シリーズ 洋室よりも和室好き![第13回]

DIYで洋室も和風テイストに!

空間
リビング・寝室・居室
関心
ライフスタイルリフォーム

和の収納を手作りで

1. 木材にアジャスターをつけて、天井と床を突っ張った柱。2. 木材とアジャスターは木ネジで固定する。3. 柱の間に棚木をつければ収納棚の完成。 写真提供:Makit!

 日本の家で、DIYの需要がもっとも高いのが、「収納」だと宮崎さんは話します。家自体が小さいため、収納スペースに困っているご自宅が多いのはうなずけます。しかし、壁に少しでも傷をつけたくない、賃貸住宅なので木ネジすら打ち込めないという場合、どのようにDIYをすればいいのでしょうか。

「壁に傷をつけない収納DIYの鉄板アイテムは『突っ張り棒』です。これと木材を組み合わせ、部屋に柱をつくることから始めましょう。まず、『突っ張り棒』と木材、アジャスターを購入します。木の両端にアジャスターを取り付け、天井と床を突っ張ることで柱を立てます。この柱を2本用意し、その間に好きな高さの棚木を作れば、あっという間に棚が完成します」

棚DIYの基本工具『ドリルドライバー』。木材をネジで固定する際に大活躍する。

「このDIY棚は本当に万能です。例えば、既製品の棚のサイズが見つからないような、冷蔵庫や洗濯機のちょっとした隙間に物を置ける棚が作れます。既製品は幅が決まっているのですが、これならサイズフリー。床に物を置くことがなくなるので、必然的に部屋がスッキリしますよ。和のテイストにしたければ、無垢の木材を用意したり、濃い茶色の塗料を木材に塗れば、アンティークの棚のような風合いになります」

「賃貸住宅だけど、突っ張り棒ではなく、そのまま壁に棚をどうしても作りたいという場合でも、便利なアイテムがあります。賃貸住宅を退去する際に、現状復帰義務にかからないサイズの釘を活用した棚もあります」

棚DIY基本工具の『のこぎり』と『のこぎりガイド』。「ガイドはのこぎりと木材を固定するので、ぐらぐらせず、まっすぐ正確に切れるのでものすごく重宝しますよ」と宮崎さん。

木を黒く塗るだけと、一気に和風テイストになるから不思議。「塗った板を棚にして盆栽でも置けば、一気に和の演出ができます」(宮崎さん) 写真提供:Makit!

穴の跡が目立たないクロスピンを使うので、大切にしている壁はもちろん、賃貸住宅でも壁棚を作るときに便利な「インテリアウォールバー」。

空間を和にするコツ

カラフルな畳風マットも1枚1500円くらいからとお手頃価格で数多く製品化されている。

 空間の大きな面積を占める、床。フローリングを畳に変えようとすると、フローリングを剥がして、畳の幅分の段差を掘らなければならず、難易度が少し上がります。カンタンな方法は、畳マットやい草を組み込んだラグやゴザを敷くこと。リビングやフローリングの一部を、和の空間にすることもできます。

「和の塗料を使った木材も、和の雰囲気を演出してくれます。例えば、柿渋や漆などの塗料も簡単に塗れるDIY用に販売されています。二度塗りや三度塗りをすることで、光沢や色味の質感も深まります。また、余った塗料は、装飾品や食器などにも使えるのもお得かと思います」

柿渋や漆の塗料を使えば、合板材でも一気に質感がアップする。写真提供:Makit!

自分で作れる「和」の暮らし

 近年、DIY工具のオンラインショップでは、漆喰や珪藻土などの和室の塗り壁に使われる塗料や、初心者向けのDIY用工具の需要が高まっているなか、「和風返り」も確実に起こっているのではないか推察する宮崎さんは話します。

「長年、DIYに携わっていて思うのは、ひとつの部屋がずっと同じではある必要はなく、その時々の暮らし方や用途に応じて、暮らしを変化させてはいかがでしょうか」

トイレの壁紙を変えれば洋風から和風、逆に洋風にも戻せる。ホームセンターには簡単に張ることができるイメージ通りの壁紙が見つかるはず。

「春夏秋冬でもそうですし、人生のターニングポイントでもそうです。一人暮らしから夫婦に、家族が増えた後は、老後の二人暮らしなど、暮らす人が変われば、家も変わればいいと思うのです。この部屋でゆっくりくつろぐのか、仕事をするのか、子育てで使うのか。

 洋室一辺倒ではなく、住まいを自分たちの生活に合わせてやはり和風の部屋が欲しいと思うのなら、まず一歩進んでください。ほんの少しの手間で「和」の心地よさを手に入れることがきます。それがDIYの魅力だと思うのです。移りゆく時間に合わせて、柔軟に家の中を変えていく。まさに大きな時代の変化にも適応してきた、日本人らしい暮らし方なのではないかと思います」

■ LIXILのおすすめ■

お話をお伺いした方

宮崎恭輔さん

株式会社大都のメディア『Makit!(メキット)』を運営する。入社後EC事業部のバイヤーとして配属、その後マーケティングの経験を経て、メディアの運営責任者として現在に至る。WEB解析士や自動車整備士資格を保有、バイヤーとしての豊富な商品知識を現在のウェブメディアへ活用し、多くの情報をメーカーとユーザーに届ける活動を行う。
https://makit.jp/

文◎小倉千明 撮影◎宇野真由子

リクシルオーナーズクラブ(年会費無料)