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藤山:キッチンは、なにはなくとも明るいことが大前提?
鈴木:他人から見て、「ああ、片づいていないな」と感じるキッチンでも、もしそこが薄暗いのなら窓を設けて光を入れてやるだけで、不思議とそういうネガティブな印象が緩和される。キッチン周りにあふれている雑多なものも、隅の暗がりに置かれていると見るに堪えないけど、窓辺に置かれていると案外素敵に見えたりすることがある。そこに光のマジックがある。
藤山:それ、いつ気づいたんです?
鈴木:15年くらい前かな。平屋のお宅をリフォームしたとき、北側のキッチンがあまりに暗かったからトップライトをつけたの。すると、夏は当然暑くなるけど、それを補って余りあるくらいキッチン全体に光がブワーッと広がって、とても同じキッチンには見えなくなった。その日から、その家の中でキッチンがいちばん「いい場所」になったんだよ。いい場所には人が自然と集まるから、家族みんなでごはんをつくるようになったり、友達を呼んでパーティーをするようになったり、リフォーム前は夢にも思わなかったようなことが次々と起こり始めたわけ。
藤山:キッチンが変わって人が変わった。
鈴木:そういうことがあったの。以来、「気分アップ」や「スペシャル」といったテーマを、設計で意識するようになったような気がする。
藤山:逆にいえば、いくら機能的なキッチンでも暗ければ意味がない。