見せる棚で、心が行き届いたキッチンをつくる
最初にご紹介するのは、北欧テイストのポイントの1つであるキッチンの壁に取り付けられた横長の棚と、それを生かした「見せる収納」。実際、横山さんがこれまでに携わったリフォームでも、北欧テイストを取り入れたいというお客さまからの要望として多いのが、キッチンの棚だそうです。
「多くのお宅ではキッチンの上に棚や収納が備え付けられていると思います。キッチンと備え付けの収納の間に奥行の浅い棚を設置することで、ディスプレイスペースを確保してみてはいかがでしょう。最近はタイル張りをした上から棚を設置するのも流行っています。ナチュラルな色のタイルを下地にすることで、“見せる場所”であることがより強調されますよ。
ディスプレイするのは食器や調理器具でまとめるのもよいのですが、それだけにこだわる必要はありません。小さな観葉植物を置いたり、木製のトレーの上にお気に入りの小物や雑貨をちょこんと置いたりするのも素敵です。1つだけ注意してほしいのは地震対策。日本は地震が多いので、特に食器や調理器具など重量があるものは転倒防止対策をしっかりしてくださいね」と横山さん。
キッチンは、いつの間にか物が増えてごちゃごちゃしやすい場所。収納そのものをインテリアとして捉えて整理整頓に気遣うことで、「かもめ食堂」のように心が行き届いたキッチンが実現するかもしれません。
木製家具を選ぶポイントは「テイスト」と「色味」
つぎに、北欧テイストらしさを演出するのに欠かせない木製家具について見てみましょう。「一口に木製家具と言っても、自然のままの節や木目を残したものから、完全に加工されたものまでさまざまです。見た目や手触りなども、ナチュラルなものからビジネスシーンにふさわしいものまで多種多様。そのため、木製家具を選ぶ際は、まずこうしたテイストを統一するように意識しましょう」
また、「色味」も大切と横山さんは言います。「木の色味も、樹種などで大きく変わります。1つの部屋の中に置く木製家具を選ぶときは、木の色味を2色までに絞るのがポイント。そうすると、まとまりがある空間づくりができますよ」
そうはいっても、木の色味を合わせるのは意外と大変。まさか自室の家具を家具屋さんに持っていくわけにもいかず、パソコンの画面でカラーバリエーションを見ても正確な色味は分かりません。
「そんなときに活用したいのが家具屋さんでもらえる色見本のサンプルです。実際に自分の部屋の木製家具とサンプルを照らし合わせて色味を確認しておきましょう。テイストと色味――、この2点に気をつけることでワンランク上のコーディネートが目指せると思います」と横山さん。
ペンダントライトをお部屋のアクセントに
3つ目のポイントは照明です。「かもめ食堂」では、お洒落なペンダントライトがアクセントになっていました。「ペンダントライトは、どちらかというと補足的に使われることが多い照明です。日本では、ダウンライトとペンダントライトの組み合わせをダイニングなどに用いることが多いですね。
ダイニングに温かみのある電球色のペンダントライトを使うと、お料理がおいしそうに見えるので食事の際にはぴったり。ただ、ペンダントライトの照らせる範囲はどうしても狭くなってしまうので、ダウンライトと組み合わせて使うことをお勧めします。
ソケットにダクトレールを付け、ペンダントライトをいくつか組み合わせると明るさをプラスできると横山さん。
お部屋の照明をペンダントライトにしたいけれど、天井の工事まではできないという場合は、ソケットにダクトレールを付けて、ペンダントライトをいくつか組み合わせてみましょう。高さを変えて3つほど配置すると、明るさをプラスできます。お洒落な雰囲気を出せる照明なので、ぜひお気に入りのものを見つけてコーディネートしてみてください」
今回は、映画「かもめ食堂」の世界観をお部屋に取り入れるためのポイントをご紹介しました。自然の温もりを生かしつつ、機能性やデザイン性もうまく取り入れるためのヒントがたくさんあったのではないでしょうか。今回ご紹介したインテリアコーディネートのポイントを参考に、ぜひシンプルで居心地のよい空間づくりを楽しんでみてください。
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