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和室にも合う!6月のブルー系アレンジメント

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みなさんこんにちは。

フラワーアレンジメントライターの鳴海汐です。前回までは、オアシスを使ったアレンジメントをご紹介してきました。今回は、直接フラワーベース(花瓶)に花材を入れていきます。

投げ入れと呼ばれる手法です。

 花瓶に花を挿すとき、全体の形を作るのが難しいと感じたことはありませんか?今回は、そんなときに便利な小道具を使う方法をご紹介しながら、アレンジメントを作っていきたいと思います。

色合いとしては、6月の雨からイメージし、清楚で儚げなブルー系を中心に組み立てていきます。ポイントに華のある紫、爽やかな黄緑、白を加えて、しっとりとしていながらも軽やかな印象になるようにしましょう。

 まず、作り方の前に、6月以降の暑い時期に花を長持ちさせる方法をご紹介します。

夏における花のお手入れ

アレンジメントについては、オアシスを使ったものよりも投げ入れのほうが、花の持ちがいいと言われています。理由としては、オアシスを使ったものの場合、水を入れ替えられないために水が腐りやすく、花が新鮮な水を吸い上げられないためです。

 一方、投げ入れの場合は、後述するように、茎をこまめにカットして、水を吸い上げやすくすることができます。ですので、夏はぜひ、投げ入れのアレンジメントにチャレンジしてみてください。

 投げ入れの場合のお手入れについてご紹介しましょう。

まず、花瓶は直射日光の当たらない涼しいところに置きます。そして毎日水を入れ替え、こまめに茎をカットしてあげましょう。 茎をカットすることには、花材が水を吸い上げやすくする以外にも、傷みやすい切り口を新鮮に保って、水を腐らせないようにする目的があります。

 さらに、水に活性剤を入れるとベター。水の吸い上げがよくなり、花が長持ちするようになります。 花材で言うと、たとえば今回使うニゲラなどは、比較的吸い上げしないものなので、投げ入れのアレンジメントに使う場合は、特に活性剤を入れたいところです。

活性剤を入れた場合は、毎日水を入れ替える必要はなく、水が濁ってくるまではそのままでOK。水が吸い上げられて減ったら、その分水を追加してください。

 なお、活性剤は液体というイメージが強いかもしれませんが、コロコロしたゼリー状の「ジュエルポリマー」というタイプもあります。 100円ショップで見つかりますので、ぜひ活用してみてください。

それでは、今回のアレンジメントをご紹介します。

【道具】

(左から)

 ・フラワーベース:直径9cm、高さ19cm

・アルミワイヤー:直径約2mm、長さ380cm

・花ばさみ

・(できれば)花の活性剤

 アルミワイヤーとは、太めの柔らかいワイヤーのことです。 100円ショップでも手に入ります。

活性剤は、ジュエルポリマーのものを使用しました。

 【花材】

(上段左から)

 ・黄緑のヤツデの葉:2枚

・アルストロメリア:1本(1本にたくさん花がついています)

・スプレーデルフィニウム:3本(1本にたくさん花がついています)

 (下段左から)

 ・黄緑のカラー:3本

・紫で小ぶりのトルコキキョウ:1本(花が7つ)

・ニゲラ:5本(花が5つ、つぼみが15ほど)

 なお、花屋さんで花を買うとき、「長さはどうしますか?」と聞かれますよね。 今回は、少し高さのある作品になるので、長めにしてもらってください。 たとえば、スプレーデルフィニウムとカラーは60cmくらいのものを使っています。

<花材の特徴>

スプレーデルフィニウムは、薄い紙で作ったような可憐さが魅力です。

ニゲラの花は、青が人気。つぼみも、飾ってしばらくすると花が咲きます。さらに、花びらが散ってきたあとも、捨てないで水をやり続けていると、ぷくっとしたふくらみができてきます。なかには、種が入っているんですよ。種を播いて増やしたい方は、ぜひとっておきましょう。 開花時期は4月から7月です。トルコキキョウは、ミニバラのような感覚で使います。

 第2回でもお伝えしましたが、水揚げを良くするために、茎はハサミでカットをするのではなく、手でねじりきるほうがおすすめです。

 ヤツデの葉は、作品に合わせて、色味を淡いものにしています。

 【下準備】

花は、たっぷり水を張ったバケツに入れておきましょう。 今回は、各花材の本数が少なくなっていますが、バケツから花を持ってくる際は、種類別に並べておきます。

ステップ1:花留めのセット

花留めとは、先ほどお話しした「投げ入れをやりやすくする小道具」です。 花留めをフラワーベースに入れることで、茎が動きにくくなります。

作り方とセットの方法は簡単。まず、アルミワイヤーを適当にぐしゃぐしゃと丸め、ワイヤーの両端をねじって留めます。 次に、丸めたものを、フラワーベースの形に合うように整えて、フラワーベースに入れましょう。今回は、フラワーベースが縦長の形ですので、上下に引き延ばすのがポイントです。

