阪神大震災で倒壊した家 ©Paylessimages
さて、この1000万円。“高い!”と思った方も多いのでは? ただし、住宅ジャーナリストの山本久美子さんは「命に関わると思えば、決して高くない」と断言します。
「例えば、旧耐震性の古い住宅では、将来、震災で自宅が倒壊する危険があります。耐震対策は大きな地震があるたびに向上、進化してきました。命を守るためには耐震リフォームは急務です」(山本さん。以下「」のコメントは同様)。
ほかにも、省エネに関するリフォームも実は命に関わるもの。古い日本家屋は密閉性に欠け、断熱効果も低い。そのため、冬、寒い廊下やお風呂場で、ヒートショックで心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こす危険性があるからです。夏場は熱中症のリスクも。超高齢化社会に備えて、バリアフリーのフルフォームが必要なケースもあります。
「地震で倒壊した家の下敷きなる。寒い洗面室で倒れてしまう。そうしたリスクを避けるためにも古い家屋のリフォームはマスト。命を守るために1000万円は決して高いとは言えないと思います」
設備類も格段に進化。家事の時短化。ストレスも軽減
リフォームは命を守るためだけでなく、それ以上に日々の暮らしを快適、便利にするために不可欠なもの。「例えばキッチン設備は、ボタンひとつで調理が可能だったり、掃除が格段にしやすくなったり、20年前とは比較にならないほど進化しています。複層ガラスに変えれば窓に結露しにくくなり、掃除の手間が減るなど、家事の時短はもちろん、ストレス軽減にもつながるんです」。
お風呂やキッチンなどの設備の故障がきっかけで、リフォームを考える人は多いはず。
「一つひとつを修繕、交換するリフォームもありえますが、トータルで考えると全面リフォームのほうが費用を抑えられるケースも。20年以上経てば、家族構成の変化などで部屋数などの間取りも現在の暮らし方に合わなくなっていることも多いでしょう。間取り変更も含め、全面リフォームを検討してもいいかもしれません」
物件の条件によってかかる費用は段違い
スケルトンにした室内。状態によって費用は変わる ©key05
“一戸建ての全面リフォームは1000万円前後が目安”と前述しましたが、実はデータをよく見ると、500万円未満が2割弱の一方、1500万円以上も4分の1以上と、かなり幅があることが分かります。
「そもそもリフォームは個別性が高いもの。基本的に建物面積が広いほど費用は高くなりますが、木造か2×4かといった構造や、土地の条件でも変わります。また、同じ築年数でもマメにメンテナンスしてきた家としない家では、家の傷み状態が違うので修繕費に違いが出ます。もちろん新しくしたキッチン設備や壁紙、フローリングのグレードにも幅があるので、ここでも価格差は大きいでしょう」
リフォームには設備の交換や耐震工事など、老朽化した家のマイナス要素をゼロに戻す側面と、より快適・便利な家にするプラスにする面があるもの。家のマイナス条件とプラス条件は個別性が高いので、具体的に費用を把握するには、リフォーム会社に見積もりを取ってみるのが近道。まずは何社かに見積もりを依頼してみてはどうでしょうか。
次回は、「いざリフォーム。手持ちのお金がない場合の最終手段」について紹介します。
会員登録 が必要です