建物の異変を「目視」と「音」で確認
シロアリに浸入され、被害が起きているかどうかは、「目視」と「音」で診断することができます。被害が進行した場合、柱が下がってきたり、棟や軒の稜線が波を打ち、室内の障子やふすま、雨戸などの開け閉めがしづらくなります。
家の土台にも確認ポイントがあります。基礎のコンクリートや束石、さらには土台にシロアリの通り道である「蟻道」があれば、もう赤信号です。
そして土や木材のカスにシロアリの排泄物や分泌物を練り合わせた「蟻土」が柱、壁や梁の割れ目や継ぎ目に盛り上がっているかどうかも確認ポイントです。
「シロアリは乾燥が極端に苦手です。実験でシロアリをシャーレの上に放置すると30分ほどで死んでしまいます。多少湿気があっても、空気の流れがあれば活動しません。そのような弱い生き物ですので、湿気のある床下や土台で蟻道というトンネルをつくり、移動できる快適な湿度を保っているのです」
シロアリ対策のプロ、テオリアハウスクリニックの南山和也さんはこう解説します。
また、柱など木材の表面に穴が開き、中に紙を重ねたような食痕があった場合も、被害が進んでいるとみていいでしょう。シロアリは木材の堅い部分は食べ残すため、紙を重ねたような食痕ができるのです。
そして音です。
壁や柱を堅いものでたたくと、健康な木材は“コツコツ”と詰まった音がしますが、被害が進むと中に空洞ができているため、“コンコン”と響くような音になります。
羽アリが出たら相当マズイ!
最もわかりやすいポイントは、羽アリの発生です。これはかなり深刻な段階といっていいでしょう。
シロアリは繁殖期になると羽が生えて地中から出てきます。ヤマトシロアリの場合、巣の中のシロアリが5万匹を超えると、ハチやアリのように新たなグループが巣をつくるために表に現れるのです。
「羽アリになると、シロアリの色は白から黒に変わります。これがクロアリの羽アリと紛らわしく、素人目にはよく間違えてしまうのです。ヤマトシロアリは4月後半から5月後半頃に出現します。すぐにいなくなるので大丈夫かなと思いがちですが、その時に駆除しないと、巣の中には5万匹のシロアリが生きているというわけですから、さらに1年間、家を蝕んでいきます」
クロアリの羽アリの場合は、出現するのは6月から7月が多く、10月くらいまで。こちらは家への被害はないので、クロアリを駆除してもシロアリの活動は続きます。
床下にもぐってチェック
シロアリ業者に依頼する前に、自分で床下にもぐってみてシロアリの被害を確認するのも一つの手です。
汚れてもいい服装で、軍手、ゴーグル、マスク、それにヘルメットがあれば頭を守れていいでしょう。懐中電灯、ハンマー、バール、マイナスドライバーをお忘れなく。
まず床下への入り口を探しましょう。縁側があるお宅はそのまま縁の下へ、ふさがっている場合は、洗面所などに点検口があればそこから床下にもぐります。キッチンに床下収納庫があれば、それを外せば床下への入り口になります。
床下に異常な湿気があれば、そこはシロアリにとっていい住環境です。そして、蟻道や蟻土がないか探しましょう。柱をハンマーでたたいて“コンコン”と響く音がしたら要注意。もしシロアリにやられていれば、バールやマイナスドライバーを軽く当ててみるだけで、木材が削れるはずです。
床下でシロアリを発見したら業者に駆除を依頼します。
「このとき、何とかしなくてはと自分で蟻道を壊してしまう方がいらっしゃいます。後で業者が生息状況や被害範囲を確認しにくくなりますので、なるべく残しておいてください。そして一刻も早い対応が必要です」
シロアリ被害は日々進行します。セルフチェックで異変を見つけたら、すぐに業者へ相談をしましょう。
会員登録 が必要です