片づけられないのには理由(わけ)がある 第1回

5つの「タイプ別収納法」で、誰もが今日から「ぱぱっとさん」に!

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自身のタイプを知れば
「片づけ、無理~っ!」から脱出できる!?

 スッキリ綺麗な部屋で過ごしたいと思いながらも、生活をしていればモノは散らかっていきます。キッチンは毎日の食器や調理器具で雑然とするし、お風呂へ入れば洗濯物は出ます。寝具や玄関も、人が出入りすれば汚れて当然でしょう。

「美的ハウスキーピングサロン」を主宰する中村美香さんは、片づけが苦手な人たちを指導するなか、5つのタイプに分類できることに気づきました。自分がどのタイプかを知れば、片づけが苦手な理由がわかり、必ず「片づけ上手」になれるといいます。

 今回はまず、片づけなれない理由をタイプ別に分類し、その解決法を中村さんに伝授していただきました。

1.世話焼きタイプは……
家族の自立を促して、自分の時間を確保する

 子どもや夫が散らかしたモノの片づけに追われて、掃除や整理整頓を疎かにしてしまうのが、「世話焼きタイプ」。

 朝、忙しい時間なのに夫を駅まで車で送ったり、必要以上に子どもの面倒をみたり、まるで家政婦のような「お世話」のせいで、本来やらなければいけない自分の仕事ができていない……、ということはありませんか?
 そういう方は、家族の自立を促し、片づけに集中できる環境をつくることからはじめましょう。

 たとえば、子どもが幼稚園児なら、遊んだおもちゃを一緒に片づけるところからはじめます。
 小学生になったら「学校のプリントをカバンから出す」「お弁当は自分でカバンに詰める」というようにルールを決め、年齢に合った自立性を身に付けさせたいものです。

 夫に対しても同じです。毎日、脱いだパジャマが出しっぱなしという状態なら、それを見過ごしてきたアナタにも責任があるかもしれません。キレイを保つためには、家族の協力も必要です。
 もし、片づけが苦手な家族がいたら、脱いだモノを入れる籠を寝室に用意しておくなど、最低限のラインを設け、自立を後押ししてあげましょう。

「我が家でも主人がテレビを見ると、いつもリモコンなどが散らかっていたので、リモコン専用の収納ケースを用意しました」という中村さん。
 ソファーから手の届くところに専用ケースを設置し、テレビを見たあとは、その中にとりあえず納めるというルールを設けたことで、ご主人もリモコンを片づけてくれるようになったそうです。

 このように、「どこへ収納すれば片づけやすいのか?」ということを基本に、家族の動線を考えた収納スペースを確保することが、みんなでキレイを保つコツだと中村さんは言います。

 確かに「置く場所を決める」だけで、家族の協力が得やすくなり、片づけがスムーズになりそうです。

2.苦手意識タイプは……
整理整頓は技術! 収納スペースの許容量を理解する

「親も掃除が苦手だったし、遺伝的に私もできなくて当然……」という方は、「苦手意識タイプ」です。片づけ方がわからない、片づけてもすぐに汚れてしまうというように、「自分は片づけが苦手だ」と悩んでいたら、まずは片づけ方の見直しが必要になります。

 整理整頓という言葉がありますが、整理とは、モノを種類別に分けて本当に必要なモノだけを厳選する作業です。整頓とは単純に並べるだけ。「整頓」はできても「整理」ができていなければ、片づけたことにはなりません。

 たとえば、廊下の収納庫に、トイレットペーパーなどのストック類と掃除道具を入れると決めたとします。でも、はじめから容量がいっぱいで押し込むように片づけていたら、後日「安売りしていたから」と、つい買ってしまったトイレットペーパーを収めるスペースがなくなるのは当然です。

 限られた収納スペースを上手に活用するために何が必要なのかを見極めて、必要以上に買わないということも大切です。掃除の前に整理からはじめましょう。
「整理整頓は技術ですから学べば誰でもできるようになります」と、中村さんは言います。

3.怠け者タイプは……
後回しにしにせず、溜め込まない習慣づけでキレイを持続!

「食後にいつまでも汚れた食器がシンクに溜まっている」「元に戻すのが苦手」という方は「怠け者タイプ」かもしれません。単純に「動きたくない」というのであれば、家事をシステム化して、できるだけ簡単に済ませる工夫をしましょう。

「シンクに食器を運んだら、そこからは一気に洗って拭いて片づける。毎回、元の状態までリセットしてしまえば、キレイな状態をキープすることは難しいことではありません」(中村さん)

 まず、このサイクルを身に付けることからはじめましょう。

「やってはいけないのが、『とりあえずこの箱の中に入れてしまおう』というような考え方。あとでやろうと思うから、どんどん片づかなくなるのです」と、中村さん。気になったらその場で、使うか使わないかを判断するように指導しているそうです。

 ついつい「これは後で……」となりやすいプリント類の片づけも、溜め込めば大仕事になってしまいます。少し目を通して判断すれば、大半がゴミということが多いもの。プリント類を手にしたその瞬間に片づけてしまえば、気忙しさから解放され、精神衛生上も気持ちよく過ごせるのではないでしょうか。

4.物欲タイプは……
安くてお得に思えても、必要以上にストックしない習慣を!

 買い物好きで捨てるのが苦手という方はいませんか? そんな人は「物欲タイプ」です。

「『安売りをしていたから』『セットで買うとお得だから』など、収納スペースを考えずに買い物をすれば、モノがあふれ出すのは当然ですよね。無理に押し込めば、どこに何があるのかがわからなくなります。だから、また買ってしまう……」(中村さん)

 この悪循環、耳が痛いという方も多いのでは。
 中村さん自身は、「基本的にストックはゼロで生活しています」と言います。モノがあふれているから片づかないという人は、2番目の「苦手意識タイプ」と同様、定量を見極める作業からはじめてみましょう。

5.逃避タイプは……
狭さを理由にせず、「買う」と「捨てる」をセットで実践する

「そもそも、うちは狭いから」「子どもが小さいから」と、片づけられないことを責任転嫁するのが「逃避タイプ」です。狭小住宅、狭い部屋、少ない収納スペースなら、それに合った生活を心がけましょう。

「収納が足りないというのは言い訳でしかありません」と、中村さん。スペースが限られていることを意識すれば、買い物も慎重になるものです。

「これは4番の『物欲タイプ』の方にも共通することですが、新しいモノを自宅へ招き入れるときは覚悟をもって、1つ入れたら1つ出すというように、『買う』と『捨てる』をセットと考えてください。この考え方を常に意識していれば、余計なモノを増やすことも、散財することもなくなるはずです」(中村さん)

 家の中が片づけば、「いつかやらないと……」というプレッシャーからも解放されて、気持ちまでスッキリします。そしてお財布にも影響することになれば、整理整頓の技術をさらに学びたいところ。次回は片づけられない人へ、技術面でのアドバイスを伺います。

(第2回につづく)

お話を伺った方

中村美香さん

整理収納アドバイザーとして、収納に関する著書多数。ブログ「美しい暮らしのエッセンス」では、すぐに役立つ収納やハウスキーピングの情報を発信中。

文◎山田章子 撮影(中村美香さん)◎末松正義  イメージ画像提供◎PXITA

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