新時代の花粉症対策[第5回]

アロマテラピーは効果がある?

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どんなエッセンシャルオイルがお勧め?

ピュアなエッセンシャルオイル以外にも、スパイスを加えたものなど、さまざまなオイルがあります。

 アロマテラピーとは、花や樹木、フルーツなどから香り成分を抽出したエッセンシャルオイルを身体に取り入れることで、心身のトラブルを穏やかに回復し、美容や健康に役立てていく自然療法です。

 けれど、自然療法や民間療法には、化学的な根拠に乏しいものが少なくありません。果たして花粉症にアロマは効くのでしょうか。

「私は、一定の効果はあると思いますよ。薬効という話だけではなく、アロマを嗅ぐことで気分もリフレッシュしますから。気持ちがすっきりすると、集中力が出ますし、身体も動かしやすくなります。花粉症による鼻づまりや鼻水、くしゃみ、目のかゆみなどは本当にストレスになりますから」
 こう話すのは、千代田漢方内科クリニックの信川益明院長。

 実際に、ミントなどのエッセンシャルオイルは、鼻づまりを楽にしてくれます。

アレルゲン低減の効果が期待できる
トドマツのオイル

「気分的にも、アロマを焚いたり嗅いだりするのは良いと思いますね。それだけでなく、最近の私の研究で、実際にアレルゲンを低減させる効果があると分かってきたのが、トドマツのエッセンシャルオイルを使った製品です」
 こう解説するのは、埼玉大学の王青躍教授です。

「トドマツは北海道などに自生する、モミの仲間の針葉樹です。エッセンシャルオイルは、100%トドマツのものだけでなく、それを使用した花粉症グッズが出始めています。私たちも企業(※)と共同で開発し、特許を取得した花粉対策グッズとアロマオイルがあります。トドマツのオイルを嗅ぐのはお勧めだと思います」
※エステー株式会社

アロマオイルはどう使うのがおすすめ?

湯呑みほどのカップにお湯を入れ、そこにオイルを2〜3ダッシュ垂らして香りを嗅ぐだけでもOKです。

小瓶のエッセンシャルオイルなら携帯性もあります。外出時にマスクに垂らしたり、鼻の周りに塗ったりするために持ち歩くのも良いでしょう。

 こうしたアロマオイルを嗅ぐために必要なのが、アロマを焚く道具です。一番知られているのが、皿のようなものに水を入れてアロマオイルを数滴落とし、下でろうそくを焚いて温めるもの。ろうそくの炎の揺らぎが癒やしになります。いろいろなデザインのものがあるので、部屋にマッチしたものを探すと良いでしょう。

 火を使うのが不安という方には、電気敷きのアロマディスペンサーなどもあります。熱湯を入れたマグカップなどにオイルをたらし、その湯気を嗅ぐのもいいでしょう。

 外出時にもミントを使いたいなら、小さい瓶を買うか、スプレータイプのアロマオイルを買いましょう。1mlほどを鼻の下に塗ったり、マスクに垂らしたりすると、花粉症の鼻づまりが軽減できます。
ただし、ミントオイルの刺激はかなり強いので、マスクに垂らすなら出かける10分くらい前にしておきましょう。
 前述の上標油、ユーカリ、トドマツのオイルなどは、ミントより穏やかです。

 ここまで5回にわたって、コロナ禍を踏まえた新時代の花粉症対策についてお伝えしてきました。
 花粉症を抑える一番の対策は、免疫力を上げることです。

 王教授はこう話してくれました。
「コロナ禍や花粉症などで塞ぎ込んでストレスを溜めたり、無理な生活を送ったりすることが一番良くありません。楽しく働き、美味しいものを食べ、よく眠る。ストレスの溜まらない健康な身体をつくる。それが一番の花粉症対策でしょう」

〈お話を伺った方〉

王青躍さん

埼玉大学教授。都市大気汚染計測、対策技術、再生可能なエネルギーの研究と同時に、花粉症原因物質の飛散挙動、PM2.5などの大気汚染による花粉症への増悪、花粉や大気汚染対策研究を行う。NHK「おはよう日本」をはじめ、近年110回以上のテレビ番組等に出演・解説。ほか、新聞・学術誌でも研究成果も数多く取り上げられている。

信川益明さん

漢方薬と西洋薬を組み合わせた治療を行う千代田漢方内科クリニック院長。内科一般、漢方全般を診る。アレルギー、皮膚科の治療の評判が高い。医学博士、慶應義塾大学大学院医学研究科博士課程修了、慶應義塾大学医学部教授を経て、現職。(一社)日本健康科学学会理事長、厚生労働省委員、(一社)日本健康食品認証制度協議会理事長なども務める。

取材・文◎坂井淳一(酒ごはん研究所)

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