
コロナ禍によって、夫婦そろって在宅ワークをしている共働き家庭が増えました。それにともない、「ずっと一緒にいるとストレスがたまる」「相手の生活音が気になって仕事に集中できない」といった悩みも増えているようです。夫婦それぞれが快適に過ごせる在宅ワーク環境づくりについて、一級建築士の尾間紫さんに話を伺いました。

夫婦それぞれのワークスペースがなく、リビングなどで一緒に仕事をしている夫婦もいるでしょう。しかし、「お互いのパーソナルスペースを確保するためにも、ある程度独立性のあるワークスペースを設けたほうがいい」と尾間さんは話します。
「夫婦で在宅ワークをしていて、一番お互いの仕事への影響が出やすいのが音です。とくに夫婦が同じ部屋でオンラインミーティングをしていると、お互いの声がハウリングしてマイクに入ってしまう状況が起きやすいのです。音の問題を考えると、お互いのワークスペースを別室に設けるのがベスト。同室で仕事をする場合は、机だけでも分けることをおすすめします」

ワークスペースを設ける場所については、夫婦それぞれがどういうスタイルで仕事をしたいのかを考えてから決めるのがいいそうです。
「仕事上オンラインミーティングの機会が多く、生活音や家族の声が入らない場所にワークスペースを設けたいという方は、音が入りやすいリビングから遠い部屋がいいでしょう。一方、子どもの様子を見ながら仕事をしたいという方の場合は、リビングの一角で、壁に背を向けてデスクを置くスタイルが向いているかもしれません」
スペースが限られているマンションの場合、夫婦それぞれのワークスペースをリビングや寝室の一角に設けるのが一般的かもしれません。
また、収納部分もワークスペースづくりに活かすことができるといいます。
「押し入れは奥行きが深く、うまく活用しきれていないご家庭も多いのではないでしょうか。来客用のふとんや、使わなくなったおもちゃなどを思い切って断捨離し、ワークスペースにするのもひとつの手です」
押し入れを活用するなら、LIXILのヴィータスパネルがおすすめ。4種類あるラインアップのうち「デスクタイプ」なら、押し入れに棚を作り付けてデスクとして使うことができます。
また、マンションに比べて多少はスペースに余裕がある一戸建てなら、探せばどこかに活用されていないデッドスペースがあるのではないでしょうか。
特に階段の下や踊り場、屋根裏部屋などは、ワークスペースづくりに活かしやすい場所だといいます。
「こうした場所にライティングデスクのような折りたたみ式のカウンターを1枚取り付けるだけでも、立派なワークスペースになります。家の中に利用できそうな空間がないか、探してみてください」

完全に個室のワークスペースがほしいなら、リフォームをして壁を造作するという方法もあります。しかし、尾間さんはこの方法をあまりおすすめしていません。
「壁をつくると空間が狭くなってしまううえ、生活スタイルの変化に対応しづらくなってしまいます。在宅ワークのスタイルだって今後変わる可能性があり、自宅で仕事をしなくなったら壁を取り壊す必要が出てくるかもしれません」
大掛かりなリフォームを必要とせず、かつ生活スタイルの変化にもフレキシブルに対応できるスタイルとして、尾間さんは「収納や家具を活用したワークスペースづくり」を推奨しています。
「壁を設けなくても、収納や家具でさりげなく間仕切りをすれば、手軽に独立感のあるワークスペースをつくることができます。空間の閉鎖性も、家具の高さでコントロールすることが可能です」
収納や家具を活用したワークスペースづくりの方法は、次回ご紹介します。
(第3回に続く)
住宅リフォームコンサルタント。一級建築士事務所OfficeYuu代表。長年リフォーム業界の第一線で、数多くの住宅リフォームの相談、プラン設計、工事に携わってきた経験から、住宅リフォームコンサルタントとして幸せなリフォームを実現するためのノウハウを発信中。過去を繕うものではなく、未来の暮らしを創る「リライフのリフォーム」を提唱。セミナー講演や執筆活動、人材育成研修などを通し、消費者と事業者の間をつなぐかけ橋となるべく奔走している。
リフォームのホント・裏話
http://www.ne.jp/asahi/net/rehome/
文◎八木麻里恵
画像提供◎Shutterstock/PIXTA
イラスト◎たかはしみどり