保存版!年代別「家づくり」方程式

【40代編】子育てから親の介護へ。 究極の選択がもたらす「幸」と「不幸」

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子育ての途中で間取りを総チェック

出典:東京ガス都市生活研究所「子供に聞いた自分の部屋と家族に対する意識(2014)」より編集部作成

前回は30代の家づくりの注意点を解説しました。仮に30代でマイホームを手に入れたとすれば、それから10~15年が過ぎるころには、ライフスタイルと住まいのミスマッチが気になり始めるものです。住宅専門誌『建築知識ビルダーズ』編集長の木藤阿由子さんは、こう話します。

「この時期、まだ水まわりの設備・機器はそれほど傷んだりしません。それよりも、子どもの成長に合わせた間取り変更のニーズが高まります。具体的には、1つの部屋を兄弟姉妹で一緒に使っていたところを2つに分けて個室にするとか、独立して出ていった上の子の部屋をご主人の趣味の部屋に変えるとか、そういったリフォームです」

中高生になり、個室が欲しくなる子どもたちにとって、兄弟姉妹での同部屋は苦痛なものです。一時期、子ども部屋は贅沢にし過ぎないほうがいいだとか、リビングを通って自室に行ける動線にして家族のコミュニケーションを増やすプランがもてはやされたことがありました。木藤さんは「こればかりは人それぞれの価値観や教育観によるので、どれが正解とはいえない」と言いながらも、次のように語ります。

「子ども部屋は寝室であり、3畳ほどの広さがあれば十分ではないでしょうか。それより、家族が各々の時間を過ごしやすいリビングをどうつくるか、のほうが大切だと思います。極端な話をすれば、リビングで子どもがずっとスマホをいじっていても、声が届き、ちょっとした会話ができる。体調や機嫌をうかがい知ることができることも大事です。『リビングは一家団らんの場だから、スマホもゲームも禁止』などと言おうものなら、ますます部屋に閉じこもってしまいます」実際、中高生を対象にしたアンケート(図表1)では、男子・女子ともに、自分の部屋に比べ、リビングのほうが居心地がいいと答える比率が高くなっています。

出典:農林水産省「家庭における食育の推進」より編集部作成

また、子どもが中高生になると、親子で朝時間がバラバラになり、朝食を抜きがちですが、朝食は子どもの学業成績にも影響します(図表2)。毎日しっかり食べさせるため、キッチンにカウンターを造作して配膳の手間を省くなど、朝の貴重な1分を無駄にしないプチリフォームもおすすめです。

親との同居を視野に「介護しやすい家」にする

40代のリフォームを考えたとき、避けて通れないのが親の介護です。場合によっては同居を選ぶことになるかもしれません。木藤さんも「子ども部屋と同じくらい、介護対策は優先順位をあげて検討したい」と話しています。「親と同居するようになったとき、真っ先に考えたいのは水まわり、特にトイレです。親の寝室とトイレはできるだけ近い方がいいです」

「戸建て住宅の場合、ありがちな部屋割りは、1階の和室を親の寝室にあてるというもの。けれども一般的な間取りの場合、和室からは、リビングを通らなくてはトイレに行けません。要介護の度合いによっては、トイレが間に合わずにリビングで……なんてことも少なくありません。人は、トイレが汚れているぶんには『仕方ないな』と思えますが、リビングが汚れていると心理的なダメージが大きくなります。親との同居で『トイレ問題』が顕在化し、夫婦仲が険悪になるケースもあります」

同様に、入浴時の介護をする可能性を考えると、浴室や洗面脱衣室を大人2人が動きやすい広さにするリフォームをしたほうがよさそうです。「40代も後半になると、子育てが一段落し、自分たちのためにリフォームしたくなるものです。実際、多くのプランナーが『趣味の空間』を提案していますし、インターネット上でも、そうしたリフォームの写真があふれています。それを選ぶのも自由ですが、近い将来、直面するかもしれない親の介護問題に備えるのが、本当に賢いリフォーム。そのあとで『夢の実現』を考えても、決して遅くはありませんよ」

確かに、ホームパーティができる広々LDKを実現したところで、親の介護に不向きな住まいなら、暮らしにくさを感じてしまいます。一度立ち止まって今後の人生を見通し、本当に必要なものを選んでいく作業が、40代のリフォームといえます。

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------お話をうかがった方------

木藤 阿由子さん

株式会社エクスナレッジで「建築知識ビルダーズ」編集長を務めるほか、
専門知識を生かし、一般ユーザー向けの書籍編集も手がける。
LIXILメンバーズコンテスト審査員なども歴任。

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