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旬を迎えたユリで作る!7月の白いアレンジメント

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こんにちは。フラワーアレンジメントライターの鳴海汐です。

今回は 、夏に入った今まさに旬を迎えている、ユリを使ったアレンジメントを作ります。この時期は、ユリがお手ごろ価格で手に入るので、さまざまな使い方に挑戦するチャンスですよ。

形状としては、「ティアドロップ」と呼ばれる「涙のしずく」の形でアレンジしていきます。

ブーケで人気の形状として、ご存じの方も多いかもしれませんね。ブーケのティアドロップは縦向きですが、今回は横向きにして作ります。

花材は、潔く白いユリだけを使ってみましょう。

白いユリは凛とした印象を与え、暑い夏にもどこか涼しさを感じさせます。そこに、 さまざまな色合いの葉物を使って、「森の中に咲くユリ」のようなニュアンスを足していきたいと思います。夏場はどうしても、切り花は短命に終わりますが、ユリは茎もぬめりにくく、他の花に比べて長持ちしやすいのが特徴です。さらに、ユリの品種にもよりますが、1本の茎にいくつもつぼみがついていて、次々に花が咲くので、1本の花で長く楽しめるという面もあります。

手法としては、投げ入れではなく、オアシスを使った方法にします。前回、「投げ入れのほうがオアシスを使ったアレンジメントより長持ちしやすい」というお話をしましたが、今回の作品の場合、花器の高さがないため、ワイヤーの花留めだとワイヤーへのひっかかりが少なく、花材の固定ができないからです。ただし、オアシスを使ったアレンジは、夏場は数日しか持たないため、少しでも長持ちさせる工夫が必要になります。

ですので、今回は、フラワーアレンジメントを夏場もより長く楽しめるお手入れ方法について、最初にご紹介したいと思います。

夏場にアレンジメントを長持ちさせる方法

アレンジメント全般

夏の時期は、アレンジメントを涼しい場所に置くことが大切です。花器の中の水温が上がるため、投げ入れなどの場合は水に氷を加えるのもいいでしょう。ただし、冷房などの風には直接当てないようにしましょう。また、乾燥しないよう霧吹きでも水を与えるのがおすすめです。

アレンジメントに使うオアシスにも工夫をします。まず、アレンジメントを作る前に、オアシスをバケツの水につけるとき、水温を下げておいたり、活性剤を溶かし込んでおいたりしておきましょう。

オアシスには毎日冷たい水をたっぷり補充してあげることも忘れずに。

なお、活性剤については、代わりに塩素系漂白剤を使って菌の繁殖を抑えたり、砂糖を使って花に栄養を与えたりする人もいるようです。

ユリの花を長持ちさせる方法

ユリの花を飾るときは、葯(やく)と呼ばれる、雄しべの先のオレンジ色の部分を取ると長持ちします。 オレンジ色がアクセントになる場合もありますが、受粉をすると花がエネルギーを使ってしまうため、花が早くしおれてしまう原因になります。また、花粉が花自体や洋服などにつくのを防ぐためにも、葯を取るのがおすすめです。方法としては、花が開き始めたときに、葯の部分だけを軽い力で引き抜きます。ティッシュを使えば、花粉が手につくのを防げるので、ぜひ活用しましょう。花粉は手についたら水洗いでは落ちないので、石鹸で洗ってくださいね。そのほか、ユリの花は触るとすぐ折れ目がついて、そこが透き通ってしまい、見栄えも悪くなってしまうため、極力花に触らないように気を配りましょう。

それでは、今回のアレンジメントをご紹介します。

道具

(上段左)

・トレイ

・オアシス:15.2cm×11cm×8cm(2個)

・花器:直径24cm、高さ6cm(第2回で使った花器と同じものを使いました)

・パレットナイフ(食事用ナイフで代用)

・花ばさみ

今回は、それぞれ色の違うオアシスを2つ使いましたが最終的には隠れるため、色の違いは問題ありません。 第2回同様、手に入りやすい一般的なサイズのオアシスを、複数のブロックに分けて花器に敷き詰めて使いますので、ブロックの分かれ目の部分を避けて、花材を挿していきましょう。

花材

(上段中央から)

・少し小柄なユリ:4本

・ユーカリ:2本

(下段左側から)

・ルスカス:2本

・利休草:2本

・アヤメの葉:4枚

今回使うユリは「メリーバ」という品種です。開く前のつぼみが10センチくらいで、小さいサイズだと言えます。カサブランカなど見事なユリもありますが、メリーバのような小柄のものを使うのがポイントです。。 ラッパ状になるテッポウユリなどもおすすめです。アヤメの葉は、ガラス花器の側面に沿わせてオアシス隠しに使います。ドラセナなどでも代用できますよ。葉の幅が太すぎる場合は、半分に割くなどして使いましょう。

