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ひとの家見て、わが家を直せ。

がんばって家を建てた人の裏話ほど素敵な話はない!
片づけ・収納設計で人気の建築家と建築専門誌元編集長の聞きたくても聞けない家づくり事情。
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【第32回】局地的、子供部屋トレンド情報(4)

鈴木:ありました。1軒、そういう家がありました。

藤山:輩出してましたか。

鈴木:3階建ての3階部分に子供部屋をつくった家がそうだった。男の子2人の兄弟なんだけど、下の子のほうが不登校になって……、学校でいやなことでもあったのかな。でも、礼儀正しい良い子なんだよ。会えばきちんと挨拶してくれるし。


藤山:ええ。

鈴木:高校は中退したんだけど、大検を受けて大学に入って……。

藤山:よかったじゃないですか。いまは?

鈴木:ニートになってる。

藤山:おお。ちなみに、どういう子供部屋でした?広めの部屋?

鈴木:うん、けっこう広かったかな。専用のテレビコーナーまでつくってしまった。

藤山:ということは、やっぱり子供部屋は狭いほうがいいんですかね。ま、この一事をもって結論づけられるような話ではありませんけど……。ちなみに、新築の打ち合わせで子供たちと直接話す機会はあるんですか?


鈴木:あまりないけど、「新しい家、どうしたい?」って聞くと、小学生の場合はたいてい「ロフトがほしい」と言うかな。あるいは、友達が泊まれるようにしたいとか。

藤山:たんに楽しそうだからでしょ、スペースとして。

鈴木:だろうね。

藤山:部屋の広さについては要望されませんか?

鈴木:あまり言われないね。だって、いまはスマホがあれば世界中とつながれる時代だよ。昔みたいに子供部屋に友達が集まって野球盤を囲んで遊ぶだとか、人生ゲームをやるだとか、そういう遊び方はしないんだから。

藤山:いま、ふと気づきましたが、子供部屋は寝るスペースさえあればいいという話は、東京や横浜といった都市部限定の傾向ですよね。

鈴木:もちろん。30坪以下の狭小住宅限定の話。神奈川県でももう少し郊外のほうに行けば、6畳でも8畳でも12畳でも、いくらでも広い子供部屋をつくれる。でも、どうなんだろう。横浜あたりで売られている建売住宅のチラシを見ると、いまだに子供部屋にきっちり6畳を割いて、そのほかの部屋も細かくパズルのように区切っている家が多い。そういうのを見るたびに、最近の子供部屋のニーズが分かっていないのかなぁと思ってしまう。


藤山:でもそれは、不動産会社の人に言わせれば、「売れる間取りの鉄則」でしょ?○LDKの○の部分に入れる数字が販売上のポイントだから。3LDKと4LDKでは、お客さんの反応が全然違うっていいますよ。

鈴木:理屈は分かるんだけど、本当にそうなのかなとも思うわけ。いまどきの消費者は賢いから、物事をもう少し冷静に見ていると思うんですよ。見た目にだまされないというか、本質を見抜く力をつけているというか。


藤山:コスパですよね。最近はなんでもコスパで計測する世の中。

鈴木:そうそう。コスパで考えれば、子供部屋のつくり方も含めて、建売住宅の間取りにももう少し変化があっていいのかなと思う。

藤山:たしかに。

鈴木:そういえば、全然関係ない話を思い出したんだけど。

藤山:最近、よく関係ない話を思い出しますね(笑)。

鈴木:小学生の女の子がいるお母さんから聞いた話なんだけど。

藤山:ええ。

鈴木:いまは、子供が友達の家に遊びに行くときは、事前にお母さんどうしで連絡を取り合ってから行くんだってね。

藤山:どういうことですか?

鈴木:「うちの子が○○ちゃんの家に遊びに行きたいと言ってるんだけど、これから行ってもいいかしら」って、まず母親が向こうの母親に確認するわけ。

藤山:ほう。

鈴木:で、「いいわよ」となれば行ってよし、ダメなら遊びに行ってはダメ。

藤山:子供どうしで勝手に遊んじゃダメなんですか。

鈴木:ダメなんだって。「今日はちょっと疲れているから今度にしてね」って、けっこうスパッと断られるらしい(笑)。

藤山:へえー。

鈴木:良い悪いはともかく、いまはそういう時代なんだよ。それが子供部屋の設計にどう影響してくるかは分からないけど。



(おわり)
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ひとの家見て、わが家を直せ。

(鈴木 信弘)一級建築士。神奈川大学工学部建築学科非常勤講師。1990年、横浜市に一級建築士事務所「鈴木アトリエ」を開設。収納・片づけに関するノウハウと生活者の視点に立ったきめ細やかな設計提案で世代を問わず人気を集める。2013年刊行の著書『片づけの解剖図鑑』(エクスナレッジ)は、散らかりにくい家のしくみを建築設計の視点で分析した“異色の片づけ本”として一躍ベストセラーに。いま注目の建築家の一人。

(藤山 和久)編集者。建築専門誌「建築知識」元編集長。2004~2015年、株式会社エクスナレッジに在籍。これまで延べ1,000人以上の建築士、業界関係者を取材。その豊富な経験をもとに、一般向け書籍でも数多くのヒット作を世に送りだす。2009年刊行の『住まいの解剖図鑑』(増田奏・エクスナレッジ)は、家づくりの入門書として絶大な人気を誇るロングセラー。著書に『建設業者』(エクスナレッジ・2012年)など。

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