常備菜でパパっと夏ごはん[第2回]

フレッシュトマトの
「ラタトゥイユ」

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夏はフレッシュトマトで!

 ラタトゥイユは水煮のトマト缶を使って作ることが多いかもしれません。でも夏はトマトが旬の季節。フレッシュトマトなら、1ランクアップのおいしさになります。今回はぜひフレッシュトマトを使ってみてください。

 ただし、フレッシュトマトは青いうちに収穫され、色が薄いものもあります。そんなトマトは数日室温で追熟すると色も濃くなり、濃厚な味わいになります。

 ミニトマトを使ってもかまいません。大きいトマトに比べ、ゼリー状の部分が少ないため酸味が少なく、糖度が高く、濃い味わいが特徴。トマト料理の本場・イタリアでも、最近はミニトマトの人気が高まっています。

応用の仕方で切り方を変える

 ラタトゥイユに使う野菜はズッキーニ、茄子がメインです。他にはタマネギ、パプリカなどを加えるのが一般的です。第1回でパプリカのマリネを紹介したので、今回パプリカは使いません。香り付けにセロリを使ってもいいでしょう。

 ポイントは野菜の切り方。ボリューム感を出したいなら輪切りやごろごろとした乱切りに。ソースなどに使いたいなら、食感を考えて小さめに切るといいでしょう。

 今回は、茄子やズッキーニを1cm幅の輪切りにして大玉のトマトで煮込むもの、2cmくらいに切ってから縦に4つ割にして小さくし、ミニトマトで煮込むものの2種類を作りました。

ラタトゥイユを作る


 【材料】(作りやすい量)
  トマト……大玉5〜6個またはミニトマト20個ほど
  ズッキーニ……2本
  茄子……2本
  セロリ(好みで)……1本
  ニンニク……1〜2片
  唐辛子(好みで)……1本
  タマネギ……1個
  ローリエ……1枚
  タイム……5〜6本(乾燥タイムなら小さじ1〜2)
  オリーブオイル……適量
  塩……大さじ1/2
  赤ワインヴィネガー(バルサミコヴィネガーでも可)……大さじ2
 

【作り方】

[1]材料を切る

 ズッキーニ、茄子は、前述のように好みで切り分けましょう。タマネギは皮を剥いてくし形に。セロリはひと口大に。ニンニクは皮を剥いて根のところを少しカットし、包丁で軽く潰します。唐辛子を入れる場合は、へたを取って種を抜いてください。
 トマトはへたを取り、ざく切りに。ミニトマトの場合、へたを取るだけでかまいません。

[2]オリーブオイルで材料を炒める

 オリーブオイルを鍋に入れ、ニンニクと唐辛子を入れて弱火で熱します。くつくついわせて、辛い香りが出たら、好みで唐辛子を取り出し、茄子、ズッキーニ、タマネギを加え、火を強めて軽く炒めます。食材全体に油が回る程度で大丈夫。食材に火が入らなくてもかまいません。辛いのがお好きな方は、唐辛子を入れっぱなしにしてもいいでしょう。

[3]トマトとハーブを加え煮込む

 トマト、ローリエとタイムを加え、中火〜弱火で煮込みます。ミニトマトの場合、火が通って皮がはじけるまで少しかかりますが、あまり火を強くしないように。あるいは水分を出す呼び水として、小さじ2〜3くらいの水か白ワインを入れてもいいでしょう。最初は蓋をして、野菜の水分が全体に回るようにします。
 トマトが煮溶けてきたら、蓋を開けて弱火で煮込みます。水分の飛ばし方で濃度が変わるので、焦げないようにときどきかき回しながら、自分の好みの濃度にととのえましょう。

[4]塩とヴィネガーを加えてできあがり!

 最後に、塩とワインヴィネガーを加えます。赤ワインヴィネガーでも白ワインヴィネガーでもかまいません。甘さが欲しいなら、バルサミコヴィネガーもおすすめです。塩の量はお好みで。少しずつ加えて味を見ながら仕上げましょう。

 火を止めて冷ましてから、消毒した容器に詰めます。瓶でも、樹脂製の容器でもかまいません。大量に作る場合は、フリーザーバッグに小分けにしておくといいでしょう。

 ラタトゥイユは、できたての熱々でも、きりっと冷やしてもおいしくいただけます。コンソメキューブなどを足すレシピもありますが、夏野菜の味わい、中でもトマトは旨味が強い食材なので、十分おいしくなります。

アレンジ1:冷たいパスタのソースに

 ラタトゥイユをソースにしてパスタにすると、トマトだけのソースより複雑な味わいになります。ソースを温め茹で上げたパスタに絡めてもおいしいのですが、夏は冷製パスタにしてみるのも手です。

 やや細めのスパゲッティーや、素麺くらいの太さのカペリーニというパスタを使います。

 たっぷり塩を入れたお湯で、袋に書かれた時間通りか、30秒ほど長めに茹でます。それをざるにあげて湯を切り、流水で冷やして氷水で1分ほど締めて冷製パスタにします。

 冷たいラタトゥイユと和えるだけでできあがり。フレッシュのトマトやバジルを添え、上から香りのいいエクストラバージンオイルをかけ回すと、レストランクオリティの味になります。

アレンジ2:揚げない唐揚げの付け合わせに!

 フライドチキンにビールやワインで夕飯、というときに、付け合わせにするのはいかがでしょう。

 一口大に切った唐揚げ用の鶏肉に塩胡椒で下味を付け、衣を付けてフライパンで焼きます。夏は揚げものをしたくありませんが、トウモロコシの粗挽き粉「コーングリッツ」をまぶし付けると、やや多めの油で焼くだけで、カリッとした食感に仕上がります。コーングリッツは火が入ると香りもいいので、ぜひ試してみてください。

 付け合わせでたっぷりのラタトゥイユを添えれば、あっという間にごちそうディナーのできあがりです。


レシピ考案・文◎坂井淳一(酒ごはん研究所)
撮影◎大西尚明
スタイリング◎吉田千穂

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