台風から「窓」を守る 第3回

窓ガラスが割れてしまった! どうすればいいの?

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暴風雨の最中、窓ガラスが
割れた部屋に入る場合

「結論から言えば、暴風雨の最中、窓ガラスが割れた部屋に入るのは危険行為」と、防災アドバイザーの高荷智也さんは話します。
 しかし、「貴重品を取りに行きたい」など、どうしても部屋に入らなくてはならない場合はどうしたらいいのでしょうか。

 高荷さんはこうアドバイスします。

「怪我をしないよう、靴やレインコート、軍手を装備するなど、屋外に出るのと同じ格好をしてください。また、漏電防止のためブレーカーをOFFにしておくとよいでしょう。とはいえ、部屋に入るのは当然危険ですので、おすすめできません。窓対策がどうしてもできない部屋には、そもそも貴重品を置かないようにしましょう」

台風で窓ガラスが割れた時の応急処置

 台風で窓ガラスが割れてしまった場合は、以下のように対処しましょう。

「すぐにガラス修理業者を手配してください。ただし、台風による被害が大きい場合は、ガラス修理業社も忙しく、すぐに来られないケースが想定されます。ガラス修理業者がすぐに来られない場合は、ご自分で部屋を復帰させ、生活できるようにする必要があります。まずは手袋をして、割れた窓ガラスを片付けましょう」

 窓ガラスが割れている場合は、風雨が室内に吹き込んでくるのを防ぐため、次の対策が有効だそうです。

「窓の内側から、窓枠を覆うサイズにしたベニヤ板や合板、プラダン(プラスチックダンボール)、ダンボールなどを当てて、まわりをガムテ-プなどで貼り付けて補強してください。

 一方で、割れた窓部分に風雨が直接当たらないよう、窓の外側にブルーシートなどを貼る必要もあります。ブルーシートがない場合は、ゴミ袋を貼り合わせてサイズを広げ、屋外から貼るといいでしょう。窓ガラスにヒビが入っている場合は、ヒビに添って窓の両面にガムテープを貼り付け、ヒビの拡大を防止すれば最低限はOKです」

窓割れには火災保険が
適用できる場合がほとんど

 台風で窓ガラスが割れてしまった場合、気になるのが窓ガラスの修理代です。実はこの窓割れ、ある条件を満たしていれば火災保険が適用されるそうです。

「加入している火災保険に『風災補償』が含まれていれば、火災保険が適用されます。保険会社の商品によって特性は異なりますが、一般的な火災保険であれば、風災補償は標準オプションになっていることがほとんどです」

 窓ガラスの修理代と同様、家具や家電が水に濡れてしまった場合の補償も気になります。この場合も、ある条件を満たしていれば火災保険が適用されるそうです。

「火災保険の対象には『建物』と『家財』があります。両者に保険を掛けていれば、『建物』で窓ガラスや屋根材、外壁などが補償されるほか、『家財』で家具や家電、衣類、自転車などが補償されます。窓ガラスが割れて室内が水浸しとなり、家具や家電が使えなくなった場合を想定すると、『建物』だけでなく、『家財』にも保険を掛けておくことをおすすめします」

火災保険の申請方法

 保険の申請方法は、一般的には以下の手順となります。

「加入している保険会社のサポートセンター(コールセンター)から、加入した代理店などに連絡をして手続きの依頼をします。この際、被害状況を確認できる写真が必要になるので、被害箇所・家具や家電などはすべて写真を撮影しておいてください。ガラスが割れた場合なども、片付けをはじめる前に写真を撮影しておくとよいでしょう。

 また、保険金額を定めるため、修理費が分かる書類が必要になります。ガラス修理業者から取り寄せた見積書や、すでに修理が完了している場合は領収書などを事前に準備しておきましょう」

 そのほか、自然災害による家屋の被害程度を証明する「罹災証明書」が必要になる場合があります。

「暴風雨で建物が破壊された場合は、居住地の役所で罹災証明書を発行してもらいます。保険請求時に必要かどうかはケースバイケースですので、保険申請時に確認をしましょう。

 なお、建物被害は『罹災証明書』ですが、家財の被害は『罹災届出証明』と、別の書類になります。窓ガラス被害は前者ですが、窓ガラスが割れた影響で家財にも被害が及んでいる場合は、後者の書類もあわせて取得しておくとよいでしょう」

まとめ

 3回にわたってお送りした「台風から『窓』を守る」、いかがでしたでしょうか。
 ご自宅に雨戸やシャッターがない場合、飛来物から窓を守るにはどうしても何らかの対策が必要になります。そして、窓の内側にダンボールや養生テープを貼るといった応急措置では、窓割れを確実に防ぐことはできません。

 台風に限らず、日本は自然災害の多い国です。
 いざという時に慌てないためにも、確実性の高い窓割れ対策を行っていただくことを推奨します。

PATTOリクシル マド本舗

万が一窓ガラスが割れた場合は、プロに相談するのがベストです。もしもの時は「マド本舗」にご相談ください。

お話を伺った方

高荷智也さん

「自分と家族が死なないための防災対策」と「企業の実践的BCP策定」のポイントをロジック解説する専門家。大地震や感染症パンデミックなどの防災から、銃火器を使わないゾンビ対策まで、堅い防災を分かりやすく伝えるアドバイスに定評があり、講演・執筆・コンサルティング・メディア出演など実績多数。著書に『中小企業のためのBCP策定パーフェクトガイド』など。1982年、静岡県生まれ。

文◎八木麻里恵
人物写真◎加々美義人
画像提供◎Shutterstock/PIXTA

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