鍋ひとつ。包丁いらずの簡単料理
「コンフィ」というフランス料理は、フランス語の「confire=保存する」という言葉から派生したもの。まさに保存食のことです。よく知られているのはふたつ。ひとつは果物のコンフィチュール。これは砂糖を使ってジャムのように煮て保存性を高める料理です。もうひとつは鶏の骨付きもも肉のコンフィ。こちらは鶏の脂の中で低温でじっくり火を入れ、保存するもの。冷蔵庫が無い時代から作られていたもので、ビストロのごちそうメニューの定番です。
砂肝のコンフィの場合、砂肝をオイルで煮ます。サラダオイルでもかまいませんが、エクストラバージンのオリーブオイルを使うとおいしさは一層引き立ちます。
そして、この料理の最大のポイントは包丁を一切使わないこと。砂肝の下処理にはさみを使うだけで、あとはほぼ手を使って下ごしらえをできます。
オイルに浸けたままなら、冷蔵庫で2週間くらい保存できます。小分けにして冷凍しておけば、数カ月の保存が可能です。
砂肝コンフィを作る
【材料】(作りやすい量) 鶏砂肝……500g〜1kg 塩……小さじ1.5 ※砂肝の量の1.5%が目安。砂肝500gなら 塩7.5g にんにく……1〜2片 ハーブ(ローズマリー、タイムなど)……適宜 唐辛子(お好みで)……1本 エクストラバージンオリーブオイル……砂肝が かぶる程度 ※砂肝500gなら300cc程度 |
【作り方】
[1]砂肝を下処理する
砂肝は二つの塊が「銀皮」という固い膜のようなものでつながっている状態で売られていることがほとんどです。通常、砂肝料理はその銀皮を包丁でていねいに取り除くのですが、このコンフィの場合、固い銀皮も柔らかく仕上がるので、取り除く必要がありません。キッチンばさみでつながっている部分を切るだけで終わりです。
お肉屋さんによっては銀皮を取り除いた状態で売られている場合もあります。その場合は何もしなくてかまいません。
ただし、どちらも、水道から出る程度のお湯でかまいませんからざっと洗って表面の汚れを洗い流しましょう。油で煮るときに濁りにくくなります。ざるにあげてから、キッチンペーパーなどで水気を拭き取ります。
その後、砂肝に分量外の塩を加え、30分〜1時間ほど冷蔵庫で休ませます。
[2]鍋で「煮る」
鍋に砂肝と、皮を剥いてへたの固いところを切ったニンニク、ハーブ、好みで唐辛子を入れ、ひたひたになるようにエクストラバージンオーリーブオイルを注ぎます。
砂肝の量や鍋の容量でオリーブオイルの量は変わってきます。また、熱すると砂肝は多少縮むので、完全に隠れるまでオイルを入れる必要はありません。このオイルはあとでご紹介する炒め物に使ったりパンに塗ったり活用できますので、あまりケチらずにたっぷり注ぎましょう。
火を付けます。コンフィの作り方は2通りあります。
ひとつは、ずっと弱火で、油からたまにぷくっと泡が出るくらいの低い温度で煮続ける方法。火加減に気をつけながら、約1時間火を入れます。油の温度は110℃くらいです。
もうひとつは、中火くらいで少しぐつぐつしながら煮る方法。油で揚げるような高温(180℃)ではなく、130〜140℃くらいで、煮物がくつくつと煮えるくらいの感覚で、少し泡が出るような状態で30分煮込みます。
できあがりは、最初の方法ならとても柔らかく、ふたつめの方法だと少しコリコリ感が残ります。お好みの方法で煮てください。
煮上がったら粗熱を取り、蓋ができる保存容器に移します。もちろん、消毒用アルコールなどできちんと消毒をしてください。大量に作った場合はフリーザーバッグに分けて冷凍を。
そのまま食べてもあっという間に無くなってしまうほど。パーティーで出すと、どんな料理よりも先に品切れになるくらい人気の料理です。
アレンジ1:スタミナ系! 砂肝ニンニク玄米チャーハン
コンフィを使って作るごはん、簡単でおすすめなのはチャーハンです。コンフィの油を使って、ニンニクのみじん切り、ショウガのみじん切り、葱のみじん切りを軽く炒めます。一緒に5mm角くらいに切ったタマネギを入れてもいいでしょう。
そこに玄米ごはんを入れます。白いごはんも悪くありませんが、栄養たっぷりな玄米を摂ることで、夏バテ防止にもなります。
味付けは最後に醤油と胡椒で。汗をかきながら食べたくなる夏ごはんです。
アレンジ2:砂肝のコンフィを使った炒めもの
もうひとつ、晩ごはんにおすすめしたいのが砂肝を使った炒め物です。砂肝は生肉から炒めると固くなってしまうのですが、コンフィなら柔らかく、しかも旨みを味わえます。
斜め切りにしたセロリ、長ネギと一緒にコンフィを炒めます。もちろん使う油はコンフィの油です。辛いのが好きな方は、あらかじめ唐辛子を一本炒めましょう。
味付けは紹興酒、塩、胡椒。そして、東南アジアの魚醤・ナンプラーやニョクマムなどを使うのはいかがでしょう。
苦手でなければ最後にパクチーを添えて。セロリとパクチーの爽やかな香りで、蒸し暑い夏を吹き飛ばしてくれる一品です。
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