲気が台なしになってしまいます。「ポイントは“三角形置き”です。置きたい小物の中から、背の高い・中くらい・低いアイテムを3つ選びます。そしてこの3つが三角形になるように置いてみましょう」

画像提供=荒井詩万

荒井さんによると、この置き方であれば、バランスが整ってあか抜けて見えるそう。「かわいいから、ステキだから、スペースがあるからと、何でも置いてしまうと、ごちゃごちゃしてまとまりのない印象になってしまいます」玄関やトイレなど、ちょっとしたスペースに、涼やかな小物が置いてあると、梅雨どきでも気持ちが明るくなりそうです。

目からうろこ!夏でもラグを敷くとフローリングがベタつかないハウスダスト対策にも◎

画像提供=荒井詩万

梅雨の時期を快適に過ごすポイントとして、荒井さんは、「涼しげな小物による演出」のほか、換気の大切さも指摘します。ジメッとした空気がよどんでいたら、確かにカビやダニが繁殖しそうです。

「天井にファンがあればいいのですが、そうでない場合は、クーラーは除湿モードに設定し、扇風機の首を上向きにして空気を循環させましょう。湿気がとくに気になる浴室は、使用後に壁をタオルで拭くなどして、極力水気を残さないことが鉄則です。ドアを閉めて換気扇を回すなど、換気を十分に意識してください」

さらに荒井さんが「湿気対策にはとてもいい!」と太鼓判を押すのが、LIXILのエコカラット

エコカラットは、「多孔質セラミックス」と呼ばれる、微細な気孔がある原料をタイル状に焼いてつくられています。目に見えない小さな孔(あな)が、室内の湿気を吸収・放出するので、湿度を調整できるのです。ただし、除湿をするわけではないので、同時に換気をすることも必要です。

そして、目からウロコのアドバイスが、「夏場でもラグを敷くといい」ということ。ラグは、冬ならともかく夏になったら、暑苦しいし、それこそダニの巣窟になりそう……。そんな不安に、荒井さんは「実はそんなことはないんですよ」と、ラグのメリットを教えてくれました。

画像提供=荒井詩万

「ラグを敷くと、ハウスダストが舞い上がりにくくなることが実証されています。今の住宅はマンションを中心に、ほとんどがフローリングの床材です。フローリングは掃除がしやすいイメージですが、空気中にハウスダストが舞い上がりやすくなります。けれどもラグを敷けば、ラグのパイル(毛足)が、ハウスダストを絡め取ってくれるのです」ただし、もちろん、こまめに掃除機をかけることも忘れずに。ラグの素材については、「最近は、清涼感のある夏用ラグも発売されています。足触りがサラッとしたものを選ぶといいでしょう」とのことですが、荒井さんのお勧めは、なんとウール。

 

画像提供=荒井詩万

「実はウールは冬は暖かく、夏はさらっとしている優れもの。パイル部分にたくさんの空気を含んでいるのでさらっとするのです。夏場はフローリングに裸足の人もいるかもしれませんが、足回りがぺたぺたして不快だったりしますよね。ぜひ、ウールのラグを試してみてください」

さらにラグのいいところとして、「仕切りにもなって、メリハリがつき、あか抜けた印象になる」ことを教えてくれました。 「例えば、ダイニングとリビングがひと続きの場合、ソファの前にラグを敷けば、くつろぎのスペースとして区切られますし、アクセントにもなります」 小物たちの色と合わせて、ラグも寒色系で揃えれば、清涼感が倍増して快適に暮らせそうです。

お話を伺った方

荒井詩万さん

インテリアコーディネーター、CHIC INTERIOR PLANNING主宰。住宅やマンションのコーディネート・リノベーションをはじめ、イベント企画展示、空間プロデュースなどを多数手がける。TV・ラジオ出演、雑誌の企画監修、セミナー講師なども多数。著書『今あるもので「あか抜けた」部屋になる。』(サンクチュアリ出版) 

取材・撮影協力=町田ひろ子アカデミー

 

リクシルオーナーズクラブ(年会費無料)