リビングワークで快適な仕事環境を 第1回

ダイニング、ソファの上、書斎……、すべてが「働き場所」になる

空間
リビング・寝室・居室

暮らすように働く、リビングワーク

小林さんの事務所が入ったビルの1・2階は、オリジナルブランド「IMPLEMENTS by mikiya kobayashi」の店舗兼ショールーム。写真は3階のLDKフロア。

 社会の多様化が進む中、ワークスタイルについても見直し&クオリティアップが必要です。そこで、働く場所としての可能性を自宅に見出し、書斎はもちろん、リビングやダイニングなども活用して“自分らしく、暮らすように働く”──そんなワークスタイル、「リビングワーク」がいま注目されています。

 デザイナーの小林さんの事務所は4階建てのビルの最上階。そこから自転車で5分ほどの距離の自宅には、仕事用の家具は一切置かず、家に仕事を持ち込む場合は、ダイニングテーブルやソファが定位置だとか。
 一方、事務所で仕事をする際も、スタッフ用の3階のLDKフロアと4階を行ったり来たり、半々ほどの割合で使用。まさに空間を縦横無尽に使って、暮らすように働くリビングワークの実践者といえるのです。
 今回は小林さんの事務所を訪問。リビングワーク実現のためのヒントを伺います。

ワークスペースには余白が必要

 早速、小林さんに現在のようなワークスタイルに至った理由を尋ねてみました。すると返ってきた答えが「仕事に“余白”を求めたため」とのこと。
「仕事をする際、僕にとって“余白”は重要です。例えばデザイン対象が小さなものでも、デザイン画をA5に描くか、A3に描くかでアウトプットが全然違う。A3だとのびのびした線になり、効率よく、結果も満足いく場合が多いんです」

 そしてこれは働く場所にも当てはまるそう。「家で仕事をする場合、空間は狭くても自由度が大きいので、それが余白になり得る。だからこそワークスペースも1つに限定せず、リビングや寝室、ベランダなど幅広く考えてもいいのではないでしょうか」と言います。
「ずっと同じ場所だと新鮮なアイデアも生まれません。場所を変えると気分転換になる。移動の際に少し体を動かすだけでも脳への刺激になり、生産性が上がると思います」

余白を見つけやすい、ダイニング

 書斎を設けない場合、それに代わる場所として、小林さんのお勧めはまずダイニングです。
「広いダイニングテーブルは、余白を確保するには最適。資料を複数並べたり、気分転換にドリンクも準備しやすい。気をつけるとすれば、やはりテーブルと椅子の高低差。外国製のテーブルは天板が高く、日本製の椅子は座面が低いものが多い。2つの高低差が30cm以内とするのが理想です」

 ちなみに椅子については、上記の点さえ気をつければ、ホームユースに近いもので十分だそう。「機能重視のオフィスチェアは大型でハードな印象があり、日本の住空間にはマッチしない場合も多い。座り心地に加え、サイズ感やバランスなど、空間に収まりのいいものから選ぶといいでしょう」

よりリラックスしたい場合はソファで

 そしてもう一つ、家の中で仕事がしやすい場所といえばソファの上。「最近はiPadさえあれば仕事ができる。だから僕の場合、自宅ではソファが定位置。座面に足を投げ出し、6歳の娘と話をしながら、膝の上に愛犬2匹を乗せ、リラックして臨むと仕事もはかどります」と小林さん。

 もちろんPCが必須の方は、テーブルを揃えたほうがベターとも。その際もダイニングテーブルと同様、高さに配慮。
「上にPCを置いて作業するなら、一般的なコーヒーテーブルより、やや高めのものを選ぶのがポイントです」

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本と出会える場所

事務所のビルの3階から4階に至る階段脇に本棚を設置。階段途中に座り、気になる本をめくるうちに次のアイデアを思いつくことも多いとか。

 さらに小林さんは、リビングワークでもう一つキーとなる場所があると考えます。それが本を置くスペースです。
「アイデアに詰まったとき、インスピレーションを得たいとき、僕は本を手に取ります。本には、ネット検索とは全然違う、情報との偶発的な出会いがある。それが次の展開に導いてくれることも多い。背表紙をインデックスとして活用できるので本棚への収納が理想ですが、たとえ床に積んでおいたにしても、本と出会うスペースを設けることは大切だと思います」

リビングワークで生産性を上げるには?

左:3階のLDKにピッチャー入りの飲み物を用意。右:コーヒーメーカーは4階に置いてある。

 ここまでリビングワーク実践の上で、空間について目を向けてきましたが、以降は働き方にフォーカスします。家で仕事を行うからには当然、生活のメリハリは必須です。そのモードチェンジをどうしているのか。小林さん曰く、鍵は掃除だと言います。
「ダイニングを仕事場にしても、食事の前には一旦パソコンを閉じ、資料を片付ける。一方、仕事に戻る際も、皿を洗い、周囲を整理した後にする。そんな線引きが欠かせません」

 さらにモード転換を意識させるものとして、よく飲み物も利用するそう。
「仕事中、飲み物を変えるだけで、案外、気分やモードも変わるんです。コーヒーならどの豆にするか、あるいはお茶にするのか、といったほか、マグカップなど器を変えるのも効果的。せっかく家にいるのだから、好きなドリンクや器を幾つか揃えて、うまく活用することをお勧めします」

選択肢を増やすことが大切

左:料理は脳のエクササイズ。時に食事作りの傍ら、メールチェックをしたり。右:小林さんは、デザイン画の線の色をその日の気分によって青やピンクなど自由に選択。黒で描くことはほとんどないそう。

 最後にリビングワークを成功させるコツを、もう一度小林さんにまとめていただきます。
「家で仕事をすることを積極的に捉え、まず楽しむことが大前提。窮屈だと思わず、自由度の高さを生かし、可能性の余白を見つけてみる。結局、好きなことはそれぞれだし、同じ人でもタイミングによって気分は変わります。だからその時々の自分のコンディションに合わせ、選べるオプションを事前に用意しておく。ワークスペースも柔軟に考え、好きな器を増やしたり、音楽を編集したり、些細なことから始めればいい。そんな自分らしくいられることこそ、リビングワークの最大の魅力かもしれません」

お話を伺った方

小林幹也(こばやしみきや)さん

インテリア&プロダクトデザイナー。
2006年に活動スタート。手がける分野は家具、プロダクト、テキスタイルからモビリティ、インテリアまで幅広い。国内外のメーカーとの協業多数。現在は東京とバレンシアに拠点を構える。2018年、オリジナルブランド「IMPLEMENTS by mikiya kobayashi」のショップをオープン(東京都目黒区碑文谷5-28-8/tel.03-6421-3925)。
www.mikiyakobayashi.com

文◎友永文博
撮影◎太田隆生

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