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人が主役のゆとりある暮らし

ヨーロッパの暮らしから学ぶ、丁寧でシンプルな暮らし。
日常のちょっとした生活習慣を見直すと、人生を豊かにするゆとりある暮らしに・・。
ヨーロッパの暮らしをヒントに自分らしい暮らしを見つけてみましょう。

大人の国イギリス人から学ぶ礼節

私は、イギリスの小さな町で新婚生活をスタートしました。 そこで接したイギリスでの暮らし方を日本の生活にも取り入れて快適に暮らしていますので、皆さんにご紹介致します。 私が、イギリスで最初に住んだ町はロンドンから車で2時間半の中部にある古い町でした。 初めて住む外国、しかもロンドンから遠く離れた知らない町、全てが不安なスタートでした。 引越し当日に隣人の英国婦人がしてくれた事が今でも忘れられません。

引越し当日、朝からずっと日本から送った荷物の開梱を二人で黙々としていました。引越し作業で疲れ果て、夫婦の会話もなく開梱作業に没頭していたのです。すると、中庭越しに女性の声がしました。「こんにちは~♪ようこそわが町Lichfieldへ~。隣のワトキンスです。少し一休みしませんか?宜しければ、お茶をいかがかしら?」そう云って、塀越しにトレイを手渡して下さいました。そこには、ティーセットとイギリスの代表的なクッキーのショートブレッドが添えられていました。紙コップとペットボトルではなく、素敵な陶器のセットです。

私たちは、そこで暖かい紅茶とクッキーを頂きながら休憩をしました。後ほど、それがイギリスの老舗メーカー「スポード」の陶器であることを知りました。素敵なカップで頂く紅茶は本当に美味しくて、そして何より隣人の優しい心遣いが本当に嬉しくて。暖かく迎え入れて頂いたことに感謝の気持ちで一杯になりました。「ここに越してきて良かった・・・」と夫婦で安堵したのを覚えています。翌日、お礼とご挨拶に伺って更に驚きました。返却した陶器がダイニングのカップボードに綺麗に飾ってあったのです。私達が紅茶を頂いた陶器は、奥様がご実家のお母様より代々引き継いでこられた陶器セットの一部でした。 そんな大切な食器で引越して来たばかりの隣人にティーセットを振舞って下さるなんて。とても感激しました。

「母から譲り受けたもので大切な食器だけど、普段から使っているの。割れたら買い直すから問題ないのよ~。何より大好きだからこうして飾っているの♪」と楽しげに話されました。イギリスの老舗陶器メーカーでは原画やフォルムを大切に保管しているので、かなり古い時代の物でもオーダーすれば製造してくれるそうです。伝統を重んじ、ユーザーを大切にするイギリスらしい仕組みです。その後、我が家もアンティーク家具を購入してティーセットとゲスト用グラスを飾るように収納しています。「飾る」と「しまう」を一緒に叶える「魅せる収納」です。決してしまい込むのではなく、自分の好きな心地よいコーナーとしてこの容量を維持しています。

帰国後、収納コーディネーターの仕事をするようになり、様々なお宅に伺う機会があります。 高価な物、頂き物など大切な物を箱に入ったままで保管されるケースを多く拝見します。 大切に思う気持ちが「取りあえずしまって置く収納」になってしまう事が皆さんにもありませんか? 「しまう」ことよりも、むしろ「使う」ことを中心に収納を考えるようにしてみましょう。 そうすると、箱から出して収める、種類別に収める、頻度が高いものは取りやすい高さに収めるなど、使いやすい収納法が見えてきます。 「沢山持つ」「しまい込む」のではなく「本当に使いたいものは使いやすく収める収納」は心地よいものです。 ご自宅の収納を見直して、お気に入りの空間にしてみてはいかがでしょう?

さて、話は少し変わりますが、今度はイギリスと日本の家のサイズについてご紹介致します。 イギリスの平均床面積は約85㎡で、日本の平均94㎡よりも小さいのです。日本人よりも体格の良いイギリス人が日本とあまり変わらない大きさの家に住んでいることになります。けれど、日本に比べて天井が高いこともあり、閉塞感を余り感じません。 そして収納にも工夫があります。 ガレージの一角には年中行事に使用する物やアウトドア用品をまとめて保管する事により、家の中はすっきりと心地よい空間になっているのです。 また、子供のいる家庭では、生まれる前から子供部屋を用意します。 決して広くはない個室ですが、成長と共にベビールームからキッズルームへと変化させ、子供達は幼少の頃より、自分の物を管理し、自分の部屋に収納する習慣を身に付けるのです。

イギリスに6年半住んでみて更に分かったことがあります。 それは、イギリス人はライフステージに合わせて引越しをするということです。 日本でも若い頃は引越しをしますが、高齢者の引越しは社会問題になるほど、住み慣れた家を離れるのは難しいですよね。 一般的にイギリス人は子育てを18歳までと捉え、上の子から順番に18歳になると家を出ます。結婚生活50年として、家族全員で暮らす期間はほんの15年程になります。子供が独立した後、暫くは夫婦二人でそのまま暮らし、子供達も実家に帰省します。 その後、高齢化したご夫婦は一人になっても自立して暮らせるように、自分たちが管理できる手狭な家に住み替えます。 「ダウンサイズ」という発想です。掃除や補修、メンテナンスなどに掛かる手間や負担を少なくして、小さくて安心な暮らし方を始めます。 イギリス人の隣人を見ながら、人として尊厳のある豊かな人生だと感じました。

長年愛用してきたお気に入りの最小限のものを持って、じっくりと手間を掛けて「シンプルで心地よい家」を作り上げます。 家を磨いて綺麗にして整え、隣人との交流を大切にしながら、自立して生きていくのです。 大量の物や思い出から解放され、これから生きていくのに必要な物、本当に好きな物に囲まれた居心地の良い暮らしです。 決して物が無い訳ではなく、自分で管理できる好きな物だけを持つ、シンプルで豊かな生活です。 リタイアしたご夫婦お二人暮らしのお宅はどの家も丹念に磨き上げられ丁寧に庭仕事がなされ、出窓は美しく飾られていました。 私達夫婦が最初に住んだ家はそんな小さな家が立ち並ぶエリアにありましたので、ご近所の出窓や前庭の花々を拝見しながら、歩くのが愉しみでした。

イギリス人のように「シンプルで好きなものに囲まれた暮らし」をするには物の整理が必要です。 整理をする時には基本的な考え方があります。 かつて使っていたもの(過去)やいつか使うもの(未来)ではなく、 今必要で使っているもの、好きなもの(現在)に視点を置いて考えてみます。 つまり「使っている、好き」のフィルターを通して物の選別をするのです。 そして、使いやすく収めよう、大切に収めようなど「実用性」を考えたり、飾ってみようなど「インテリア性」を意識してみたりしてご自身で維持しやすい心地良いコーナーを作っていきます。 あくまで自分が維持できる収納法にする事がポイントです。 「好きなものに囲まれた心地よい暮らし」は「しっかりした自分の価値観を持った暮らし」の積み重ねなのです。 そう考えると、豊かな暮らしとは「どんな暮らしをしよう」を考える事が第一歩と云えます♪

人が主役のゆとりある暮らし

収納コーディネーター。イギリス・ドイツに17年間在住。帰国後、整理収納とインテリアの資格を取得。「美しい収納と暮らしやすい住まい」をモットーに、個人宅の収納サービスを手掛ける。収納セミナーや資格認定講座の講師を務める。Flexibleフレキシブル代表。

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