 なお、あとで花を挿していくときに茎が挿入しづらいところがあったら、茎などを使って穴を広げるか、一度取り出して手で変形させてみてください。

ステップ2:葉を入れる

ヤツデの葉を2枚左右に入れます。 葉がフラワーベースの口より少々高くなるくらいに、茎の長さをカットしてください。

ステップ3:アルストロメリアを入れる

次に、アルストロメリアを低い位置に入れます。

アルストロメリアには取れかけの花がついている場合がありますので、そこは摘んでしまいましょう。 また、アルストロメリアはたくさん花が密集していますが、密度が気になるようなら間引いてもOKです。

ステップ4:輪郭を作る

続いて、スプレーデルフィニウムを入れます。これを輪郭にし、背景としましょう。

まず、入れる前に、花材の形を整えます。水に浸かることになる下の部分についた花は、切り分けておきましょう。切り分けた部分はあとで使うので、取っておいてください

 なお、スプレーデルフィニウムに限らず、浸かる部分の葉、横に飛び出た茎、棘などはすべて取り去りましょう。葉や茎、棘などが水に浸かっていると、水が腐りやすくなってしまうため、それを防ぐのが目的です。あとで使うことのない葉は、手でしごいて落とすと楽に処理できます。

茎は、ハサミでカットしましょう。棘は指で折っていきますが、棘取りの器具もありますので、お好みで活用してみてください。そのほか、茎の部分にでっぱりがあると、あとでやり直すために一度入れた花を引き抜こうとしたとき、ワイヤーに引っかかって抜けにくいので、しっかり整えてください。花材の形を整えたら、フラワーベースに入れていきます。高さの目安としては、「フラワーベースの高さ:その上に出る花材の高さ」が1:2。つまり、全体の高さのうち、フラワーベースの部分が1/3になります。うまく調節して、バランスを取ってみてください。

 今回のアレンジメントは、壁を背にして飾る作品ですが、全体が前かがみにならないよう、横からもチェックしましょう。

ステップ5:カラーを入れる

輪郭と背景ができたら、今度は色と形がアクセントになるカラーを入れましょう。

 今回は3本使っていますが、カラーのように花材のなかで目立つものは、このように奇数のほうがバランスを取りやすくなります。 カラーは角度によって見え方が違うため、3本がそれぞれ同じ向きにならないように動きをつけるのがポイントです。また、奥行きを出すために、前後にずらしながら入れます。長さも変えて入れていきましょう。

ステップ6:トルコキキョウを入れる

ここで、紫色を添えるトルコキキョウを入れます。トルコキキョウは、1本の茎にいくつもの花がついているので、切り分けて使いましょう。ただ、花同士が接近してついていて、切り分けることが難しいものはそのまま使います。今回は、7つついている花をすべて切り分けて使いました。葉はそれほどについていないことが多いのですが、邪魔なら適宜むしってください。

 切り分けた花は、密集しないように、散らしながら配置します。花の顔も、あちこちを向くように変化をつけてください。ここで、スプレーデルフィニウムの背景を意識することが重要。その範囲からはみ出さないよう注意しながら配置しましょう。

ステップ7:ニゲラの花とつぼみを入れる

ニゲラの花を配置します。トルコキキョウのときと同様、散らすような配置や顔の向きを意識しながら入れていってください。花を入れ終わったらつぼみをプラス。つぼみのほうは、少し輪郭からはみ出す感じで入れてあげるとかわいくなります。

ステップ8:スプレーデルフィニウムの短い茎を入れて完成

最後に、ステップ3で取り置いておいたスプレーデルフィニウムを、アルストロメリアの背後から入れていきます。

 現状では、下のほうにあるアルストロメリアのあたりが密集している一方、上のほうは透けているので、その間をグラデーションのようにつなぐイメージで入れていきましょう。スプレーデルフィニウムのような花ではなく、大きな葉を背後に入れるやり方もありますが、今回は風通しのいい雰囲気にしたいので入れませんでした。

 すべての花材を入れ終わったら仕上げです。できるだけ、カラー、トルコキキョウ、ニゲラの顔がかぶらないように調節しましょう。花の位置を少し変えたいときは、茎を押し込んだり引き上げたりするほか、茎をくるくる回転させて位置をずらしたり、ほかの花の茎に絡ませたりすると上手くいきます。全体のバランスは、引いた位置から見てみたり、カメラのファインダー越しに見てみたりすると、つかみやすくなります。

全体が調節できたら完成です!

こんな風に、和風のお部屋にもマッチしますよ。

 今回は、気軽にできる投げ入れの手法をご紹介しながら、アレンジメントを作っていきました。ワイヤーの花留めは使いまわしができるのもいいところです。また、ガラスのフラワーベースの場合、ワイヤーが透けて見えて、涼し気な印象もアップします。

ぜひ試してみてくださいね。

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鳴海汐さん

花とヨーロッパをこよなく愛するフリーライター。
国内のフラワーアレンジメントスクールで5年間フレンチスタイルを学んだあと、フラワーアレンジメント発祥の地であるイギリス最古のスクールでIntensive Basic Carrier Courseを修了。さらに同国において、フラワージュエリー提唱者Clare Kenwardの個人レッスンを受講。現在はWEBを中心に、花にまつわる話題のほか、イタリア、イギリス留学中に気づいたこと、海外ニュースまで幅広く執筆中。

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