温水洗浄便座付きの
トイレは家電製品
「快適性能を備える温水洗浄便座は、他の家電製品同様、掃除も必要ですし経年に伴う劣化もあり、いつまでも使えるわけではありません」
トイレの「安心・安全」「省エネ・節水」、そして「きれいトイレ文化」を世界中の人たちに発信し、技術的な課題の解決に取り組む一般社団法人「日本レストルーム工業会」では、こう述べています。
国税庁の発表する耐用年数表によると、トイレは「給排水・衛生設備、ガス設備」に区分され、耐用年数は15年と定められています。ですから、これまでは浴室やキッチン同様、掃除を行い、目に見える漏れや詰まりなどに注意していれば、15年間は大きなトラブルに見舞われるようなことはありませんでした。
しかし、家電製品となったいまでは、温水洗浄便座独自のメンテナンス方法を身に着けなくてはなりません。
▶ 国税庁 耐用年数表『建物、建物付属設備の耐用年数
www.keisan.nta.go.jp/h30yokuaru/aoiroshinkoku/hitsuyokeihi/genkashokyakuhi/taiyonensutatemono.html
普及率80%を超えた
温水洗浄便座
日本のトイレと言えば、かつてはいわゆる「和式トイレ」のみでしたが、生活様式の変化から洋式が主流になり、1967年には伊奈製陶(現LIXIL)が温水洗浄便座を国産化させました。
その後、じわじわと温水洗浄便座のトイレが普及し、内閣府が2020年3月にまとめた消費動向調査によれば、2人以上世帯の家庭の普及率は80.2%。100世帯当たりの普及台数は114.4台です。
このように、国民の必需品になった温水洗浄便座は、どのように点検してメンテナンスをしていけばいいのでしょうか。
「家電製品である温水洗浄便座に関しては、内部の電気部品が断線・発熱したりして、発煙・発火にいたる場合があります。何年に1度メンテナンスすればいいというのではなく、洗浄部分の作動状態を含めて、便座がいつもより熱いとか、焦げ臭いとか、洗浄水の温度が上がらないとか、なんらかの異常に気付いたら、コンセントを抜いてメーカーやトイレを設置した工務店などに連絡しましょう。状況に応じて、修理や交換が必要です」
また、温水洗浄便座の外側でジョイントの金具類が緩んでいると、水漏れを起こします。その場合は、レンチやスパナで締め直すことが、応急処置として考えられます。
「温水洗浄便座が漏水するのは、パッキンをはじめとする消耗品パーツの経年劣化が原因のことが多く、応急処置を自らやろうとするとさらに悪化させる恐れがあるので、決して無理せず修理を依頼することをおすすめします」
水まわりの修理は高くつく?
トイレ本体の価格は、決して安いものではありません。しかし、便座に限っては、手が出しにくいほど高価なものではありません。
「温水洗浄便座が経年などで調子が悪くなっても、そのままお使いになる方がいらっしゃいますが、事故につながる恐れもあります。必ず修理・交換をしてください」
温水洗浄便座は、2012年には日本人の新しい生活習慣を創造し国民生活に貢献、家庭用の機械としては初めて、一般社団法人 日本機械学会の「機械遺産」としても認定された。
また、既存の洋式トイレも、便器のサイズに合わせて温水洗浄便座部分だけを購入すれば、快適なトイレにすることができます。
では、温水洗浄便座はいつまで使えるものなのでしょうか。
家電製品の寿命は一般的に7~10年といわれていますが、日ごろの手入れや使い方次第で変わるものなので一概には言えません。
「無償で修理してくれる製品の保証期間は1年とか2年とか、メーカーによって異なりますし、温水洗浄便座の部分と水まわり部分で保証期間が異なるケースがあります。新築やトイレのリフォームをする計画があるなら、製品保証とは別に、オプションで10年の長期保証を選べるメーカーもありますので、先々の故障が心配なら加入しておくのもいいでしょう」
(第2回に続く)
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