万全の遮光・遮熱対策を施して
西日をシャットアウト
エアコンの効きが悪くなる原因の一つに、外部からの熱の流入が考えられます。
夏場の熱の流入口として最も注意したいのが、窓などの開口部です。実に7割以上の熱が、開口部から屋内に侵入しているからです。
エアコンのトップメーカーであるダイキン工業の広報担当・高木旭さんは、窓から侵入する熱対策についてこうアドバイスします。
「太陽の熱を部屋に入れない一番かんたんな方法は、カーテンやブラインドを閉めること。色は黒など太陽熱を吸収しやすい濃い色を避け、光と赤外線をはね返してくれる白色や遮光タイプのものを選ぶと効果的です。窓ガラスに熱をカットするフィルムを貼るのも効果的でしょう」
さらに高木さんは、「西日は完全にシャットアウトするのが望ましい」と強調します。
「夏場は、太陽の位置が高く日照時間が長いので、日が傾いてからも要注意。南側だけで西側の窓の対策を施すことが大切です」
とはいえカーテンだけでは、遮熱効果は限定的です。というのも、カーテンは屋内に設置されるため、窓まわりが高温になることを防げないからです。そのため屋外での対策が重要になってきます。伝統的には、すだれやよしずが日よけとして使われてきましたが、雨によって劣化しやすいなど、必ずしも使い勝手のいい素材ではありませんでした。
そこで近年、熱や紫外線を遮断する商品が各メーカーで続々と開発されています。
その一つがLIXILの外付け日よけ「スタイルシェード」。太陽熱を83%、紫外線を99%カットでき、室内温度を最大3.5度も下げられます。
LIXILのスタイルシェードはウッドデッキやベランダを丸ごと遮光する。
ちなみにLIXILは自治体と協力して、近年増えている「室内熱中症」を予防する取り組みを協力地域社会に広げる「クールdeピースプロジェクト」を展開中。
これまで埼玉県熊谷市、熊本県西原村と協働し、“夏でも快適に過ごせる室内環境づくり”を推進して、室内熱中症予防や日よけ習慣の啓発に取り組んでいます。
「グリーンカーテン」や
「窓辺の観葉植物」も効果アリ
窓まわりの遮熱・遮光対策では、つる性の植物を植えた「グリーンカーテン」も効果的です。
小学校などではよくゴーヤを植えていますが、他の植物でも差し支えありません。
「グリーンカーテンは単に日差しをさえぎるのみならず、植物から水分が蒸発する際に空気中から熱を奪ってくれるので、周囲の気温を下げる効果があります。その観点から言えば、室内の窓際に観葉植物を置くのもいいでしょう」
「できるだけ低予算で効果的な方法を選びたい」と思う人なら、農業用の遮光ネットも一考でしょう。見栄えはあまりパッとしませんが、数千円の出費で80~90%という高レベルの遮光効果を期待できます。
反対に、「お金がかかってもいいから万全の対策を打っておきたい」という人なら、室内側に取り付ける手も考えられます。
冬場の結露対策や断熱効果だけでなく、遮熱効果や防音効果も得られるうえ、LIXILが提供している内窓「インプラス」なら、窓1枚あたり約1時間で、あっという間に設置できます。
扇風機やサーキュレーターを
有効に活用しよう
近年は室内熱中症予防のため、夏場はエアコンを常時稼働させることが推奨されていますが、「冷え症なので、設定温度を高めにしている」という人もいることでしょう。
その際には、室内の温度ムラに気をつけたほうがいいでしょう。暖気は高い場所、冷気は低い場所に向かう性質があるので、「ひんやりするのは足元だけで、室温は高いまま」というケースもあるのです。
こうした現象は熱中症の一因となりかねないため、要注意です。
「室温にムラが出るのは、エアコンの温度センサーが室内機にあるためです。エアコンにとっては、暖気が溜まりやすい天井近くが基準になってしまうので、足元が冷えていてもガンガン冷気を吐き出してしまうのです。最新機種の中には優れた気流制御でこうした温度ムラを大きく改善しいるものもありますが、室温を均一にするには、室内機の対角線上の床に扇風機やサーキュレーターを上向きにして置くといいでしょう。そうすることで室内の空気がかき混ぜられ、エアコンが正しい室温を認識し、設定温度に応じて正しく運転してくれます」(高木さん)
次回はエアコン稼働中に注意したい「換気」のコツを伝授します。
(第3回に続く)
会員登録 が必要です