年末に光る匠の節約術![第1回]

【STEP1】12月の「ダラダラ出費」。ワケと対策

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無意識に緩む財布のヒモに、ご注意を……

 1年の締めくくりは、大掃除に年越しの準備、何かと外出の用事も増え、忙しい時期。あっという間に過ぎ去っていき、気づいたらお財布の中が空になってしまっていた。
 一体何にお金を使ったんだっけ……。誰もが一度は、この謎を抱えたことがあるのではないでしょうか。

「12月は、無意識のうちに支出が多くなりがちです。クリスマスや忘年会など、普段はない催しが多く、歳末セールのような機会もあるので、余計に出費がかさんでしまいますよね」という丸山さん。

 消費が加速する原因は、イベントが多いことだけではないようです。

「冬のボーナスで収入が増え、気が大きくなるのも原因のひとつ。どうしても財布のヒモが、緩くなってしまうんです」

 たしかに、いつもよりちょっと気前が良くなっているかもしれません。プチ贅沢が積み重なると、意外と大きな額になっているものですよね。そう考えると、年末の出費を自制するには、強い意志を持って切り詰める、ハードな戦いをしなければならなさそう。

「お金を使うことを、悪いと思わないでください。大切なのはメリハリ。“使うべきところ”と“抑えるべきところ”をしっかり区別すれば、無駄遣いをなくせるでしょう。『使い道を見極めて消費する』ことが、年末の家計管理における最適な考え方です」

 用途に注意して、浪費しないようにすることが、節約の第一歩。これなら今すぐにでも実践できそうです。

師走を言い訳にしないで、リストで管理!

 丸山さんによれば、支出面をしっかり管理しようという“心がけ”が重要なのだとか。

「節約できる出費だとわかっていても、ついつい『この時期だから仕方ない』と自分に言い訳をしてしまうこともあるでしょう。特に、この時期に増えやすいのが“時間をお金で買う”という行動です」

 具体的には、どのようなことが挙げられるでしょうか。

「たとえば、『残業で疲れたから』という理由で、電車がまだあるにもかかわらずタクシーを使う。冷蔵庫に食材が余っているのに、料理をするのが面倒に感じて外食やテークアウトに頼ってしまう。こうした言い訳出費は、身のまわりにたくさん潜んでいます」

 もちろん、タクシーに乗るな、外食をするなという話ではないでしょう。ただ、師走の忙しさを理由に、いつもだったら“抑えるべきところ”で、必要ない出費がかさんでしまわないよう、注意すべきということですね。

「簡単に無駄な出費や時間を減らす方法は、2種類のリストを作成すること。ひとつめは『年末の行動プランリスト』で、もうひとつは、そのプランに対する『かかる金額をまとめたリスト』を作っていきます」

 頭で考えるだけではなく、紙に書き出して計画を立てたり、予算を組んだりすること自体が、節約につながってくるのだそう。

「お金を使う目的をはっきりさせ、それに対する予算を決めることで、お金の優先順位を決めることができるため、優先順位の低い出費を抑えられるのです」

余ったお金で、ちょっぴり贅沢を

 効率良く支出を管理する方法は、わかりました。これで知らない間に懐が寒くなっている、という事態は避けられそうです。
 一方で、年の終わりくらい何も気にせず、好きにお金を使ってしまおうという考えもあるでしょう。丸山さんはそんな人たちにも、節約をおすすめします。

「年の瀬に乱れたお金の使い方をすると、ズルズルと翌年にも引きずる可能性が非常に高い。けれども、しっかりと節制しておけば、その後も無駄遣いをなくす習慣が身についているでしょう」

 節約を習慣化させるのか、浪費癖を身に付けてしまうのか。年末の意識が、翌年の家計を大きく左右しそうです。
 また、ある程度の“贅沢”も、余計な出費を抑える効果的な手段なのだとか。

「そもそも節約というのは、生活水準を下げてわびしい思いをするものではありません。『無駄な出費を減らして、浮いたお金で豊かに暮らす』ことを忘れないでください。コンビニでついつい買って食べてしまうお菓子を少し我慢して、クリスマスのディナーをちょっと素敵にグレードアップする、といった目的のために行うべきなのです」

 節約は、決して身を削ることではなく、自分の幸福をより大きくするための方法なのですね。

 次回は、無理せず家計の支出を抑える方法について、丸山さんにお話をうかがいます。

≪お話を伺った方≫

丸山晴美さん

節約アドバイザー。22歳の時に節約に目覚め、2001年節約アドバイザーとして独立。ファイナンシャルプランナー(AFP)、消費生活アドバイザー、調理師などの資格を持ち、身の回りの節約術や、ライフプランを見据えたお金の管理運用のアドバイスを各種メディアで行っている。主な著書に『1年で100万円貯まるすっきりお片づけ生活』『節約家計ノート』『節約の作法』など多数。

文◎熨斗秀信
撮影◎平野晋子
写真提供◎Shutterstock

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