年末に光る匠の節約術![第2回]

【STEP2】無理しない「ムダ消費」の抑え方

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2021年の最後、
生活費のリバウンドが危険!

 12月の食費がいつもより増えるのは想像しやすいですが、それ以外に生活費が高くなる要因は、何があるのでしょうか。

「生活費とは、手取り収入から、家賃などの固定費と貯蓄を差し引いた額を指します。つまり、娯楽に使うお金や、クリスマスプレゼントを買う費用も、すべて生活費。毎月使う金額が変わるので、変動費とも呼びます」

 そうなると、年末は特に注意が必要そうですね。
 丸山さんによると、2021年の年末は例年よりも、生活費の増加に気を付けるべきとのこと。

「2020年は、コロナ禍の影響で外出が自粛されていたこともあり、消費が少なくなっていました。けれども、2021年は緊急事態宣言も解除され、外出の機会が増えるでしょう。そういったコストが、リバウンド気味に家計に響いてくる可能性が高いのです」

 たしかに、これまで我慢していた分、浮き足立ってお金を使ってしまうことも考えられますね。しっかりと予算感を持っていないと、思っていた以上に出費が膨らんでしまいそうです。では、具体的にどのような支出増が想定されるのでしょうか。

「特に外食、旅行に関するコストが増えると予想されます。旅行補助や外食割引のキャンペーンなどはお得ですが、それに振り回されてしまうと大変です」

少しの工夫で、毎日の食費を抑えよう

 しかし、第1回でお伝えしたように、ある程度の「贅沢」は節制に効果的。「無駄な出費を減らして、浮いたお金で豊かに暮らす」を実践するには、日常の食事にかかる細かい費用から、抑えていきたいものです。

「食費を抑えるためには外食や惣菜に頼らず“自炊”をメインにすることが大切です。まずは、冷蔵室・冷凍室の中を片づけ、先に使い切りたい食材を目につきやすい場所へ移動しておき、整理整頓をしましょう。加えて、年末年始に向けて食材を買うためのスペース確保に努めると、“自炊がしやすくなる冷蔵庫”になります」

 この機会に、賞味期限切れの食品などもチェックしてメモをしておけば、必要なものがはっきりして、買い物も1度で済みそうですね。
 また、冷蔵庫・冷凍庫は、早めに手を付けると他のメリットもあるとか。

「年末は特に、安価な節約食材が売り場から消え、少し高めに価格設定された年末年始仕様の食材が店頭に並ぶでしょう。そうなる前に豚コマ肉や鶏胸肉といった節約食材を購入、小分け冷凍しておくと、食費が抑えられるのです」

 安く買えるうちに必要なものを揃えておけば、不要なコスト増加を避けられるということ。
 では、実際に料理をする際のコツはあるでしょうか。

「『頑張らない自炊』を心がけましょう。たとえば、“下味冷凍”がおすすめ。肉や魚に下味を付けて、冷凍します。食べたいときに解凍して、煮たり焼いたりするだけの状態にしておくのがベスト。冷蔵庫にある野菜とあわせて、一品完成するようなメニューを考えてみるのもいいでしょう」

 もし、目当ての食材の値段が高くなってしまっていたら、こだわらずに「他のもので代用する」ことを考えれば、もう一歩、節約上手に近づけるそうです。

「時期にかかわらず、値上がりする食材もありますよね。わざわざ高くなった食品を買うよりも、それと似たものを代わりに使うのはかなり効果的です。小麦の高騰でパンが値上げしたから米を食べる、豚バラ肉ではなく豚コマ肉にしてみるなど、さまざまな手法がありますね」

みんなで一緒に、快適な節電を……

 年の終わりは、公共料金、特に光熱費が非常に高くなるという丸山さん。

「家にいる時間が増えるので、電気代は上がりやすいといえるでしょう。また、冬は水温が下がっているため、沸かす際と沸いた後の保温にもガス代が思った以上にかかり、高くなりやすいので、続けて入浴するなどお風呂の入り方にも注意しなければなりません」

 寒さが厳しくなってくる時期は、家計への影響も大きい。とはいえ、風邪をひいてしまっては、余計な出費が増えてしまう。
 どうすればお金をかけずに、快適に過ごせるのでしょうか。

「暖房を上手に使うことが、とても重要になってきます。家族みんながひとつの部屋に集まり、電力消費を抑える『ウォームシェア』を意識してみましょう。極力、リビングで過ごすようにして、複数の場所で各々が空調や照明を使わないようにします」

 また、暖房自体の温度設定にも、気を付けることが必要です。

「基本的なことですが、暖房はなるべく20度くらいを目安にしましょう。温める範囲を狭くしたり、窓ガラスから熱が逃げたり、冷気が入らないように厚手のカーテンを閉める。1枚羽織るなど、暖かい服を着て調節していけば、節電することができます」

 湯たんぽを使うのも経済的かもしれません。寝るときだけでなく、足元に置いておくだけでも温暖効果があります。熱湯が漏れて火傷をしないよう、よく注意しましょう。
 同じように、ガス代を減らすには、どうすればいいのでしょうか。

「給湯が一番のポイントです。低温から高温にする際にガス代がかかりますから、温める回数を少なくすることが重要ですね。追い焚きを減らしたり、シャワーを使わないようにしたり、自動運転を止めておいたり、細かな心がけを習慣にできれば、4人家族で月1,000円単位の節約につながります」

 日々、少しずつ意識を変えていくことが大切なんですね。

 次回は、新年をより良く迎えるための心構えと、徹底した家計管理術について、引き続き丸山さんにお話をうかがいます。

≪お話を伺った方≫

丸山晴美さん

節約アドバイザー。22歳の時に節約に目覚め、2001年節約アドバイザーとして独立。ファイナンシャルプランナー(AFP)、消費生活アドバイザー、調理師などの資格を持ち、身の回りの節約術や、ライフプランを見据えたお金の管理運用のアドバイスを各種メディアで行っている。主な著書に『1年で100万円貯まるすっきりお片づけ生活』『節約家計ノート』『節約の作法』など多数。

文◎熨斗秀信
撮影◎平野晋子
写真提供◎Shutterstock

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