リフォームで やっていいことダメなこと。

【第1回】業者選びがうまい人、ヘタな人

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悩みリフォーム
住まいのリフォームはわからないことだらけ。まして、初めてともなるとさまざまな選択ミスを起こしがちです。そこで本日、リフォームのプロである女性スタッフ3人に、仕事での実体験をもとに、後悔しないためのコツからリフォームのタブーまで語り合ってもらいました。

今回座談会に参加してくださった方

Aさん

リフォームショップマネージャー。25年のキャリアを持ち、依頼主の立場に立った安心・丁寧なマネジメントに定評がある。

Bさん

リフォームショップマネージャー。一級建築士としての経験と知識を生かして、暮らしやすさを第一にした多彩なプランを提案している。

Cさん

リフォームショップ勤務後、リフォームコンシェルジュも経験。さまざまなリフォーム希望のお客さまの相談にのっている。

――「住まいをリフォームしよう」と考えたとき、一番ネックになるのは何ですか?

Aさん

リフォームするとき、まず悩むのは業者選びですよね。最近は複数のリフォーム会社に見積もりを取って比較検討する方が増えています。

Cさん

リフォーム雑誌などにも「相見積もりを取りましょう」とアドバイスされているから、1社で決めてはいけないと思っている方が多い気がしますね。

Aさん

相見積もりを取るのは悪いことではないけれど、依頼する先が増えるとそのぶん、手間と時間がかかることをわかっていらっしゃるのかなと心配になります。5社に依頼したら、現地調査や打ち合わせの回数も5倍になるわけですから。

Bさん

手間を少しでも省きたい気持ちから、お客さまが見積もりを依頼した会社を一斉に集めて現地調査をされるという方もいらっしゃいましたよ!

Aさん

私も3社同時の現地調査をした経験がありますよ。その方は中古マンションを買ってリフォームしたのですが、少しでも早く着工したかったそうなんです。だから時間短縮のために合同にせざるを得なかった。ご本人からは「失礼なことだとわかっているけれど、一斉にさせてほしい」と事前にご連絡いただきました。

Bさん

その方のようにあらかじめ連絡をいただけるとありがたいですよね。心づもりできるので。それと時間短縮はしたけど、複数同時の現地調査だと業者選びのポイントが難しいのでは?とも思いましたね。

信頼度はホームページだけではなく、担当者の対応で判断

Cさん

複数の会社から見積もりを取ったものの「何を基準に決めたらいいのかわからない」と相談されることもよくあります。外壁リフォームの見積もりを3社に頼んだら、例えばA社は20万円、B社は30万円、C社は50万円・・・と、バラバラの金額が出てきて困っている方もいて、「相場がわからないんです」と。リフォームってそうそうするものではないので、見積もりの金額が高いのか安いのかはお客さまにとっては判断が難しいですね。

Aさん

決め手になるのは、やはり「どの会社なら安心して任せられるのか」だと思いますが、お客さまにしてみたら、その“安心”をどう見極めればいいのかがわからない。会社のホームページを見ればリフォームの実績や特色などはわかると言われているけれど、実態よりも遥かに立派なホームページもありますし。

Bさん

信頼度を推し量るのには、担当者の対応もポイントですね。相見積もりを取っているお客さまのところで浴室の天井うらをのぞいたら、「そんなところも見るんですか」と驚かれたことがあります。前に来た会社の人はそこまで見ていなかったと言うんです。排気の構造は天井うらを見なければわからないのに。

Aさん

大雑把な現地調査で見積もりを出している会社って、結構ありますよね。弊社もきちんと点検をするので、その点でも信頼して依頼していただけると思います。

Cさん

現地調査して提案するプランによって、リフォームの見積もりはかなり変わってきますよね。

Aさん

そうなんです。長く快適に暮らしていただけるようプランを考えると、どうしても金額が高くなってしまう。逆に、適当に点検して適当なプランを組むような会社は、見積もりの金額を安く出せてしまうケースが多い。

