費用順! 窓の断熱リフォームの種類と特徴
前回まで、室内と屋外でできる窓の遮熱対策をご紹介してきました。しかし、「遮熱だけでは夏の暑さ対策として不十分」だと清水さんは語ります。なぜなら第1回でお伝えしたように、日射しを遮る「遮熱」だけでは、熱の移動を抑える「断熱」を考えると、「伝導」「対流」の要素が抜けているからです。
「日射量の調整と風通しのよさ、そして断熱性能の向上を実現できれば、一年を通して家全体が快適な空間になります」
なお、住宅の断熱性能を高めるうえで欠かせないのが、遮熱と同様、熱の出入り口である「窓」の断熱対策だといいます。
ここでは窓の断熱リフォームについて、費用が安い順に3つご紹介します。
(1)窓ガラスを「断熱タイプのLow-E複層ガラス(ペアガラス)」に変える
第1回でご紹介した遮熱タイプのLow-E複層ガラスとは異なり、室内側にLow-E膜がコーティングされているのが「断熱タイプのLow-E複層ガラス」です。
遮熱タイプと断熱タイプの違いを理解し、窓の場所によって使い分けることが、窓の遮熱性、断熱性を高めるポイントとなります。
●遮熱タイプと断熱タイプの違い
〈遮熱タイプのLow-E複層ガラス〉
日射量をしっかりとカットすると同時に、断熱性にも優れています。夏の強烈な日射しや西日が入ってくる窓には、遮熱タイプのガラスがおすすめです。
〈断熱タイプのLow-E複層ガラス〉
夏は室内の冷気を、冬は暖気を外に逃がしにくいという特徴があります。シェードや庇の取り付けといった屋外の遮熱対策をした上で、南側の窓を断熱タイプのガラスにすると、冬には日射しの暖かさを効率よく採り入れることができます。
▶LIXIL「Low-E複層ガラス クリア」
室内側のガラスに無色透明の特殊金属膜をコーティングすることで、優れた断熱性能と日射熱取得率の両立を実現。透明度が高いので採光性にも優れています。
(2)室内側にインナーサッシをつけて2重サッシにする(インプラス)
外側の窓をペアガラスにするだけでなく、室内側にインナーサッシをつけて2重サッシにすると、サッシの間と間に大きな空気層ができて断熱の効果がアップします。
清水さんによると、北海道などの寒冷地ではペアガラスだけでは寒さを凌ぐことができないため、2重サッシにしているそうです。
なお、インナーサッシには断熱性の高い樹脂の枠を、室内側の窓ガラスにはペアガラスを使用すると、断熱性をさらに高めることができるといいます。
▶LIXIL「インプラス」
既存の窓の内側に窓を取付けるだけなので工事に費やす時間は1窓あたり約60分(※)。戸建て住宅だけでなく、マンションにもおすすめです。
※現場の状況により施工時間は異なります。
(3)現在の窓枠を残して、サッシを新しくする(リプラス)
現在の窓枠を残しながら、既存のアルミサッシを断熱性の高いサッシへ変えることで、サッシからの熱伝導を防ぐことができます。
▶LIXIL「リプラス」
壁を壊さず、足場も組まず、室内作業のみで施工が完了できるリプラスなら、一日でリフォームが完了。
窓の断熱リフォームには費用がかかりますが、その分高い遮熱・断熱効果を得ることができます。まずはとくに暑い部屋や西日が当たる部屋など、一部の窓への導入を検討してみてはいかがでしょうか。
→ 第4回に続く
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