この夏、電気や水の使用量の大幅減をめざす![第2回]

SDGsに貢献できる電力会社の選び方

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自然エネルギーメインの電力会社を選ぶ意義

 そもそも、自然エネルギーや再生可能エネルギーを使っている電力会社を選ぶ意義は、どういうところにあるのでしょうか。

「温暖化などの気候変動で地球環境が危ないと叫ばれている昨今、石炭火力発電のように、電気を生み出す過程で大量のCO2を排出する発電方法に比べて、太陽光や風、水などからCO2排出ゼロで生み出されるエネルギーや再生可能エネルギーのほうが、地球への負荷は少ないと言えます。

 以前はコストが高く、電気料金も高かったのですが、今は技術の発達によって私たち一般市民にもやさしい価格になっています。ならば自然エネルギーや再生可能エネルギーを多く使用する電力会社を選ぶことを積極的に検討してみてはいかがでしょうか。そもそも、私個人としては、人間も自然の一部なので、エネルギーも自然の恵みをいただくほうが自然だと考えています」

 CO2を排出しない、クリーンエネルギーである自然エネルギーを元にする電力会社を選ぶことは、SDGsの目標7の「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」、13の「気候変動に具体的な対策を」、12の「つくる責任 つかう責任」、さらに、11「住み続けられるまちづくりを」に繋がっています。
 ゆえに、そのような電力会社を選ぶことはSDGsの目標達成に大いに貢献できるのです。

自然エネルギー電力会社の選び方

 実際に星野さんも自然エネルギーを使う電力会社に変えたそうです。たくさんある電力会社の中でどのようにして選べばいいのでしょうか。

「今は自然エネルギーメインの電力会社もたくさんありますが、車や家電、引っ越しと同じくたくさんの電力会社をいろいろな項目ごとに比較してどの会社が一番自分に合うかがわかるサイトがあるので(※)、そちらで調べるとよいでしょう」
※ 参考サイト:価格.com https://kakaku.com/energy/

確認すべきチェック項目

 いろいろな項目がある中で、最終的に判断する決め手となるのは自分の価値観だと星野さんは言います。

「同じ自然エネルギーの電力会社でも、ポリシーや取り組みはその会社ごとに違います。ですので、自分が何を一番大切にしたいのかを軸に考えればいいと思います。例えば皆さんが洋服を買う時、デザイン、色、素材、価格などの中で一番重視したいポイントで選びますよね。それと同じです。

 私は発電のCO2排出量ゼロで、家庭から排出されるCO2の約半分を削減でき、地元の地産地消のエネルギーを応援している点に共感して、『みんな電力』という電力会社に変えました。具体的には自然エネルギーを推進するために利用者が使った電力の何%かを自然エネルギーの団体に寄付できるんです。

 しかも、寄付先も選べるようになっていて、私は千葉在住なので千葉のソーラーシェアリングというエコエネルギーの会社に寄付しています。さらに電気料金は変わらずに毎月100円を、ふるさとや想い出の場所など、好きな発電所に届けることができるんです。
 私の家計には負担がなく、ただ電力会社を変えるだけ。電気料金も従来の電力会社とほとんど変わらないので、お勧めの行動だと思います」

 風、水、太陽から作られた電気を調達し、CO2排出量を削減できるプランは、「みんな電力」以外にもあります。契約年数が長くなるほど電気料金がお得になる電力会社や、電気代の1%が自然エネルギーを増やすために使っていたり、自然エネルギーの発電所を増やせたり、発電所の売電収益の一部を地域の農業振興などに活用している電力会社もあります。

 このような再生可能エネルギーの電力会社を選ぶと、料金内訳の「燃料費調整」の値引き分が通常の電力会社より大きくなり、お得になる可能性もあります。

 毎日使う電気だからこそ、その調達元や支払った電気料金の使われる先が地球環境のためになるような電力会社を選ぶことも、SDGsの目標達成に十分貢献できます。
 どんな電力会社があるのか、調べるだけでも楽しいので、検討してみてはいかがでしょうか。

≪お話をうかがった方≫

星野智子さん

一般社団法人SDGs市民社会ネットワーク理事、一般社団法人環境パートナーシップ会議副代表理事。1998年から地球環境に関する国内外の国際会議の運営に従事。2002年のヨハネスブルグ・サミット、「国連持続可能な開発のための教育(ESD)の10年」推進運動、2010年の生物多様性COP10の市民ネットワーク、リオ+20地球サミットNGO連絡会の立ち上げ・運営にも従事。2003年より地球環境パートナーシッププラザ(GEOC)の運営に参画、多岐の市民活動に関わる。2012年SDGs策定プロセスが始まって以降、SDGsをテーマとした講演や普及活動を行っている。

文◎山下久猛 撮影◎大平晋也

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