毎日の使用で確認することとは
温水洗浄便座の劣化状況のチェックポイントは、主に以下の8つです。
1.便座のコードにキズがついている
2.便座の固定ピンがない、壊れている
3.便座が温かくならない
4.便座が熱くなる
5.温水にならない
6.ノズルが出ない
7.便座が割れている
8.便座のゴム足が外れている
「これくらいなら大丈夫と、故障したままお使いになっていませんか。これらを発見したら、すぐに
電源プラグをコンセントから抜いて、使用を中止してください」
一般社団法人日本レストルーム工業会では、こう注意を喚起しています。
「トイレは水まわりでもあります。温水洗浄便座のヒビから内部に水が入ったり、断線しかけた電気コードがショートしたり、トイレの洗剤が基板に入り込んだりして、思わぬ事故を招く可能性があるからです」
特に古い温水洗浄便座を使用している場合は、壊れたらすぐにシートの交換、または機能部品の交換を検討したほうが良いかもしれません。
最新機種には、汚れがつきにくい加工がされているものや、ノズルの自動掃除機能などが付属しているものも多く、掃除が楽になるというメリットがあります。
また、年々省エネ効率も改良されているので、最新型に買い替えることで節水にもなります。
「清潔に使いたい」「維持費を抑えたい」という方にも、買い替えによるメリットは少なくありません。
寿命を延ばす「洗剤選び」
トイレの寿命を延ばすには掃除が大切。
小まめに掃除をすれば、それだけ部品の痛みや水漏れなどの兆候に気づけますし、掃除の仕方次第で寿命を延ばすこともできます。
まずは洗剤選びですが、日本レストルーム工業会ではこう指摘します。
「ドラッグストアなどには、便器の汚れ落ちのよいトイレの洗剤が並んでいます。これらは強い酸性か、アルカリ性なのですが、温水洗浄便座には使わないでください。便座や内部の基板を傷め、重大事故を引き起こしかねません」
温水洗浄便座の事故は、年間10件にも満たない件数ですが、油断はできません。
その3分の1が故障継続使用や経年劣化が原因で、火災など重大事故につながっています。
掃除のときに気がついて、修理や交換をしていれば防げる問題ばかりです。
寿命を延ばす「掃除手順」
トイレ掃除の基本は、手や肌が触れる「きれいな箇所」から、便座裏面などの「汚れる箇所」の順で行うこと。
ノズルや温水洗浄便座は水拭きとします。汚れがひどい場合には、適度に水で希釈した中性洗剤(台所用)を含ませ、かたく絞った布で拭き取ります。そして最後に、洗剤成分を取り除くため水拭きします。
ノズルの出し方や戻し方には、「ノズルそうじ」ボタンまたはリモコン操作による自動方式のものと、手動方式があります。いずれにしても、無理に引っ張り出したり、押し込んだりしないようにしてください。ノズルを掃除する際に、このまわりの水漏れのチェックもしておきましょう。漏れがある場合は、パッキンなどのゴム製品の劣化が疑われます。
便器と便座の隙間の掃除は、便座を取外すか、便座リフトアップ機能を使って汚れを落とす。機種によって取り外し方が異なるので必ず取扱説明書を確認。写真◎末松正義
「掃除をする際は、製品の取扱説明書を必ず確認し、必要に応じて電源プラグを抜いてください。基板のある内部に水が入ったり、洗剤が便座本体や便器の隙間に残ったりしないよう、気をつけましょう」
便器と便座の隙間の掃除は、便座を取外すか、最新の機種によく装着されている、便座を持ち上げる「リフトアップ機能」を使い、隙間の汚れを落としましょう。
機種によっては、便座を取り外せないものもあります。取扱説明書を確認し、無理な力を加えないように注意してください。
このような丁寧な掃除は、故障の前兆をチェックでき、寿命を延ばすことも可能です。
とことん掃除はプロに任せる
かつて「ご不浄」とも呼んだトイレは、「他人には見せたくない」という意識が働くせいか、汚れが目につきやすい空間でありながら、「プロのお掃除サービス」などの依頼件数は少ないそうです。
しかし日本レストルーム工業会では、「プロのサービスは一石二鳥。隅々まできれいにしてくれるのはもちろんのこと、その過程で、普段の掃除では見落としてしまう故障の前兆なども指摘してくれます」とも話しています。
水漏れをはじめとする水まわりのトラブルを放置しておくと、床材や配管なども傷んでしまい、大きな出費につながることもあります。陶器部分の結露による床や壁へのダメージにも気をつけたいものです。心配があれば、プロに水まわりのトラブル対策をアドバイスしてもらうのも一手でしょう。
しかもプロの掃除は徹底しており、「一度掃除をしてもらうと、普段の手入れを怠らなければ1年間はキレイを保てる」と言われるほど。
掃除の方法も見せてもらったり、日ごろの掃除やメンテナンスのアドバイスをしてもらういい機会とも言えます。
(第3回に続く)
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