
テレワーク時代のワークスペースづくりについて考えてきた当シリーズ。最終回では、「いかにして空間を確保するか」という点以外のポイントを、一級建築士の尾間紫さんに解説していただきました。
仕事をする環境づくりにおいて欠かせないのが空調管理です。せっかくワークスペースを確保できても、空調が考慮されない空間だと、暑すぎ、寒すぎといった問題が生じ、仕事どころではなくなってしまいます。
特に、屋根裏部屋や階段下、廊下の一部といったデッドスペースにワークスペースを設ける場合は、空調が届かないことが多いため、注意が必要だといいます。
「真夏の屋根裏部屋は、断熱していないと60度以上にも達するため、必ず断熱をしたうえでエアコンを取り付けてください。
階段下や廊下の一部にワークスペースを設ける場合は、事前に空調がきちんと届くかを確認することをおすすめします。もし届かなかった場合は、エアコンを後付けするか、間仕切り壁に室内窓を設けて空調が届くようにする必要があります」
空調のほか、テレワークに欠かせないのがコンセントとインターネット環境です。
「仕事をするなら、パソコンや照明器具を使うためのコンセントが必要です。ワークスペースを設けたい場所の近くにコンセントがない場合は、コンセントの増設を忘れずに行っていただかないと、長いコードが這いまわってワークスペースが使いづらくなってしまいます。インターネット環境については、事前にWi-Fiの電波が届きやすいかをチェックし、届きにくい場合は中継機などを利用することをおすすめします」
また、オンラインミーティングでは、背景の映り込みも気になるものです。
「バーチャル背景などのツールもありますが、『自宅を素敵に見せたい』ということなら、額縁やグリーン、インテリアなどを飾ってみると良いでしょう」
家でずっと仕事をしていると、行き詰まったりストレスが溜まったりしがちです。テレワークのストレスと上手に付き合うには「リフレッシュできる場所が欠かせない」と尾間さんはいいます。
「会社にいると、同僚とおしゃべりしたり、ランチに出かけたり、リフレッシュタイムがあるものです。また、往復の通勤時間は、仕事と生活を切り替える時間でもあります。でも、家で仕事をしていると通勤もないし、休み時間もあってないようなものです。ダラダラと仕事をしないためにも、リフレッシュできるような場所をひとつ用意しておくことをおすすめします。
たとえば、ベランダやお庭があれば、椅子とテーブルを置いてお茶を飲んだり、そこで仕事をしてみてはいかがでしょうか。空を見上げながら仕事をすれば、気分転換になって仕事がはかどるかもしれません。ぜひ、テレワークのストレスと上手に付き合うための空間づくりも考えてみてください」
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尾間さん自身も独立後は家で仕事をすることが多く、リフレッシュタイムの重要性を痛感したようです。「ワークスペースづくり」と「リフレッシュできる空間づくり」をセットで考え、テレワークを快適にお過ごしください。
住宅リフォームコンサルタント。一級建築士事務所OfficeYuu代表。長年リフォーム業界の第一線で、数多くの住宅リフォームの相談、プラン設計、工事に携わってきた経験から、住宅リフォームコンサルタントとして幸せなリフォームを実現するためのノウハウを発信中。過去を繕うものではなく、未来の暮らしを創る「リライフのリフォーム」を提唱。セミナー講演や執筆活動、人材育成研修などを通し、消費者と事業者の間をつなぐかけ橋となるべく奔走している。
リフォームのホント・裏話
http://www.ne.jp/asahi/net/rehome/
文◎八木麻里恵
画像提供◎Shutterstock/PIXTA
イラスト◎たかはしみどり