保存版!年代別「家づくり」方程式

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「キラキラリフォーム」の甘い誘惑に乗ってはいけない

「窓からさんさんと光が降り注ぐ、明るく開放的なLDK」

調理をしているときにも子どもたちに目が行き届く、広々とした対面キッチン」……。新築した友達の家に遊びに行って、うらやましいと思ったことはありませんか? それに比べてわが家は……なんて、がっかりしたこともあるかもしれません。しかし、近年は技術が進化して、古い住宅でも新築のようにリフォームできるようになりました。明るい開放的なLDKも、広々とした対面キッチンも、夢ではありません。我が家をリフォームすることで、憧れの毎日を手に入れることができるのです。

そんな思いを胸に、「夢のリフォーム」について住宅専門誌『建築知識ビルダーズ』編集長の木藤阿由子さんにうかがうと、開口一番「憧れや夢をうたった、キラキラリフォームに踊らされないで」と、厳しい言葉を投げかけられました。

木藤さんは「これまで数多くの“家”と“家族”が体験した新築・リフォームの悲喜こもごもを目の当たりにしてきた」と話しながら、小さな手帳を取り出しました。そこには、木藤さんが取材した住宅のあれこれが、ビッシリ書き溜められています。手帳はいわば、住宅虎の巻のようです。

「リフォームで夢を求めるのは、悪いことではありません。それが、よりよい家にしようというモチベーションにもつながります。けれどもリフォームは、住宅の寿命を延ばすためのチャンスでもあるのです。自分たちの将来と照らし合わせて、夢や憧れのほかに、優先すべきことがないか? 冷静に考えてみてください」

木藤さんが例にあげたのが、思春期の子育て、親との同居、介護、そして自分たちの老後などです。人間、誰もが年をとり、衰えます。家はまさにその「現場」。このように考えてみると、理想だけでは語れない「家のあるべき姿」が見えてくるでしょう。「いまは80~90歳まで生きる時代です。仮に30歳でマイホームを手に入れたとすれば、その家には50~60年、場合によってはそれ以上住み続ける可能性があるのです。生涯で住居にかけられる予算と、自分がいまライフステージのどこにいて、今後どんな人生を送るのかを見据えながら、『何が一番必要か』を徹底して考えるべきなのです」

中古購入、親との同居……年代別の家づくり優先順位

では、リフォームのプランはどのように決めればいいのでしょうか。ここでは年代別に見ていきます。まずは30代。結婚して、あるいは収入が安定して、30代になって初めてマイホームを検討する人も多いと思います。一般的に選択肢は新築か中古の二択で、ふつう中古のほうが安く、入手のハードルは下がります。

また、一言で中古といっても、都市部ではマンションが多く、地方では戸建てや、「親戚がいなくなり、空き家になっていた」という家を譲り受けることもあるでしょう。最近では中古物件を買ってリフォームするという流れが一つのスタンダードになっていますが、ここで注意したいのは現況です。

「中古住宅のほうが安いと言いますが、そうとも限りません。築年が浅い物件でも、いざリフォーム工事で床や壁を剥がしてみたら、劣化や腐れが発覚して、結局、新築と同じくらいの費用がかかってしまったというケースは少なくありません。中古をフルリノベーションするのであれば、現況調査をしっかり行ってから判断したほうがよいでしょう」

40代になると、子どもの成長にともなう間取り変更や、親との同居を視野に入れた水まわりの改修などが増えてきます。「ここでどういうリフォームをするのか、先を見通すセンスが問われます」と、木藤さん。

そして50代では子どもが独立し、夫婦ふたりで過ごす時間が増えます。 「手すりを付けたり、段差をなくしたりといったバリアフリー化は必要になりますが、老後も暮らしやすいように、思い切って間取りを変更するのも手です」年代別のリフォーム方程式は、次回から詳しく解説します。

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------お話をうかがった方------

木藤 阿由子さん

株式会社エクスナレッジで「建築知識ビルダーズ」編集長を務めるほか、
専門知識を生かし、一般ユーザー向けの書籍編集も手がける。
LIXILメンバーズコンテスト審査員なども歴任。

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