藤山:パントリーの形は、どの家もだいたい同じですか?
鈴木:基本的には、スペースと棚さえあればモノを詰め込めるから似たような形になる。サイズは大きいのから小さいのまでいろいろあるけど。
藤山:そうだ、キッチンといえば……。
鈴木:何?
藤山:最近は、洗濯機を組み込んだキッチンをあまり見なくなりましたね。
鈴木:おお、洗濯機。その昔、一瞬だけ大流行したけど、いまはまったく見なくなった。
藤山:あれはブームですか。
鈴木:ブームブーム。外国製のドラム式洗濯機が輸入されるようになって、「キッチンに洗濯機を組み込んだらおしゃれじゃない?」って、みんな一斉にピンときた。でも、実際に組み込んでみると全然使えなかった。機械が頻繁に故障したという理由もあるけど、そもそも日本における洗濯って、たんに洗濯物を投げ入れて回すだけじゃなかったんだよ。
藤山:といいますと?
鈴木:日本みたいに湿気の多い国に暮らしてvしたくなるの。欧米の人がつけ置き洗いをしているかvつけ置き洗いをするには、たらいや洗面器とそれを置く場所が必要になる。だけど、キッチンのシンクではそれができない。
藤山:たしかに。浴室などから、たらいごと運んでくるのは面倒だし。
鈴木:あと、浴槽の残り湯を洗濯に使いたいというのも日本特有。残り湯を使うには、浴室からキッチンまでホースを引っ張ってこなければならない。これも洗濯機を組み込むキッチンが廃れた理由の一つと思う。いまは、誰一人要望しないもの。
藤山:そうですか。
鈴木:ときどきこちらからの提案で、間取りの関係上「キッチンに洗濯機を組み込むとすっきりするんだけどなぁ~」なんてボソッと言っても、「いやー、ダメダメダメ」ってすぐ却下。
藤山:それに、日本の汚れは日本の洗濯機がいちばん落とせるようにつくられているでしょうからね。
鈴木:そもそも、比較的乾燥している国でつくられる洗濯機とは、求められる機能が違うのだろうね。たとえば、食洗機ならミーレ、掃除機ならダイソンみたいに、国内でも一定の支持を得ている海外メーカーはあるけど、こと洗濯機に関しては海外製品の存在感は極端に薄い。
藤山:トイレもそうでしょ?トイレも日本のメーカーが世界一です。
鈴木:そうそう。それを言っておかないと、LIXILさんが気を悪くされる(笑)。
(つづく)
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