連載 映画に学ぶインテリアコーディネート[12]マイ・インターン ≪後編≫

「ちょっとした工夫」で お部屋をワンランクアップ

空間
リビング・寝室・居室
関心
インテリアデザインリフォーム

古めかしくもお洒落なブルックリンスタイル

画像:ラシッサ:ラシッサD ヴィンティア

 近年、ブルックリンスタイルやシャビーシックと呼ばれる、古めかしさを生かしつつお洒落に演出するインテリアコーディネートが人気となっています。
 まずは映画「マイ・インターン」に出てくるオフィスのようなお部屋をつくるヒントからご紹介しましょう。

「ポイントの1つは古いものや使いこまれたものを取り入れることです。映画に登場するオフィスには古めかしいレンガの壁や、むきだしの配管などがそのまま生かされていました。時代の変化を取り入れることで、味わい深さを演出することができます。

 模様替えなどで手軽に試したいときにはレンガ調の壁紙を使うことがお勧めです。レンガの大きさが不揃いなものや、質感が表現されているものだとより雰囲気が出ます。また、家具もヴィンテージのレザーや、エイジング加工されている木調家具などをポイントで取り入れてみましょう」

「ポイントの2つ目は、彩度の低い色でまとめることです。メインの色をモノトーンにすることで、都会的でモダンな印象を加えることができます。黒やグレーにすると落ち着きのある飾らない印象になり、白に近づけると上品さや優雅さが際立つコーディネートになります。組み合わせる家具やアイテムもスモーキーカラーなどの彩度の低い色味で統一して、全体をまとめてみましょう」

画像:ラシッサ:ラシッサD ヴィンティア

フラワーアレンジメントを取り入れ、
空間に潤いを

 彩度の低い色味をベースとしたお部屋には観葉植物の緑がよく合いますが、白を基調としたお部屋にはお花を合わせても素敵な雰囲気になります。
 ジュールズの部屋では、リビング・ダイニングにスタイリングフラワーが置かれ、それが色味のアクセントになっていました。

「スタイリングフラワーをインテリアに取り入れることで、空間が華やかになり、潤いや癒しも感じられます。多くの方が生け花のように難しく考えてしまいがちですが、固く考えずに、さくっとできるものからはじめてみましょう。

 まずは手持ちの鉢やガラスボトルをブラワーベースにして、同じ種類のお花をボリューム感重視で差してみるだけでOKです。一輪挿しもお手軽ですが、お花をまとめて差すだけで立体感や存在感が際立ち、一気に華やかさを出すことができます。お祝いなどでいただいた花を活用してはじめてみるといいかもしれません。

 フラワーベースの下にラグマットを敷いたり、ベースの素材をブリキや陶器に変えてみたりと、お部屋の雰囲気に合わせてアレンジを加えてみてもよいでしょう。特別な技術がいらないので、誰でも簡単にはじめられますよね。お花の周辺も含めてスタイリングを考えてみましょう。

 また、季節によっても見せ方を変えてみましょう。浅い皿型のフラワーベースに水を張り、花首や葉を浮かべてみると、暑い季節にうってつけの清涼感を感じるアレンジになります。まずはあるもので工夫ながら楽しむのがコーディネートの第一歩です」と横山さん。

ファブリックにこだわり、
寝室をワンランクUP

 最後に、寝室のインテリアについてご紹介します。
「ベンの寝室にあったベッドには飾り枕がいくつも並び、ベッド自体が素敵なインテリアの一部になっていましたね。日本ではあまり馴染みがありませんが、ベッドの上のファブリックにこだわると、寝室がいっそう心地よい場所になります。

 飾り枕にはユーロ枕、アクセント枕、ネックロール枕などがありますが、これらを色味のトーンを合わせて配置することで、ベッドの見栄えがガラッと変わります。飾り枕は基本的に寝る際に脇によけますが、メインの枕の代わりとしても使うこともできます。

 飾り枕は一見すると邪魔に思えますが、ベッドで読書をする際に背中のクッションになってくれたり、足を乗せてむくみ解消をしたりと、意外と実用的で便利なものです。飾り枕を置いて寝室をワンランクアップさせてみましょう」

 今回は、映画「マイ・インターン」の世界観からお部屋づくりに生かせるヒントをご紹介しました。今すぐ参考にできるポイントがたくさんがあったのではないでしょうか。今回ご紹介したインテリアコーディネートのポイントを参考に、持っているものを上手く生かして、生活を彩るコーディネートを楽しんでみましょう。

ラシッサ:ラシッサD ヴィンティア

ヴィンテージ感のある部屋をテーマに、本物志向のニーズに応えられる存在感と質感を持たせた「ヴィンティア」。インダストリアルデザインの家具や小物を引き立てる荒々しい木目や濃いカラーリング、レトロな印象を持つドアハンドルや金物と合わせて、愛着のわく空間に。

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お話を伺った人

横山朱美さん

美空間プロデューサー(二級建築士・インテリアデザイナー)
オフィスデザインから始まり、JV現場事務所や工務店勤務を経てハウスメーカーのインテリアコーディネーターとして活躍。2011年に設計事務所を開設し、三井ホーム㈱と提携して、リフォームの設計からインテリアまで幅広く手掛ける。やさしい煌めきの空間づくりを目指し、1000件を超える物件を提案。近年は総合広告商社(株)AAPと提携しホテルのリノベーションなどインテリアデザイン案件を手掛けながら、専門学校の講師として後進育成にもあたる。『リフォーム&リノベーション インテリアコーディネーター名鑑』に掲載される。

文・イラスト◎菅沼遼平 画像提供◎Shutterstock.com

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