藤山:普段誰もいない玄関に照明をつけておくのは、もったいないですから。
鈴木:特にマンションは暗くなりがち。鉄の扉がどーんとあって、その周りに窓がなければもう真っ暗。私だって何か飾ろうという気にはならないよ。結局、光の入らない玄関は「飾ること」が長続きしないというのが結論。
藤山:暗い玄関に家族の写真を置いていたら、なんだか本当に暗い家族になりそうですもんね。あと、いまは分かりませんが、昔はそこそこ格式の高そうな家に行くと、広い玄関ホールの真ん中に鳥の剥製なんかが置いてありませんでした?鷹が羽を広げてシャーっとしている。
鈴木:ああ、あったあった。亀とかね。
藤山:そう、亀の剥製とか鹿の首とか。あれは一種の流行ですかね?
鈴木:流行だろう。
藤山:何で流行ったんでしょう?
鈴木:なんでだろうね。でも、必ずいたよね、動物が。
藤山:うちにも亀がいました。玄関ではなく客間ですけど。
鈴木:そういうデカイ系のものって、たいてい会社の慰安旅行かなにかでお父さんがつい買ってきちゃうんだよ。うちの親父もそれで買ってきた。
藤山:何をですか?
鈴木:マッサージチェア。
藤山:動物じゃないですけど(笑)。
鈴木:動物もあったよ。木彫りの象。
藤山:ああ、ありますね、木彫りの象。アジア系の飲み屋の入口にあるやつ。
鈴木:うちのおふくろなんて、それですごく怒ってたもん。親父が何かの団体旅行でインドに行って、お土産に木彫りの象を買ってきたわけ。それがけっこう大きな象で、牙のところにデカイ象牙が入っている。でも、その象牙がニセモノなんだ(笑)。
藤山:どうしてニセモノと分かったんです?
鈴木:「こんなもの、見りゃ分かるわよ」っておふくろが怒ったから。それでニセモノと決まった(笑)。
藤山:狩猟時代の本能なんですかね、動物の剥製とかを飾りたがるというのは。
鈴木:「俺はこんなにデカイやつを仕留めたぞぉ」というアピール。
藤山:お金を払っただけですけど。
(つづく)
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