下準備

オアシスはバケツなどに入れ、沈むまで吸水させておきましょう。このとき、必要に応じて活性剤を水に溶かしこんでおくのが、長持ちさせるポイントです。吸水させたオアシスは、トレイの上にのせ、ナイフでカットします。そして、カットしたオアシスを花器に敷き詰めていきましょう。オアシスが1cm程度、花器の上に出る高さになるように敷き詰めていきます。

ユリは茎が長いので、エレガントさを堪能できるのも魅力のひとつです

買ってきた日とその翌日くらいまでは、そのまま活けて楽しみましょう。また、買ったばかりのタイミングでは開いているものが少ないので、アレンジメントをする前に、開花させる目的もあるんですよ。

アレンジメントに使うユリは4本ですが、写真は3本で活けています。基本的には、3本の茎が均等に花器の底に入るようにし、茎を手前に倒して、3本をクロスさせるように活けましょう。

ステップ1:土台づくり

土台作りの基本は、第2回でご紹介したものと同様です。はじめに、花器の内側をアヤメの葉で多い、外側からオアシスが透けて見えないようにします。まず1枚ぐるりと側面に這わせ、透明な部分が残っている部分を補うようにしながら、2枚目以降を這わせていきましょう。アヤメの配置が終わったら、花器にオアシスを置き、オアシスの面取りをします。花を挿しやすくしたり、アレンジメントをくずれにくくしたりするために、オアシスの面取りは必ず行いましょう。

ステップ2:葉物を入れる

利休草を挿します。涙のしずくの形をイメージしながら、オアシスの両サイドから花材を入れ、茎の末端が合流するようにしましょう。

続いて、ユーカリとルスカスを利休草の間に入れます。ユーカリとルスカスは短めに切ってオアシスの周囲に挿し、オアシスを隠していきます。さらに、オアシスの円の内側にも、いくつかルスカスを入れておきます。残りのユーカリは長めに切って、ユリを挿す合間に、様子を見ながら入れていきましょう。

ステップ3:ユリを入れる

ユリを入れていきます。(画像は全体に占めるユリの大きさを把握するため一旦挿したもので、あとから動かしました。)花は、オアシスの中央部分では上を向かせ、それ以外は外側に向かうように配置します。つぼみも向きが同じにならないよう、動きをつけましょう。花器の外に流す部分(しずくの先の部分)については、茎を長めに切ったユリを入れていきます。つぼみも使いますが、白い色を入れないと、花器の部分とつながって見えないので、先のほうに咲きかけ(三分咲き以上)のものを配置しましょう。さらに、ユリの葉もオアシスを隠すために挿していきます。上の画像左隅のように短く切って使いましょう。ユリを全部挿すと、以下のようになります。

ステップ4:形を整える

ユリの花をくるくる回してみたり、挿し直したりしながらバランスを見ていきます。花の向きを変えることで、白い部分の面積を増やしましょう。併せて、葉物の位置や向きも調整します。

完成させる前に、アレンジメントを違う場所に置いてみたり、写真に撮ったりするのもおすすめです。

視点が変わることで欠点に気づくことがありますよ。

上の写真を撮ることで気づいた、飛び出しすぎていたつぼみなどを調整し、完成です。

飾る際には、白が映える場所に置くといいでしょう。先ほどいったん置いた木製の台などは、白いユリがきれいに見えていますよね。なお、つぼみは順次開いていくので、こまめに位置を入れ替えて、開いた花同士がぶつかって息苦しいような感じにならないように、お手入れしていきましょう。

白いユリを使ったティアドロップは、涼し気な水も連想させる、夏にぴったりのアレンジメントです。長持ちするよう工夫しながら、ぜひ、さわやかなアレンジメントを楽しんでみてくださいね。

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鳴海汐さん

花とヨーロッパをこよなく愛するフリーライター。
国内のフラワーアレンジメントスクールで5年間フレンチスタイルを学んだあと、フラワーアレンジメント発祥の地であるイギリス最古のスクールでIntensive Basic Carrier Courseを修了。さらに同国において、フラワージュエリー提唱者Clare Kenwardの個人レッスンを受講。現在はWEBを中心に、花にまつわる話題のほか、イタリア、イギリス留学中に気づいたこと、海外ニュースまで幅広く執筆中。

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