日本人なら知っておきたい 「神棚」7つの基礎知識 [第2回]

供物は下げたら食べてもいいの?

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神棚をまつるために知っておきたい
7つの基礎知識

[4]お札の選びかた
  ――おまつりするのは縁の深い「天」「地」「心」の神様

 おまつりするお札は主に3種類ですが、必ずこの3種類をというわけではなく、たとえば神宮大麻だけでも構いません。よくないのは、根拠なく気軽にあちこちのお札をお受けし(お札には「買う」「購入する」という言葉は使いません)、たくさん並べることです。

 まずおまつりするのは「天」の恵み、日本全国をお守りくださっている総氏神様、伊勢神宮の「神宮大麻」です。伊勢まで参拝せずとも、地域の有人の神社ならどこでもお受けすることができますし、申し込めば神宮から郵送されます。

 次に、神宮の「天」の恵みとひとつになることでより一層のご加護がいただける「地」の恵み、「氏神神社」のお札をおまつりしましょう。氏神神社とは、その地域に暮らす人々と生活をお守りくださる、最も身近な神様です。住んでいる地域の氏神神社がわからない場合は、各都道府県の神社庁に問い合わせれば教えてくれます。

 もう一枚は「心」の神様、「崇敬神社」のお札です。崇敬神社とは地縁や血縁とは関係なく、個人的に崇敬する神社のことです。好きならどの神社でもよいと考えられがちですが、神道では土地との結びつきを大切にしますから、好きだからと遠くの神社のお札を選ぶよりは、縁の深い「産土(うぶすな)神社」のお札をおすすめします(産土神社とは「出生した場所の近くにある神社」です。

 人は終生生まれた土地の神様に守護されることになるため、その縁を重んじたほうがご利益を得やすくなります)。生まれたときからずっと同じ所に住んでいる場合は、地域の一宮(いちのみや)神社(江戸時代に定められた各国一の有力神社)のお札もよいでしょう。

 その他、たとえば厄よけなどでご祈祷した際にお受けする白木のお札「護摩札(ごまふだ)」などは、お宮の隣に並べておまつりしましょう。

[5]お供えもの
  ――基本は米、塩、水と、みずみずしい榊

 神棚にお供えするものを「神饌(しんせん)」または「供物(くもつ)」といいます。
 日常の神饌は米、塩、水の3品が基本です。毎日お供えするのが原則ですが、できる範囲で構いません。水は毎朝、米や塩は最低週1度くらいは取り替えるとよいでしょう。

 もうひとつ、神棚の左右には常にみずみずしい榊(さかき)をお飾りします。天から降りてきた神様が、樹木を介して神棚にいらっしゃるとされるからです。

 榊には、字のごとく「神の木」という意味があり、またその語源は聖域と俗界との境を示す「境木(さかいき)」、栄える木という意味の「栄木(さかき)」から転じたともいわれています。現在、代表的なものはツバキ科のものですが、地方それぞれの常緑樹も使われています。榊は必ず枯れないうちに取り替えてください。

 毎月1日と15日やお正月、家族にとって大事な日には酒、野菜、果物などもお供えしましょう。いただき物や季節の初物も、まず神棚にお供えしたいものです。神棚にお供えした物には、神様のパワーがこもるといわれます。下げたあとは家族みんなでいただきましょう。

 お供えをする際には、米を中央へいちばん先に、次に塩、水の順にお供えします。酒もお供えする場合は、米、酒、塩、水の順番で、向かって右、次に左の順で横一列に並べるのが一般的です。場所がない場合は二列でも、狭い神棚なら合わせ盛りにして供えても構いません。

[6]おまいりの作法
  ――神様への感謝とともに心を込めて

 神棚をおまいりするときは、神社と同じく「二拝二拍手一拝*1」が基本です。
 神様へ報告やお願いをするときは、二拍手と一拝の間にされることが多いのですが、丁寧にしたい場合は「二拝二拍手一拝」→報告やお願い→「二拝二拍手一拝」とするといいでしょう。

