

栄養ドリンク剤のCMで、横浜FCの三浦知良と共演する女性クライマーがちょっとした話題を呼んでいます。彼女の名前は大場美和、19歳の大学生です。ボルダリングで鍛えた見事な三角筋や広背筋、上腕筋を披露し、キングカズをびっくりさせる場面が印象的です。
今回の記事では、とくにクライミングに焦点を当て、オリンピックにおける女性アスリートの活躍について解説していきます。
「女子」を語らずして、ニッポンのメダルは計算できない
昨今の日本のスポーツ界では、大場選手のような女性アスリートの活躍が目立ちます。欧米諸国にくらべると、かつての日本では女子選手の強化が後手にまわりがちでした。
そんな不平等な環境に一石を投じた代表的な種目のひとつが、澤穂希を中心とする女子サッカーです。2011年ドイツで開催されたワールドカップで初優勝を手にすると、翌年のロンドン五輪でも過去最高成績となる銀メダルを獲得、彼女たちが他競技の女子アスリートにも与えた影響は計り知れません。その後、“霊長類最強女子”とも言われた吉田沙保里の「13大会連続世界一」を筆頭に、卓球の福原愛や石川佳純、水泳の金藤理絵や星奈津美、バドミントンの奥原希望や山口茜など、近年では、なでしこのメダリストたちが次から次へと誕生しています。
昨秋も、世界体操の床で、村上茉愛(むらかみ・まい)が同種目初の金メダルに輝いたばかりです。また同じ時期に行われた、日本初開催となるセーリングのワールドカップで、大西富士子が同競技初の メダルを日本にもたらしています。
男子と同等の競技環境が整備されてきたことで、それまで日陰で溜めこんできたオンナのエネルギーが一気に花開いたのでしょう。平昌五輪における日本女子の活躍ぶりを見てもわかるように、いまや「女子」を語らずして、ニッポンのメダルは計算できません。
様変わりを続けるオリンピックの風景
64年の前回東京オリンピックにおける女性の参加率は13.2%、そのうち開催国である日本の女子が獲得したメダルはバレーボールの金と、体操団体の銅の2つだけでした。
一方、20年東京オリンピックの女性の参加率は、なんと48%です。およそ半世紀を経て、スポーツ界における女性の存在感にどれだけの変化があったかがわかるでしょう。
たとえば、16年のリオデジャネイロ五輪で日本が獲得したメダルの総数は計41個、そのうちの40%近くを占める15個を獲得したのが、レスリングをはじめとする女子の個人種目でした。この事実だけでも、前回の東京オリンピックとは大きく様変わりしていることがわかります。これに加えて2度目の東京オリンピックでは、さらなるメダルの量産が予想されます。
「男女平等」をテーマに掲げるIOCの強い要望によって増加した新種目の登場で、女子の獲得メダル数にますます拍車をかけそうな勢いなのです。