[シリーズ 男のリフォーム] 夢の「書斎」は譲れない 第3回

畳2枚分の「楽園」をつくるのは案外簡単……、かもしれない

空間
リビング・寝室・居室
関心
ライフスタイルリフォーム事例ファミリー

「書斎を作りたい」という夢をかなえるためにはどうすればいいのか。どうしたら家族を説得できるのか。そして現実的でありながら、素敵な生活をすごせる書斎のスタイルはどのようなものなのか。フリーダムアーキテクツデザインの設計者・齊藤裕幸さんにうかがう「夢の書斎のつくり方」、最終回は、リフォームやリノベーションで役に立つ細い部分をお話していただきます。

1坪でも本の収納次第で快適空間に

 フロアの高さを変えたりすることが自由にできる新築とは違って、リフォームやリノベーションの場合、家の躯体まで大きく変えるというのは予算的にもなかなか難しいもの。そんな場合にどうやって「夢の書斎」をつくっていけばいいのでしょう。

「基本的なことは、新築の場合と同じだと考えていただければいいと思います。2畳くらい、つまりウォークインクローゼットと同じ広さをどう確保するか、そしてどういう使い方をして、閉鎖的にしたいのか、開放的にしたいのかで考えていくということですね」

どう書斎のスペースを確保して、閉鎖的に、あるいは開放的にしたいのか考えていくことから始めましょう、と齊藤裕幸さん。

 では、畳2枚分、およそ1坪というスペースで、どうやって快適な「楽園」を構築していくのでしょう。

「たとえば、テーブルを置くだけの書斎ならば、開放的でくつろげる空間を生み出すことができます。その上で、どうやって本を収めていくかを考えます。意外と見落としがちなのですが、書棚の設計は大切です。たとえば、文庫本が多い方ならば、その文庫本のサイズに絞ってジャストサイズの奥行きで書棚を設計するんです」

 言われてみれば、文庫本サイズの書棚はよく見かけます。
 それ以外の本はどうすればいいのでしょう。

「一部をそういった形にして、それ以外は可動棚にする、という形ですね。本の大きさに合わせて調節はできるのですが、あまり余裕をつくりすぎると、かえって空間がムダになります。奥行きがジャストサイズの書棚ならば、実際に占有される面積も少なくなります」

本や本棚をインテリアとして考える

 たしかに本のサイズに合ってない書棚は、奥行きを感じるのでそこが圧迫感に繋がる、ということもあるかもしれません。ジャストサイズの本の背表紙できちんと埋まっている整然とした壁は、見た目も圧迫感がないように思えます。そうした収め方なら、リビングや階段に本棚が進出しても、本の背表紙自体がひとつのインテリアのように見えます。

すべて、階段の1段分の高さと、文庫本の奥行で統一した、横に広がりをもたせたインテリア。もちろん、小物の収納もできる。

「これは新築の狭小住宅の例なのですが、階段のステップの高さも、壁から出した棚の高さも、すべて同じサイズにそろえたケースなんです。本も置けるし、その棚の一部にコンセントも付けて、そこで携帯の充電なんかもできるように。
 キッチンまで同じテイストで、そこにはカップアンドソーサーを置いたり、自由に使えるようになっています。階段と壁とが同じ高さで構成されているので、横に広がりを感じさせることにも成功していますし、リズムがあるので楽しい空間になっています」

 リフォームで壁を全面、棚にしてしまう発想が柔軟でユニーク。本だけではなく、さまざまなものを置くことで、自分だけの、スタイリッシュな空間にできます。

 カーテンなどの布素材で緩やかに空間を区切り、開放的にもできるというスタイルで読書スペースを確保するのも、参考になるのではないでしょうか。
「家族に却下されてしまうかも」という不安から抜け出して、希望がもてるような気がしませんか。

夫婦で共通の趣味があれば、ともに楽しめる空間として使うこともできそう。

家族共通の趣味空間として
書斎を実現するという方法

「趣味室としての書斎と考える方もたくさんいらっしゃいます。たとえば自転車が好きな方は、ユニフォームや、スペースが許せば自転車を飾るとか、フィギュア収集が趣味の方がコレクションを飾る棚をつくるとか」

 そういうコレクションをクローズドなコーナーに飾るのか、誰もが見える場所に飾るのかは、ご家族との関係性やその趣味が共通であるかどうかに関わってくるかもしれません。奥さまが人形好きでブライス人形のコレクションを収集している、などという方なら、2人のコレクションを見える形でディスプレイする方向に持っていけるかもしれません。

音楽を楽しむだけならまだしも、楽器を奏でるための防音仕様はハードルが高いかも。

「一番NGが出る確率が高いのは、音楽好きの方かもしれません。スピーカーを置いて音楽を楽しむだけならいいのですが、楽器を演奏する、とくに管楽器やエレキギターなど大音量が出る楽器を演奏したい方がほしがるのが、防音仕様です。いろいろなグレードがあるのですが、完全防音ではなくとも100万円単位の費用を覚悟しなければなりません」

 やはり費用がかかるとなると、家族の反対も強くなる傾向があるようです。そういった希望をかなえるのは、いかにも大変そうです。みなさん、どうやって高い壁を越えていったのでしょうか。

「ご家族は敵ではありません(笑)。強い意志をもって、絶対に書斎スペースをつくるのだという強い思い、具体的なイメージを明確にすれば、リフォームでも、新築でも、空間の確保はできます。あきらめないでくださいね。建築家は、みなさんの夢をかなえるのが仕事ですから」

お話しを伺った方

齊藤裕幸さん

大学の建築学科卒業後、フリーダムアーキテクツデザインに入社。多くの人にとって、施主様が建ててよかったと感じていただくために、とことん要望を聞き、柔軟な発想で応え「形」にしている。

文◎坂井淳一 人物撮影◎小林彦真
取材協力◎フリーダムアーキテクツデザインhttps://www.freedom.co.jp/

リクシルオーナーズクラブ(年会費無料)