 時間がないときは、一礼後合掌して報告やお願いをしてもかまいません。なにより気持ちをこめることが大切です。

 また、おまいりの際は目をつぶりがちですが、人にものを頼むときと同様に、目を開けておまいりすることをおすすめします。

 朝に家族の健康と安全を願い、1日の終わりに平穏無事に過ごせたことを感謝しておまいりするのが基本ですが、必ずしなければいけないわけではありません。1日1回、気持ちをこめてお祈りすれば大丈夫です。

 忘れてしまった場合も、誠意をこめてあやまれば許していただけます。また、お祝いごとがあるときなどは、そのつど神棚に喜びと感謝をお伝えするようおまいりしましょう。

 お願いごとをしたいときは、自分のご利益だけでなく、神様へ感謝の気持ちとともにお願いするのがポイントです。

「自分の言葉で日頃の感謝の気持ちを述べる」→「具体的な報告やお願いごとをお伝えする」→「神様を応援するようなお祈りをする」*2という手順がよいでしょう。神様は人間から敬われることで力を増し、人間はその力をいただいて運を開くといわれるので、最後の、応援するお祈りが肝心なのです。

*1 二拝二拍手一拝:神棚の前に立ち、軽く頭を下げてお供えをしたら、90度に腰を折って頭を下げる、を2回繰り返す。胸の高さで二回拍手する。手をおろし、最初と同じように頭を1回下げる。退く時にも軽く頭を下げる。(二拍手のあとで神様への感謝の気持ちを述べたり、祝詞を唱えるとより丁寧な拝礼になります)
*2 一例として「わが守護の大神(おおかみ)さまの、ますますのご開運がありますように」「大神さまのご神威(しんい)がますます輝きますように」などと2、3度くりかえす。

[7]神棚のお手入れ
  ――本格的なお掃除は年2回、大祓(おおはらえ)の6月と12月に

 神棚のお掃除は毎日でなくとも、気がついたときで構いません。本格的な掃除は年に2度、神社で大祓という神事が行なわれる6月と12月にするといいでしょう。
 お供えの水と榊の水は毎日取り替え、埃がたまったりしないよう、できる頻度で掃除をしましょう。

 掃除は神棚用と決めたハタキとふきんを用意し、掃除する前や神具などを降ろす際は必ず神様に対し「掃除をさせていただきます。失礼します」とひと声かけること、下に降ろしたものは床ではなく机などの上に置くようにしましょう。お札は掃除のあいだ、半紙など白い紙に包んでおくといいでしょう。

 普段の掃除は、供物や倒れやすい榊、灯明などを下に降ろし、ハタキでお宮の埃を払ってから、棚板の上をふきんでさっと乾拭きします(水気はカビやゆがみの原因になるため、日常の掃除はすべて空拭きで)。お宮の中までは掃除しなくてよいですが、ひと声かけて扉を開け、中の状態を確認しておくといいでしょう。

 本格的な掃除のときは、棚板に載っているものをすべて降ろし、埃を払います。次にお宮からお札を抜き、水にぬらして固く絞ったふきんでお宮をくまなく拭き、乾拭きして仕上げます。

 棚板の上やまわりも同じように拭き上げたら、お札を入れてお宮を戻し、最後にお供えや神具類を戻します。お供え(塩・米・水・酒)は新しいものと交換しましょう。お供えに使う器を洗う際は、ほかの食器とはわけて洗うようにしてください。

※次回は神棚にまつわるQ&Aをご紹介します。

●本稿は以下書籍の一部を再編集したものです

『心がやすらぐ神棚スタイル』阿部慎也監修、長崎祐子+神棚生活研究会著、プレジデント社
日々清々しく生きるための“神棚生活"スタート・ブック。日本人なら知っておきたい基本知識や作法からしあわせを引き寄せる神様との向き合い方まで。究極の自宅内パワースポット“私だけの神棚”入門書。

画像提供◎PIXTA

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