わが子が独立……、子ども部屋どうする? 【後編】

広々LD、動線改善、介護しやすく……。活用法は無限大

空間
リビング・寝室・居室
関心
老後介護リフォーム

複数の子ども部屋を1つにまとめる

 塩谷さんによると、複数の子ども部屋がある場合、リフォームで1つにまとめるのがおすすめだそうです。子ども部屋が複数ある場合、細かく仕切られた間取りをそのまま使うと、使い道が限られてきます。もし使わない子ども部屋が複数余っているなら、広々と使えるよう1つの部屋にできないか検討してみましょう。

 下記は、2階にあった子ども部屋2部屋を一体化して、リビングにリフォームした事例です。細かく仕切られていた間取りを撤去したことで、明るく開放感のあるリビングに生まれ変わりました。

Before/After:2つの子ども部屋をつなげてリビングに(提供:株式会社エコリフォーム)

夫婦で寝室を分ける

 就寝・起床時間のずれや、プライバシーの確保などのため、夫婦で寝室を分けたいという方にも、子ども部屋の活用がおすすめです。

 下記は、子ども部屋として使っていた3階の2部屋をご主人様の部屋に、2階の2部屋を奥様の部屋にリフォームした事例です。1階のリビングでご飯を食べた後は、上に上がって夫婦それぞれで過ごせる間取りに設計したそうです。

Before/After:2階と3階の子ども部屋を夫婦それぞれの寝室に(提供:株式会社エコリフォーム)

家事がはかどる間取り

 大規模リフォームをするなら、老後夫婦二人で暮らすことを考え、家全体の間取りも見直しましょう。

 下記は、家事動線の改善をテーマに提案したマンションリフォームの事例です。キッチンの向きを90度回転させることで、キッチンから浴室まで一直線に通り抜けられるようにしました。

 また、子ども部屋として使っていた洋室と納戸を夫婦それぞれの寝室にリフォームしたうえ、真ん中にはウォークインクローゼットを設計。なお、生活動線に「行き止まり」をつくらないよう、妻の部屋からもウォークインクローゼットに出入りできるようになっています。

Before/After:子ども部屋と納戸を、寝室とウォークインクローゼットに変更(提供:株式会社エコリフォーム)

介護しやすい間取り

 老後を見据えたリフォームにおいては、介護のしやすさもポイントになります。

 下記は、高齢のお母様の介護を見据えた夫婦2人のリフォーム事例です。塩谷さんは、介護がしやすい住まいづくりのポイントは「1階だけで生活できることと、水回りがまとまっており、かつ介護がしやすいように広く設計してあること」だと語ります。

Before/After:子ども部屋があった2階を夫婦の生活空間とし、1階はお母様の居住スペースに(提供:株式会社エコリフォーム)

「この事例では、水回りを1箇所にまとめた上で、お風呂や洗面を広くとっています。和室であるお母様の寝室は水回りと直結しているので、介護がしやすい点もポイントです。また、介護される奥様がお母様の様子に目を配れるよう、お母様の部屋とリビング・ダイニングキッチンが隣接する設計にしました」

 なお、夫婦とお母様では生活サイクルが違うため、夫婦の生活空間は2階に設けているそうです。

■LIXIL「住まいのUDアイデア」

LIXILでは、製品だけでなく、空間も含めた暮らしそのものがユニバーサルデザインであることを大切にしています。

助成金・補助金制度を使って
賢くリフォームしよう

 リフォームを行う場合、内容によっては各種助成金・補助金が適用される場合があります。たとえば、グリーン住宅ポイント制度では、バリアフリー改修もポイントの対象となります(制度の詳細やポイント発行の条件、申請方法などは下記をご覧ください)。

【グリーン住宅ポイントについて】

・国土交通省ホームページ
www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk4_000181.html

・グリーン住宅ポイント事務局ホームページ
greenpt.mlit.go.jp

・LIXILのポイント発行対象製品リスト
www.lixil.co.jp/green/list/

 他にも国・自治体はさまざまな助成金・補助金制度を用意しています。子どもの独立を機にリフォームをされる方は、助成金・補助金制度の活用を検討してみてはいかがでしょうか。

〈お話を伺った方〉

塩谷 敏雄さん

一級建築士。耐震設計士(木造耐震診断士)。宅建士。株式会社エコリフォーム施工責任者。1961年東京生まれ。18歳より父と共に家づくりに励む。94年に塩谷住宅建築一級建築士事務所を開設。2004年、妻の理枝氏と株式会社エコリフォームを設立し、活躍の場を住宅リフォームに移す。これまで600件以上のリフォームを手掛けてきたほか、ショールームにて無料セミナー「知っておきたい! 正しい木造住宅の耐震」を主催するなど、耐震と断熱に関する最新情報の提供も行っている。

文◎八木麻里恵
人物写真◎加々美義人
画像提供◎株式会社エコリフォーム/Shutterstock

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