家族の絆をつなぐ、まっすぐで愛らしい熊
まずは「パディントン」のストーリーを簡単にご紹介しましょう。
物語の主人公は、ペルー奥地で楽しく暮らす知性のある熊、パディントン。突然の地震で故郷を奪われてしまった彼は、以前に彼の叔父夫婦がイギリスの探検家モンゴメリーからロンドンへ招待されていたことを思い出し、新天地を求めてロンドンへ向かいます。
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ロンドン駅で行くあてもなくさまよっていたパディントンを迎え入れたのは、家族の絆に問題を抱えるブラウン一家。しかし、人間の家の勝手を知らないパディントンは次々とトラブルを起こし、心苦しさからブラウン家を出ていってしまいます。叔父と交流のあったモンゴメリーの家を探し当てたパディントンですが、彼はすでに他界しており、そこにいたのは娘のミリセントでした。
生前、心優しきモンゴメリーは森の奥で暮らしていた彼らを尊重し、所属していた地理学者協会が熊捕獲に乗り出そうとしたことに反対していました。そのことで社会的地位を失った彼は苦しい生活を余儀なくされ、そのしわ寄せを受けていたミリセントは、元凶であるパディントンを捕獲しようと動いていたのでした。
パディントンはミリセントに捕獲され、剥製にされそうになったところをブラウン一家に救出されます。彼らは真面目でまっすぐなパディントンが自分たちにとって必要な存在だったと気づいたのです。こうして、パディントンはブラウン家の一員となり、ふたたび楽しく暮らしはじめます。
遊び心溢れるファンタジックな空間
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映画「パディントン」で注目したいのは、パディントンがロンドンで居候をするブラウン一家のお宅。カラフルな住宅街の中にあるブラウン家は、真似したくなるインテリアコーディネートのテクニックが盛りだくさんです。
まず、ブラウン家のベースとなっているのが、イギリスらしいアンティークなテイスト。ナチュラルな壁色と、少しダークな木製家具が落ち着きと温かさを感じさせてくれます。時間や歴史とともに変化していく木の風合いを楽しみたくなるお家です。
しかし、ブラウン家のインテリアコーディネートの特徴はそれだけではありません。最大の特徴は、アンティークなテイストをベースにしながら、キッチンはレトロポップ、洗面室はリゾートテイストなど、さながらテーマパークのように各部屋が独立したテイストでつくられていること。家族それぞれの部屋も個性的で、物語にぴったりのファンタジックなお家なのです。
「よく見ると、各部屋や廊下の天井ランプは1つとして同じ形の物を使っていないことが分かります。ライトはそれぞれ素敵ですが、特にキッチンにあるペンダントライトは照明から漏れる灯りが天井に映り、ランプシェードの形によってつくり出された影がとてもきれいですね」
このライトはデンマークの照明ブランドである「ルイスポールセン」のもの。シンプルで美しいデザインと、柔らかい自然光のような雰囲気をつくってくれるのが特徴です。
壁は、個性と美意識を表現するアート空間
ブラウン家といえば、エントランスにある大きな桜のウォールアートが印象に残っている人も多いはず。「らせん階段が印象的な吹き抜けと、その壁面いっぱいに描かれた桜がとても素敵で、一度見たら忘れられないエントランスですね。そして、ブラウン家のインテリアコーディネートでは、この壁面が個性や美意識を表現するアート空間の役割を果たしているんです。
例えば、玄関から続く廊下の壁に、上下で異なる壁紙を使っているのもその1つ。モールドを境に、下の部分には柄を使った壁紙、上の部分には赤と白のストライプの壁紙にすることで、レトロで可愛らしい雰囲気が出ています。詳しくは後半の実践編で解説したいと思います。
また、玄関の廊下には額やオブジェがあったり、2階の廊下にはこれでもかというほどの大量の額が飾られていたりします。さらに、娘ジュディの部屋の壁には膨大な写真が貼りつけられていたり、息子ジョナサンの部屋の壁には宇宙空間が広がっていたりと、どの壁面を見ても飽きませんね」
“好きなもの”で埋め尽くされた空間
最後に、家族の部屋を見ていきましょう。「父親ヘンリーの部屋にはメリーゴーランドの馬の置物や、ガムボールマシン。母親メアリーの部屋にはうねった支柱のスタンドライトや、ツタのようなベッドライト。
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娘ジュディの部屋にはカラフルなランプ。息子ジョナサンの部屋にはたくさんの改造したおもちゃ。このように、どの部屋も細部までキャラクターを表現するためのこだわりを感じます。部屋の主の好きなもので埋め尽くされたそれぞれの部屋が、この映画をより楽しくしていますね」と横山さん。
今回は、映画「パディントン」の世界をインテリアコーディネートの観点から見ていきました。毎日が楽しくなるようなインテリアのポイントがたくさんありましたね。次回は、「パディントン」の世界観を自分のお部屋に取り入れるためのヒントをご紹介していきます!
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