Bさん

そこを理解していただけないと、安いという点だけに流されて判断してしまいますよね。

Cさん

結果、追加工事が発生してその分、費用が上乗せされてしまったというケースは少なくないんです。

Aさん

引っ越し会社を選ぶときもそうじゃないですか。見積もりの金額がいい加減だと、あとから追加費用が発生しかねない。私は引っ越しのときに3社から相見積もりを取ったんですが、そのとき金額が安かったこともあって、ちょっと頼りない印象の若手の担当者の会社に依頼したんです。すると、引っ越し当日に階段を通れない家具があることが判明して。急遽、クレーン車を呼んで窓からいれたんですが、そのクレーン車代は見積もりには含まれていない。本来は追加料金が必要だけれども、追加で費用は発生しないと約束したので「僕が自腹で出します」と言うから、かわいそうになって半分だけ出しました(笑)。

Cさん

営業担当者の知識が足りないとそうとなってしまいますよね。

Aさん

リフォームの場合は、見積もりがより複雑ですし、解体して初めてわかる部分もあるので難しい。

無謀な値引き交渉は将来的に損をする!?

――解体して追加工事が必要になりそうな場合、見積もりはどのように出していますか?

Cさん

私は、契約したらよほどのことがない限り、その金額内に収めていました。追加工事の可能性がある場合は、見積もりを2つ出して事前に説明するようにしていました。たとえば、解体して構造部の補修が必要になったら、いくらプラスになりますと伝えておくんです。さらに、その工事のときには立ち会ってもらい、現場でプラス料金の金額になってもいいかどうかを判断していただく。いきなり料金が上乗せされたら納得できないと思うので。

Aさん

私も、目視できない部分の追加工事は仕方ないけれど、「現地調査時にしっかりと見ていればわかるところで追加工事を出してはいけない」というのを信念にしています。営業としてのプライドというのかな。でも、見てわかる部分で追加工事を出している会社はたくさんとあって。

Bさん

リフォームの場合、開けてびっくりはよくあるんですよ。ユニットバスの例で言うと、一戸建てのリフォームで、2階のお風呂を解体したら架台に鉄骨の脚がついていたということがありました。そうなると、脚の部分を処分するために産業廃棄物代もかかってしまう。下からのぞいたときには鉄骨は見えなかったので、これは予想外でした。

Aさん

見積もりの金額に関しては、値引き交渉されることもありますね。単純に「予算オーバーなんだけれど、どうにかなりませんか」と交渉してくださる時は良いのですが、2社から相見積もりを取って、「向こうの会社は30万円引くと言っているけれど、おたくはいくら引けますか」と競合させるのはちょっと……。

Bさん

あまり気分はよくないですよね。その方が快適に暮らせるよう、いろいろ考えて見積もりを出しているわけですから。あまりにも無茶な交渉をされた場合、「そちらの会社さんにお願いするのがいいと思いますよ」とお断りしてしまうこともあります。

Aさん

以前は職人さんの人数を確認して「値段が高いんじゃないか」と言ってくる方もいましが、最近は少なくなっていますけどね。

Cさん

その代わりというのか、諸経費の部分を突っついてくる。「諸経費ってなんですか」と聞かれることもあります。

Bさん

それ、私もよくあります。でも、説明するのはなかなか難しくて……。たとえば、スーパーでリンゴが100円で売られているとしたら、その100円にはリンゴそのものの値段以外に、洗ったり梱包したり運んだりという経費が含まれているんですよね。リフォームの場合も打ち合わせや大工さんの手配などいろいろな経費がかかっているものの、モノを売るわけではないのでそこには経費をかけられない。だから、トータルの費用に経費をかけているわけなんです。

Aさん

ある中古マンションのフルリフォームで、こちらが立てたプランを安く提案してきた会社にそっくり渡ってしまったことがあって。予算内で気に入ったプランの家に住みたいという気持ちはわかるけれど、モラルとしてどうなのかなと思いました。

Cさん

値引きについても、たとえ費用を安くしたとしても工事の簡略化ができないのが辛いところですよね。水栓の取り付けが甘くて水漏れしたり、クロスをいい加減に貼って後で剥がれてきたりしたら、結果的に自分たちが困ることになるので。

Aさん

本来10本のビスが必要なところを5本にするとか、絶対にできないですもんね。

Bさん

値引きに執着すると、先々損をする可能性もありますよね。次に依頼されたときには、「どうせ値引かれるんだから高めに金額に設定しておこう」と考える会社もあるでしょうし、最初から断られるケースも出てきそう。

Cさん

当たり前のことですが、お金だけで決めないでと言いたいですね。安心して任せられる会社なら、住んでからなにかトラブルがあってもちゃんと対応してくれるはずですから。

A・Bさん

そうなんです!

第2回につづく・・・

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