室外機に直射日光が当たると
冷房効率がダウンする
エアコンは「室内機」と「室外機」の2つで1セットになっています。
このうち「室内機」は入念にケアするものの、「室外機」は放置しっぱなしという人は少なくないかもしれません。
しかし、室外機のケアを怠ると、エアコンの効きが悪くなるのです。
エアコンで世界トップのシェアを獲得しているダイキン工業の広報担当・高木旭さんは、こう注意を促します。
「室外機に直射日光が当たると、冷房効果が低下してしまう恐れがあります」
いったい、それはどうしてなのでしょうか?
エアコンの室内機と室外機の間は冷媒と呼ばれるガスが循環していて、このガスが熱を運ぶ役割をしています。冷房運転中は、室内から室外へ運ばれた熱が室外機で放熱されます。したがって、この動きを妨げると冷房効果が低下します。室外機に直射日光を当てたり、風の通り道をふさぐなどが、放熱を妨げることになります。
すだれやよしずで
日陰を作り室外機をガード
室外機に直射日光が当たると、その中にある減圧器にも熱が伝わって温まります。
先述のように、この装置が冷媒ガスを冷やすので、熱を帯びると余計な負荷がかかり、冷房効率の低下や電力の浪費を招いてしまうのです。
写真◎編集部
「できれば、室外機は日陰に設置したいところです。また、建物から1メートル程度は距離を開けておくのが理想的です。直射日光が当たっている場合は、すだれ、よしずなどで日陰を作るといいでしょう。その際には、室外機から1メートル程度の距離を開けて立てかけるようにしてください。周囲にモノを置かないことも冷却効率を低下させないための大切なポイントです」
室外機の周辺がかなり熱気を帯びている場合には、近くの地面に打ち水をするのも効果的です。
また、エアコンの室外機と室内機を結ぶ配管が極端に長いケースでも冷房効率がダウンすることになりますが、高木さんはこう説明します。
「当社製品の場合は、最長20メートルまで冷房能力が低下することがありません。
とはいえ、一般家庭で20メートル以上の配管が必要になることは稀。長くても、2階のエアコンの室外機を階下に設置するケースくらいでしょう。この程度の距離であれば、機能的にはまったく問題ありません。それより長いケースでは、設置業者の判断で冷媒ガスを補充し対応します。製品のカタログなどには、配管が何メートルを超えると冷媒の補充が必要になるのかが明記されているので、参考にしてみてください」
室内機の掃除もこまめに!
ただし、カビ退治はプロに任せて
室内機についても気をつけるべきポイントがあります。その一つはフィルターの汚れで、掃除を疎かにしていると、電気の浪費につながります。
「できれば、約2週間に一度のペースでフィルターの洗浄掃除を行いたいところです。1年間、フィルターの掃除をせずに放置しておくと、消費電力が25%もアップしてしまいます」
もう一つ注意したいのが室内のカビ対策。
「冷房時には室内機の中の熱交換器が低温になっており、室内の空気の温度を下げると同時に水分も取ります。冷房運転が終わった後に、熱交換器に残った水分によってカビが発生することがあるので注意しましょう」
最新の機種にはカビの発生を抑制する機能が搭載されたものもありますが、そうでない場合は、冷房を停止後にしばらく送風状態にしておけば、熱交換器が乾いてカビ対策になるそうです。
「エアコンを作動させるとカビ臭が漂う場合は、すでにカビが発生している可能性が考えられます。その場合、専門家に除去を依頼したほうが無難でしょう。熱交換器は非常に繊細な構造なので、ご自身で市販のスプレーなどを使って掃除すると、熱交換器を傷つけてしまったり、洗浄液でお部屋を汚してしまう恐れもあります」
エアコンの仕組みを正しく理解し、こまめなメンテナンスを行うことで、酷暑の夏を乗り越えましょう。
次回は、エアコンの性能を高める「遮熱」と「遮光」の方法を高木さんに伺います。
(第2回に続く)
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