誰も教えてくれない資金計画の方程式 [第4回]

「定額リフォーム」は、実は「定額」ではないワケ

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リフォーム費用は個別性が高く、見積もりが前提ですが、なかには、あらかじめ費用を明確にした「定額リフォーム」があります。
簡単で割安なイメージがありますが、本当のところはどうなのか、「予算オーバー」にならない注意点のアドバイスも含め、住宅ジャーナリストの山本久美子さんに聞いてみました。

リフォーム「定額商品」の一番のメリットは「時短」

定額リフォームでも、選べる設備や内装は種類豊富(写真はイメージ/提供:PIXTA)

「定額リフォーム」とは、過去の実績から、一定の条件のもと、工事内容を標準化。建材・設備の商品の種類を絞り込み、打ち合わせの手間を省くことでコストダウンを図るシステムです。あらかじめ設定された工事内容に関して、費用が明確なため、安心してリフォームを依頼しやすいメリットがあります。工事実績の多い大手リフォーム会社で数多く導入しています。

 定額のフルリフォームでは、住まいの広さ換算で費用が決まるものが多いですが、耐震、省エネ、バリアフリーなどの種類別にも用意されているケースも。また、基本工事は定額、内装工事はグレードが上がった分は別途費用が必要なオプションといった、内装にはこだわりたい人向けの商品もあります。

 また、着工後に、配管の老朽化や床下の状況など、目に見えなかった箇所のトラブルによっては追加費用がかかるケースもあり、厳密には「定額」ではないことも。

「結局、したいことが増えて追加工事になり、最初から見積もりで依頼するより高くなることもあり得ます。また、過去の実績を平均した工事費用で決められているので、なかには定額リフォームでないほうが安く済む場合もあります」(山本さん。以下「」のコメントは同様)

 工事費用が明確で分かりやすく、割安感がある定額リフォームですが、デザインや内装にこだわりたい、特殊の性能・機能を盛り込みたい人は不向き。

「定額リフォームの一番のメリットは、手間が少なく、スピーディにできること。早く改修したい事情がある、仮住まい期間はできるだけ短くしたい、忙しく時間のない人向けといえるでしょう」

予算オーバーしてしまう理由は大きく分けて2つ

シロアリ被害などで思わぬ費用がかさむケースも(提供:PIXTA)

 定額リフォームでなくても、見積もりで想定した額より、予算オーバーしてしまうのは、“リフォームあるある”です。

 理由は2つ。家の傷み具合などが「想定外」だったケースか、自分の「やりたい」ことが増えてしまったケース。前者は「内装を外したら腐食が進んでいた」、「給排水管の交換も必要だった」など、着工後でなければ分からないケースも多いので仕方がありませんが、後者の場合はできれば避けたいもの。

「実際は、築年数や修繕歴、現地調査などから、家の傷み具合による費用は、リフォーム会社はある程度、見込んでいるはずです。予算オーバーは、ユーザーの要望が増えてしまうのが主な原因です」

 ちなみにローンを組む場合は、審査後に費用が増えると審査のやり直しになるので、注意が必要。

古い合板やコンクルートブロックを使ったリノベーション例。アイデア次第でコストダウンに(提供=PIXTA)

「プランニングの検討を進める過程で要望が増え、当初の予算を超えてしまう人は多いもの。そうならないために、リフォーム会社の担当者に予算の上限を示して、優先順位をはっきりさせ、お金のかけるところ、つけないところのメリハリをつけましょう。

 また、契約前に、使う設備や内装材などが書かれた仕上表(仕様書)を提示されますが、ここでの認識のズレが、“思っていたのと違った”なんてことになるケースも。この仕様書の精度を上げることも大切です」

 見積りの段階で予算オーバーになったら、工事する箇所を絞る、設備や仕様のグレードを落とすことが一般的ですが、アイデア次第でコストダウンも。
「オシャレなものが高いとは限らないですし、細かく空間を仕切らないことで壁やドアなどの建具の費用を抑えられることも。こうした提案力が会社選びのポイントにもなります」

 リフォームはお金がかり面倒なことも多いですが、暮らしをより快適に便利にする恰好の手段。リフォームの過程も楽しめるよう、まずは動いてみることが大切です。

お話を伺った方

山本久美子さん

住宅ジャーナリスト。リクルートに入社後、「週刊住宅情報」「都心に住む」などの副編集長を歴任。現在は、住宅の現地取材や購入者の取材や面談調査などから得た幅広い知識を活かし、住宅メディアの編集・執筆やセミナー等の講演活動を行っている。書籍に『中古マンション購入&リフォーム 得する選び方・改装術』(小学館)、『マンション管理・修繕・建替え徹底ガイド』(日経ムック)などがある。

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