「住まいのヒント」が盛りだくさん! リクシルオーナーズクラブ初の会員イベント!! 第3回

ポイントは「好きな色」を使うこと。コツさえつかめば誰でもできる!「壁のペイント」ワークショップ

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塗料は「ツヤ」の強弱で選ぶ

配布されたビニールエプロンをつけて、準備万端。ペンキの汚れを気にせずに没頭できました。

 ペイントレッスンは、一般家庭でよく使われているクロス張の壁紙に、水性塗料でペイントするというもの。ここで習ったことは、自宅ですぐマネできます。

 教えてくれるのは、130年以上の歴史があるアメリカ発のペイントブランド「ベンジャミンムーア」の池田さんです。ショールームでペイント講習の講師を務め、なんとご自身は「自宅の壁を年に一回は塗り替える」とのことです。

 参加者は10名。募集時の定員は6名でしたが、反響が大きく、急きょ参加枠を拡大して行いました。

 中にはこう語る参加者も。
「最近、フローリングを白色に塗り替えたりして、DIYにハマってるんです。ホームセンターに行くと、塗料の種類が沢山あって、いつも迷っちゃうので、ここのメーカーの塗り心地や、塗り方を知りたいなと思って」

 今回使った塗料は、ベンジャミンムーアの「AURA(オーラ)」。伸びがよく、希釈せずに使えるタイプで、ツヤ感で3種類販売されています(下写真)。

 池田さんは、「ご家庭ではツヤのない『マット』か、今日使う卵くらいのツヤの『エッグシェル』が部屋になじむと思います。光沢のある『セミグロス』は華やかな印象になるので、店舗に使われることが多いんですよ」と解説。

 塗料の他に必要な道具は4つ。「養生テープ」「ハケ」「ローラー」「バケット」です。
 ちなみにペイント用のバケットには、必ずネット(網)が付いています。このネットが、塗装では重要アイテムになります。缶箱などで代用せずに、専用バケットを用意しましょう。

 道具がそろったら、いよいよ実践!
 まずは養生テープを貼ります。養生は、塗料を付けたくないところを保護する役目があります。仕上がりの8割を左右する、美しい塗装に欠かせない大切な工程です。

最初に塗るのは隅のほう

 養生を終えたら、ハケで、壁の境目やコンセントのフチなど、ローラーで届かない細かな面を塗っていきます。その時のポイントを、
「小学生のとき、塗り絵は輪郭から塗ったという人が多いと思います。同じように、ペイントも四隅から塗っていきましょう。鉄則は、上から下に向かって塗ること」と、池田さんは指南します。

 ハケに塗料を含ませるときもコツがあります。池田さんが実演しながら、丁寧に教えてくれました。

「ハケを、アミに向かって垂直に立てて、押し込んで、毛先を広げてから、毛先を整えます。ハケが重たく感じるまで、この作業を何回か繰り返します。ハケに塗料をしっかりなじませるのが狙いなので、この工程は、塗り始める前にしておけば、後で繰り返す必要はありません」

 塗る時の注意点についても、うかがいました。
「ハケの向きに気を付けましょう。縦に動かして、細い面を使って塗っていきます。こうすると、長い距離を塗ることができます。横に動かして広い面で塗ろうとすると、うまくいきません」

 ポイントを教わったら、いよいよ参加者が実践する番です。横についてくれる池田さんにアドバイスを受けながら、順番に塗装していきます。
皆さん真剣な目つきで黙々とハケを動かし、ペイント体験にのめりこんでいきます。

 塗っている最中に失敗してしまいがちなポイントが、塗料が垂れて、跡が残ってしまうこと。その対処法については、「ハケの半分くらいを目安に塗料に浸すと、適量にふくませられるので、液垂れを防げます」と解説。

 続けて、「すぐに塗り重ねれば跡は消えるので、慌てないでください。液垂れ部分を撫でて、なじませてもよいですよ」
 参加者は、垂れてしまった部分をハケで撫でながら「なるほど!」と、納得した様子でした。

 ここで、順番待ちの参加者から、「もしも垂れた跡が固まったら、どうすればよいですか?」との質問が。
 池田さんは、「1回目の塗装なら、カッターで削れば問題ありません。ただ、重ね塗り用の塗料の場合、2回目以降で修正が遅れると、痕跡を消すのも難しくなってしまいます」と、説明してくれました。

ローラーの使い方と仕上げのコツ

 縁取りを終えたら、広い面をローラーで一気に塗っていきます。
 池田さんが、ローラーで塗り始める前の大事なひと手間を、実演しながら説明してくれます。

「バケット付属のネットにローラーを押し当てながら、塗料が染み込むように、上から下に向かって転がします。ローラーが重くなるまで、何回か繰り返します。これも、最初だけ行えば大丈夫です」

 さらに、「ローラーの端はペンキが溜まりやすいので、まず、壁に端を当てて円を描きます。こうして、余分なペンキを取り除くのです。その後、円を塗りつぶすように、ローラーを転がしていきましょう」と、池田さんが実際に円を描いて見せます。
 最初に円を描くのは意外な工程で、参加者はその手元をじっと見て、興味津々の反応です。

 ローラーを転がす時は、まず、上から下に向かって塗っていきます。
 そして仕上げとして、下から上に向かって塗ります。上から下に塗る時よりも、軽い力で押しあてられるので、表面が均一に仕上がるのです。

ローラーで塗る前に、端の部分で円を描き、溜まったペンキを取り除きます。

 参加者からは、「教わったポイントを念頭に塗れば、意外と簡単だと思いました。繰り返し練習させてもらえたので、『失敗したらどうしよう』という不安がなくなって、落ち着いてペイントできるようになってきました」との声もありました。

 本日のワークショップでの体験はここまで。
 しかし、実際のペイントでは、このあともやるべきことが2つあります。
 1つが重ね塗り。タイミングは最初のペイントが乾いてからで、目安としては約1時間後です。重ね塗りをすると、よりきれいに発色します。

 もう一つが、養生テープをはがすタイミング。こちらもペンキが乾いてから行います。

 ワークショップを終えて、ご参加の女性に感想をうかがったところ、「今まで、お店でペンキを見て『きれいな色だな』と思っても、買う勇気がありませんでした。ペイント道具も初めて触ったのですが、体感してみて、私でもできそうな気がしてきました。まずは家具のペイントから挑戦してみたいです」と、いきいき話す姿が印象的でした。

 住まいの色を変えれば、気分が上がり、空間を手作りすれば、愛着が湧きます。DIYを身近に感じてもらうきっかけとなった、ペイントレッスンでした。

ペイントの手順まとめ

 最後に、ワークショップで学んだ手順とコツについて、以下にまとめます。

 1.塗りたくない部分を養生……養生テープの貼り方で、仕上がりは8割決まる! 美しく仕上げるためにも丁寧に
 2.ハケで縁取り……液垂れを見つけたら、すぐに修正を
 3.ローラーで全面を塗る……最初にローラーの端で円を描き、塗りムラを防ぐ
 4.重ね塗り……1回目がしっかり乾いてから。目安は1時間後
 5.養生テープをはがす……長時間放置すると、養生テープをはがす時に壁紙も一緒にはがれてしまうので注意

 次回はインテリアコーディネーター荒井詩万さんのセミナーの様子をレポートします。

(第4回に続く)


文◎井口理恵 撮影◎石橋素幸

リクシルオーナーズクラブ(年会費無料)