シリーズ男のリフォーム ロフトはお父さんの秘密基地 [第1回]

固定資産税がかからない増室の決定版! ワクワクが止まらない大人の遊び場計画

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収納、書斎、趣味に
ロフトは大人の秘密基地

岡本さんの寝室の上につくられた「秘密基地」。ボルダリングのように壁をよじ登っていく。

 新築時や入居当時と比べて、モノが増えて収納に困ったり、子どもの成長によって家が狭く感じられたりすることは多いものです。新たな収納場所の必要性や、1人になって本を読んだりホッと一息ついたり、心落ち着ける場所が家の中に欲しいと感じることもあるでしょう。

 しかし、リフォームで自分専用の部屋や、蔵書やCDに囲まれて過ごせる書斎を新たにもてるという人は、残念ながら少数派ではないでしょうか。

 自分だけの「秘密基地」が欲しいけれど、部屋数に限りはあるし、間取りを大きく変えることはできない。部屋を増改築する予算もスペースもない。そんなとき、リフォームでロフトを設けることで、希望をかなえるというのも選択肢の1つとして検討してみてはいかがでしょうか。

ロフトの収納力は想像以上!?

「ロフトを増築するメリットは、やはりなんといっても収納スペースが大きく増えることです」
 こう語るのはOASis一級建築士事務所の代表の岡本浩さんです。

「モノがあふれて収納場所に困っていたお宅でロフトを増築したところ、1年ほど経って訪問しても、まだまだロフトに収納できる余裕がありました。実際、ロフトを増築してみると、『思っていた以上の収納力がある』『驚くほどモノが片付いた』と感じる施主様が多いです」

 ロフトを設置することによって、モノがスッキリと片付けられ、もともとあった部屋も広々と使えるようになり、より美しい空間で生活できるようになるというのも魅力です。

岡本さんのオフィスに設置されたロフト。こちらは物置として使われている。

 また、収納スペースは、家族共通の問題です。
「ご主人が、書斎や趣味のスペースなど“男の秘密基地”としてのロフトが欲しいと家族に訴えても、リフォームの出費に難色を示すご家族もいらっしゃいます。そんな“男の秘密基地”のリフォームに充てる予算には首を縦に振らないご家族でも、『収納スペースが大きく増える』というメリットには、少なからず魅力を感じる場合が多いものです」

 ロフトの増築に家族の賛同を得やすくするためには、ロフトの収納力を理解してもらうことも1つの方法かもしれません。

案外安い費用でワクワク感が得られる

 ロフトは、階数に算定されず、床面積にも算入されないため、固定資産税の課税対象面積に含まれないというメリットがあります。

「リフォーム費用も、部屋を増築する場合と比べて、それほど高くないのも、ロフト増築の魅力の1つといえます。もちろん、広さや使用する材料、性能にもよっても費用は変わりますが、リフォームでロフトを増築した場合、大まかな予算のイメージとしては、数十万~100万円台をひとつの目安として心積りされるといいでしょう」

なんともワクワク感のあるデザイン。学生時代に登山を楽しんだ岡本さんならではのアイデア。

 ロフトを増築するメリットをもう1つあげるなら、ロフト独特の「ワクワク感」です。

「子どものころ、押し入れに親の目を盗んで入って遊んだり、段ボールなどで『秘密基地』を作って楽しんだりした経験がある人は多いでしょう。ロフトは、子どもの遊び場としてはもちろん、大人にとっても童心に返って、漫画や本、音楽にゲームなど趣味に没頭できる場所ではないでしょうか」

 子どもも大人もワクワクできる空間。それがロフトの最大の魅力かもしれません。

確認しておきたいロフト増築のルール

 ロフトは、建築基準法では「小屋裏物置等」として扱われます。

「ロフトは『部屋』ではなく、あくまでも『収納』という取り扱いのため、ロフトは『階』とみなされず『床面積』にも算入されませんが、そのためには条件があります」

 それは、ロフトのサイズです。
  ・床面積が、ロフトが属する階の2分の1未満であること
  ・天井高が1.4m以下であること
 以上を守らなくてはなりません。この2つに加え、自治体によってはさまざまな条件が課せられることがあります。

自治体によって条件が異なるので、地元のルールに詳しいプロに相談するのがおすすめという岡本さん。

「ロフトに設置するはしごや階段を固定式のものにしないことや、窓を設置する場合、窓の機能に条件がある自治体もありますね。本来、『小屋裏物置』は、デッドスペースを収納として有効に利用することを目的としているため、居室として利用できないことがあります。例えば、コンセントの数、テレビアンテナ接続端子、インターネット接続端子、電話端子、ガスコックなどをロフトに設置してはいけないというもので、自治体によって条件が異なります」

 自治体の運用指針を事前に確認したり、地元に詳しい設計士や建築家、リフォームを担当する施工業者に相談したりするといいでしょう。

 次回は、ロフトを増築する際の注意点やデメリット、その対策について解説します。

(第2回に続く)

お話を伺った方

岡本浩さん

建築家 OASis一級建築士事務所
1971年生まれ 予算や規制の範囲内で、クライアントの要望を満たし、構造の安全性、使い勝手等、住宅として必要な機能に加え、独自のアイデアあふれる「楽しく」「広く」「気持ちのいい」オアシスのような住まい作りをモットーとしている。趣味は建築模型とミニ盆栽。

文◎渡辺タカコ 撮影◎村越将浩 写真提供◎OASis一級建築士事務所

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