暮らしに彩りを添える「ボタニカルインテリア」のすすめ[第2回]

プロだけが知っている、家具に植物を合わせる「黄金律」

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ライフスタイルインテリアデザイン

インテリアシーンで話題を集めているボタニカルプランツ。いざグリーンを我が家へと思っても、選び方やレイアウトについて悩んでしまう人が多いのでは? そこで、アクタスでグリーンバイヤーを務める曽我広範さんにインテリアにマッチさせる実践的テクニックについてお話しをうかがいました。

インテリアが映える個性派プランツ

「植物を買い付けるとき、常に意識していることがあります。それは“インテリアとしてどうマッチするのか?”という点。同じ植物でも、この樹形だったらソファに合うぞ、この葉形の広がりはサイドテーブルに置いたらカッコいいだろうな、というふうに。1点1点、部屋に取り入れたときのシーンをイメージしながら選んでいます」

あえて曲がった樹形のグリーンをサイドボードにかぶせるように配置。立体感があって色も家具とマッチしている。

 実際「アクタス青山店」では、グリーンコーナーだけでなく、家具や雑貨のフロアでもグリーンをコーディネートしています。
「こんなグリーンをこう置くとステキなんだな! と、コーデの参考にしていただけるように」と曽我さん。

 プロが手掛けたスタイリッシュなディスプレイには、住まいと暮らしをレベルアップさせるヒントがいっぱい。なぜステキに見えるのか? 心地よさを感じるのか? ルールを学ぶことが、ボタニカルインテリア成功の第一歩となります。

 それでは実際に、グリーンコーデの実践テクをレクチャーしていただきましょう。

プランツスタンドで最も映える高さに調節

大きめのグリーンも積極的に取り入れたい。横広がりの枝や葉っぱが美しく映える。

「このグリーンはツビタンサス。樹形が造形的でおもしろい! と仕入れました。直線的な幹より動きがあり、この形を生かせるようにとサイドボード脇に置きました。低めの家具と合わせれば、白壁を背景に横広がりの葉っぱが美しく映えますから。グリーンの大小にかかわらず“樹形”は選ぶときの大事なポイントです」

 なるほど、このツビタンサス、大きいけれど優しい雰囲気があり、部屋に置いたら癒されそうです。

「プランツスタンドに乗せて高さを出しているのもポイントです。床に直接置くより白壁とグリーンの位置バランスがよくなります。鉢は壁となじむよう薄いグレーに。スチール製でストンとした形のこれは、場所を選びません。“鉢のデザインで遊ぶ”という手もありますが、こういう大きいグリーンの鉢はシンプルにキメたほうが、デンとした重量感が軽減され、サイドボードともマッチします」

グリーン+間接照明でくつろぎ感倍増

「さらにサイドボード上にスタンドを置けば、夜は壁に樹の影が映り、リラックス感が高まります。間接照明とグリーンはとても相性がよく、樹形がおもしろいものを選べばシルエットまで楽しめて2倍おトク、というわけです。休日以外、人がホッとくつろげるのは夜ですから。夜のグリーン効果まで考えてコーディネートされると理想的です」

照明によってグリーンの影もインテリアに。

 ひとつのコーナーからいくつものコーデテクを紹介してくれる曽我さん。続いて「このグリーンもクネクネした樹形がおもしろいでしょう?」と、ソファコーナーへ。

「グリーンを置くのはソファの横。そう刷り込まれている人が多いようですが、ソファの後ろに置くのもアイデア。背もたれからクネクネした樹形がニュッと飛び出しているような風景が生まれます。そのシーンが最もカッコよく目に映るように、やはりプランツスタンドで高さ調整をするといいですね。場所を取るソファはどうしても壁付けしたくなりますが、スペースに余裕があればぜひオススメしたいテクニックです」

 “樹形がおもしろいプランツを選ぶ”プラス“置き場所をひと工夫”。2つのコツでリビングがぐっと心豊かな空間に変わること間違いなし!

テレビ台にグリーンを添えてインテリア性アップ

「色が濃い家具には、葉色がしっかりした深い緑色の植物がマッチ。そんな点も考えて組み合わせました」(曽我さん)

 今やリビングに欠かせない家具となったテレビボード。大型テレビを選ぶ人が増え、どうしてもゴツゴツ硬いイメージがぬぐえないコーナーとなってしまうもの。だからこそ、テレビボードの脇にぜひグリ―ンを、と曽我さんは提案します。

「この樹はミルクブッシュ。小さめの鉢がインテリアに好まれるので、見たことがある人もいるかもしれませんね。曲がり樹形ではないため、成長してもさほど横に広がらず、コンパクトなスペースに向いています。テレビボードを部屋の角に置かず、ちょっと離して壁との間にスマートなプランツを置くと、大型テレビの存在感をやわらげてくれますよ」

 スペースに余裕がなくても、場所をとらないグリーンを選び、家具のレイアウトをちょっと工夫すれば、たちまちボタニカルインテリアを実現できます。我が家のデッドスペースにも応用できるかも。ちょっと部屋を見直してみませんか?

エアプランツで「雑貨合わせ」を楽しむ

エアプランツ+雑貨の棚コーデ。土いらずのエアプランツだがちゃんと花も咲く。

テラリウム用の家型ガラス器にエアプランツを入れて飾る。ゴールドの雑貨とカラーで統一させたおしゃれテク。

 大物グリーンはカッコいいけれど値段がはりそう。もっと手軽に手頃にできるアイデアは? そのように思っている人のために、おしゃれな小技を教えてもらいました。

「土がいらないエアプランツは雑貨感覚で気軽に選べて、どこにでもポンと飾ることができます。種類もいろいろあるので、ここでは棚の上段と下段に違うエラプランツを選び、小さなキャンバスの上に乗せたり、フラワーべースに添えたりしています」

 エアプランツのオススメポイントは“雑貨合わせ”が楽しめること。好きな雑貨と組み合わせてお気に入りのコーナーをつくってみる。あるいは、エアプランツをお皿に乗せて食卓の中央に置いてみる。そんな小さな工夫でも、ボタニカルインテリアを楽しむことできますと、曽我さんはアドバスしてくれました。

(→第3回に続く)

お話を伺った方

曽我広範さん

アクタスのアパレル/グリーン開発チームで、「アクタス青山店」をはじめアクタス店舗のグリーンバイヤーとして植物を買付、売場のディレクションも手掛けるボタニカルのスペシャリスト。アパレル業界出身で、インテリアに溶け込むグリーンのチョイスに定評がある。

取材・撮影協力◎アクタス青山店
文=田中幸子 撮影=平野晋子

リクシルオーナーズクラブ(年会費無料)