秘密基地ながら家族との一体感を演出
自分だけの空間で没頭しすぎると家族から孤立してしまうかも。
蔵書に囲まれた自分だけの書斎や、趣味のスペースにと、ロフトは大人の秘密基地として、心が落ち着きリラックスしたり、読書や趣味に集中したりできる場所です。しかし、それだけに、気づけば自分ひとりの時間に没頭してしまい、家族から孤立した印象のスペースにもなりがちです。
「秘密基地」としてのロフト独特のワクワク感を楽しみつつ、さらに一歩進んで、家族との一体感を大切にする空間としてロフトを活用するアイデアを考えてみましょう。
子どもの成長に伴い、家が以前より狭く感じられ、自分だけの時間を持てなくなった。読書や趣味に集中したり、ゆっくり考え事をしたりして過ごせる自分だけの部屋が欲しいけれど、部屋数に限りはあるし、間取りを大きく変えることはできない。部屋を増改築する予算もスペースもない。そこで、何とか家族を説得してリフォームでロフトを増築。ようやく自分だけの「秘密基地」をもてたという喜び……。
帰宅後や休日は「秘密基地」に閉じこもりたい気持ちはよくわかります。しかし、率直に言えば、不満を感じる家族もいるでしょう。
秘密基地感覚を家族とシェア
せっかくのリフォームが、家族の不和を生まないような過ごし方をしてみましょう。
「時々子どもに本の読み聞かせをしたり、プラモデルを一緒に組み立てたりと、子どもと一緒に読書や趣味を楽しみ『秘密基地』のワクワク感をシェアするのも、1つのアイデアです」
また、ホームシアターとしてロフトを活用するのも一手だと岡本さんは言います。
1人で楽しむだけでなく、家族の共有空間としてロフトを活用することもおすすめする岡本さん。
「1人で楽しむだけでなく、例えば、週に1度は夫婦でDVDを観賞すれば、子どもの世話で普段は映画館に出かけられない奥様へのサービスにもなるのではないでしょうか。夫婦水入らず、若かりし頃の恋人気分を思い出しつつ過ごせる空間としてロフトを活用するのもおすすめです」
第1回でもお伝えしました通り、ロフトは部屋ではなく「小屋裏物置等」であり、自治体によってコンセントの数やテレビアンテナ接続端子やインターネット接続端子の設置に制限があるので、リフォームの際には自治体への確認をしたり、施工業者にロフトの用途を伝えて相談したりするとよいでしょう。
間接照明が生み出すお父さんの気配
家族との一体感を損なわないロフトにするために、“気配が伝わる”リフォームをするというのもアイデアの1つです。
「完全に他の部屋から見えない空間にするのではなく、開口部をリビングやダイニングから見えるような設計にするのは、その一例です。ロフトにいる人の姿が開口部から見えなくても、なんとなく気配が伝わるだけで、他の家族の安心感にもつながります」
「秘密基地」の雰囲気を残しつつ、一つ屋根の下で暮らす家族の絆にも配慮したリフォームが可能になるというわけです。
ロフトの開口部をリビングとつなげ、間接照明と相まって、お父さんの気配が家族に伝わる設計。
(c)OASis一級建築士事務所
“お父さんの気配が伝わる”リフォームにも繋がることですが、増築するロフトを孤立したスペースにせず、家族との一体感を大切にする方法の1つとして、ロフトに間接照明を設置するのもおすすめだと岡本さんはアドバイスします。
「リビングやダイニングから見えるロフトの開口部や手すりに間接照明を設置すると、ロフトだけはではなく、隣接する部屋や天井付近も明るくなるのです。間接照明の優しい光は、ロフトでのくつろぎ感を増してくれるのと同時に、家全体のムードをより温かいものにしてくれるでしょう。また、間接照明を取り入れると“おしゃれ感”も演出できます」
ご主人がご自身のアクティビティを楽しむのと同時に、ロフトが家族とのよりよいコミュニケーションの場となるような使い方や設計の工夫をいくつかあげてみましたが、家族みんなが「ロフトを増築して本当によかった」と思えるような、みんなの笑顔があふれるリフォームにしたいものですね。
写真右上がロフトの開口部でリビングの間接照明になる。柔らかい光が部屋全体を照らす。
(c)OASis一級建築士事務所
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