リフォームするなら
タンクレスも検討
トイレをリフォームするなら、体が思うように動かなくなっても、自力で用をたせることを前提に考えたいものです。
「将来、手すりを設置する可能性もありますし、使いやすくするよう、広いスペースを確保するのが理想です」
一般社団法人日本レストルーム工業会では、こうアドバイスします。
「物理的にトイレ全体を広くできないのなら、できるだけ小型のトイレを選び、スペースを有効に使えるようにしたいものです。最近は、温水洗浄便座の快適性はそのままに、場所を取っていたタンクがないコンパクトなタンクレス便器があります。このタイプを設置すれば、手すりや収納スペースを確保でき、場合によってはトイレ内に小さな手洗いを設けることもできます」
タンクレスの小型トイレなら既存のトイレスペースを広げなくても、収納や手洗いも設置でき、手すりをもつけることもできる。写真◎村越将浩
住み慣れた家により長く住むためのポイントは、
・トイレと寝室の距離を近くする
・動作に必要な空間をトイレ内に確保する
・使いやすい器具を選択する
・手すりが取り付けられるように下地材を施しておく
などです。老後も可能な限り、自宅で自立した生活を送りたい方にとって、トイレの使い勝手はとくに重要です。
とはいうものの、いざリフォームしようと思うと、「工事している間は自宅のトイレが使えなくなるのでは」と不安に感じる方もいることでしょう。
「以前は、便器を交換するには床をはがしたり、床下の排管工事が必要な場合が多く、工事に数日かかることもありました。でも、いまは各社からリフォームに対応した便器が発売されており、便器内で排水位置の調整ができるようになっています」
床上のみの工事で取替えが完了するので、工期は最短1日。当然、施工費用も安く抑えられます。
マンションも同様で、便器の後ろ壁や横壁に排水管がついていても、ほとんど対応が可能です。
新しいトイレにすれば水道代もお得
洗浄水量13リットルのトイレ。こtrを浄水量6リットルの節水型トイレに交換した場合、節水量から換算されるCO2削減量は年間約24.4kg。トイレを変えるだけでエコライフ活動になる。写真◎三星雅人
トイレリフォームは水道料金の節約という観点でもおすすめです。
1回に使用する洗浄水の量は、1996年まで出荷のモデルは13リットルでしたが、翌年には10リットル、2000年には8リットル、そして現在では6リットルに満たないモデルも登場しています。
使用量13リットルのモデルと比較すると、半分以上の節水効果があります。まだ普及率は25%ほど(2016年日本レストルーム工業会調べ)なので、多くの家庭で節水型トイレにすれば、地球環境に貢献するとも言えます。
4人家族で13リットルのトイレの場合、年間7万5926リットルの水を使いますが、最新の節水型トイレなら3万660リットル。
約4万5260リットルを節水でき、水道代は年間で約1万2000円の節約になります。
健康生活維持に
トイレのリフォームを!
温水洗浄便座の省エネ性能や快適性はさらに向上しています。
従来は「貯湯式」といい、水を温めてタンクに貯めておくモデルですが、最近では、ノズルから噴射される分だけ温める「瞬間式」という省エネルギーモデルも登場しています。
まだ普及には至っていませんが、経済産業省資源エネルギー庁の「省エネ性能カタログ2019年」によれば、年間消費電力の平均値は、瞬間式トが「87kWh」で、貯湯式が「170kWh」となっています。平均的な電力単価「27円/kWh」で計算すると年間電気代が2241円節約できます。
貯湯式でも、便座や温水の細やかな温度設定や水圧調整などが可能で、快適性は向上していますし、同時に消費電力の節約もしやすくなっています。
▶経済産業省資源エネルギー庁の「省エネ性能カタログ2019年」
seihinjyoho.go.jp/frontguide/pdf/catalog/2019/catalog2019.pdf もちろん、トイレリフォームでは、公共料金の節約は二次的なメリット。
本丸は、トイレ全体の快適化です。
腰掛けるときに心地よい温度で出迎えてくれる高機能の温水洗浄便座だけでなく、冬場、暖かいリビングから冷えたトイレや風呂の脱衣場などで起きやすいヒートショックを防げるトイレ内の空調や防臭の設備や衛生のうえでも機能的な手洗いも選びたいもの。
リフォームはもう少し先延ばししたいという方も、最新の温水洗浄便座に変えるだけで、腰掛けたときに心地よいお出迎えは実感できます。
快適なトイレは、健康生活にもつながる隠れた生活の中心空間。リフォームは、元気なうちに計画を立てて、早期に実現したいものです。
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