お宅のエアコン、悲鳴を上げていませんか?[第3回]

冷房中も空気を入れ替え! 賢い3つの「換気」術

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一部の機種を除き、
エアコンは部屋の換気をしていない

「エアコンを作動しておけば、室外機から外気が取り込まれて換気も行われているはず」
 こう思い込んでいる人が意外と少なくありません。しかし、ダイキン工業で広報を担当する高木旭さんは指摘します。

「エアコンは部屋の中の空気を吸い込んで、それを冷たくしたり暖めたりして部屋の中に戻すことによって、お部屋の温度環境を整えています。したがって、室内と屋外の空気を入れ換えているわけではありません」

 一部の機種には換気機能が付いているものもありますが(日本では唯一、ダイキン製の『うるるとさらら』シリーズのみ)、ほとんどのエアコンでは換気ができないのです。
 しかし、新型コロナウイルスの感染予防以外の点でも、部屋の換気は大切だと言えます。

 最近の住宅は気密性が高いため、換気をしないでいると、人体から発せられる二酸化炭素の濃度が高まって、幼児や高齢者が不調を訴えることがあります。
 また、過敏な人は建材や消臭剤などの化学物質に反応してシックハウス症候群を発症する恐れが出てきますし、ハウスダストが部屋に滞留することにもなります。

 では、夏場の換気はどのようにして取り組めばいいのでしょうか?
 高木さんは次のように語ります。

「当社では換気に関して、『窓を開けて空気の通り道を作る』『台所の換気扇を活用する』の2つを推奨しています。また、2003年7月以降に建てられた家には『24時間換気システム』が設置されていますから、これを活用することもおすすめしています」

 それぞれについて、順を追って詳しく説明していくことにしましょう。

1.窓を開けて空気の通り道を作る

「1時間に5~10分程度を目安に、できるだけ回数を多くするのが理想。2時間に1回まとめて換気をするよりも、1時間に5~10分、可能であれば30分間に5分を2回するほうが効果的です」(高木さん)

 また、1か所だけでなく、2か所の窓を開けて空気の通り道を作ると、換気の効率がアップします。2つの窓が対角線上に位置していれば、さらに効果抜群とか。

「その際、風が入ってくるほうの窓を狭く開けるようにして、出ていくほうの窓を広く開けるのが、上手に換気するコツです」

 狭いところから勢いよく入って、広いところに抜けていくという空気の性質を利用してお部屋の空気に動きをつけましょう。

 部屋に窓が1つしかない場合は、扇風機やサーキュレーターを窓の外に向けておいてください。こうすることで室内の汚れた空気が外へ出やすくなります。

 窓を少しだけ開けることによって、入ってくる風の勢いが強まります。
 部屋に窓が1つしかない場合は、入口のドアを開けて扇風機やサーキュレーターで窓の方向に風を送れば、室内の空気が外へ出ていきます。

「窓が1つもない部屋の場合は、入口のドアを開けて扇風機やサーキュレーターで室内の空気を部屋の外に送り出し、浴室や洗面室・トイレなどに設置されている換気扇を回せば効率的に換気を行えます」

2.台所の換気扇を活用する

 台所の換気扇については、調理を行っている場面で湯気や油を吸い込んで排気することだけが役目だと思って、台所に立っていない時間はオフにしている人が多いのではないでしょうか?

「台所に設置されている換気扇は、家の中にある換気設備の中でも特に排気量が大きいので、お料理をしていないときにも回していただくことで窓開け換気のサポートをしてくれます。台所の換気扇を回しながらDKやLDKの部屋の窓を開ければ、効率的に換気できますよ」

 その際には、台所の換気扇からできるだけ離れた場所にある窓を開けるのがコツです。

3.24時間換気システムの活用

一般的な24時間換気システムのイメージ図。台所の換気扇のほか、浴室やトイレ、洗面所などの換気扇も使うとより効果的に吸排気できる。イラスト提供◎ダイキン工業

 24時間換気システムとは、改正建築基準法が施行された2003年7月以降に、すべての建造物に設置することが原則として義務づけられたものです。
 シックハウス症候群を予防するためで、このシステムが備わっていれば部屋の壁や天井にある換気口から屋外の新しい空気が取り込まれ、浴室や洗面室・トイレに設置された換気扇から汚れた空気が出ていくようになっています。

「せっかく24時間換気システムがついているのに、換気口を閉じたり、システムのスイッチを切ってしまったりしているケースもあるようです。そのままにしておくと、知らず知らずのうちに室内の空気が澱んでしまいます。まずは、24時間換気システムをきちんと作動させましょう」

電気代を浮かせる
エアコンの賢い使い方

 以上、換気にスポットを当ててきましたが、最後に、エアコンに関して誰もが知りたいはずの質問を高木さんにぶつけてみました。
 エコと家計の両面から考えても冷房にかかる電気代はできるだけ抑えたいところですが、その場合、こまめに点けたり消したりするのと、点けっぱなしにするのでは、どちらが正解なのでしょうか?

「エアコンは初動時に最も電気を消費します。なので近所に買い物に行くような短い時間(30分以内)を留守にするような場合は、点けっぱなしのほうがおトクですね。また窓開け換気中もこまめに入り切りすると、電気代が上がってしまうので、つけっぱなしの方がおすすめです。この際、設定温度を少し高めにすることで省エネ効果が見込めますが、これからの季節は、熱中症のリスクもあるので、決して無理をせずに健康で快適な温度を保ってください」

 皆さんもぜひ、自宅のエアコンが悲鳴を上げていないかチェックして、やさしくケアしてあげてくださいね。

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お話を伺った方

高木 旭さん

ダイキン工業株式会社 コーポレートコミュニケーション室 広報グループ。
2011年入社。秘書室、グローバル戦略本部を経て、2019年より広報を担当。

文◎大西洋平
写真提供◎Shutterstock、PIXTA

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